請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 2881 件名 農地法改正案に反対し、廃案を求めることに関する請願
要旨  農地法改正案は、法律の目的から「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め」、「耕作者の農地の取得を促進」「耕作者の地位の安定」を図るという記述を削除し、「農地を効率的に利用する者による農地についての権利の取得を促進し」としている。また、農地の賃貸借を安定させるために地域ごとに定めてきた標準小作料制度を削除することは、大企業に優良農地が集積され、政府が育成しようとしている認定農家や集落営農組織の存続が脅かされかねない。賃貸借期間が二〇年から五〇年に拡大されることは、大企業の優良農地取得に道を開くものである。政府は、耕作放棄地の広がりを防止し、食料供給力を強化することを改正の目的としているが、耕作放棄地が増大している原因は、農産物の輸入自由化や市場原理等によって、家族経営農業の継続が困難になったためであり、農政の結果である。しかも、社会的責任を放棄して派遣切りや雇い止めを行っている大企業が、国民の共有財産である農地を支配することは、不在地主化を招き、もうけのために農地が資産化され、持続的で安定的であることが求められる農業とは相いれない。内需を活性化させるために地域を挙げて農林業を振興し、循環型の地域経済を確立しようとする努力が各地で行われている中で、法改正は重大な障害をもたらす。今、必要なことは国際的な食糧需給のひっ迫に対応して食料自給率を向上させる農政であり、農家が営農を継続し、生活できる展望をもたらす施策であり、地域を挙げて耕作放棄地を解消する努力等に対する支援を抜本的に強化することにある。戦前からの農民の苦闘を経てつくられた農地制度と、その成果を支えてきた農地法を国民的議論や合意もないまま改正することは許されない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、農地法の一部を改正する法律案を廃案とすること。

一覧に戻る