請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 2009 件名 公営住宅に関する請願
要旨  (一)公営住宅が住宅のセーフティネットと位置付けられ、その入居者層は高齢者を始め社会的弱者が集住化し、コミュニティが立ち行かなくなってきた。新宿の都営戸山団地では、高齢者が五〇%を超え限界集落と言われている。元凶は、一九九六年の公営住宅法の改正に伴う入居収入基準の大幅な引下げにあり、その上、今回の政令改正により、月収二〇万円を一五万八千円に引き下げることは、事態の深刻化が懸念される状況をつくり出す。また同時に家賃の値上げに連動し、新たな収入超過者を一一万八千世帯以上生み出し、その居住権が脅かされる。公営住宅法施行令の一部改正を撤回し、安心して住み続けられる公営住宅制度を求める。(二)豊かなコミュニティの創造と住民自治の確立は、多様な世代が住むことによって保障され、限界集落と言われる公営住宅の抜本的解消は、入居収入基準を引き上げ、様々な世代が住み続けられる制度の確立以外にあり得ない。公営住宅制度は、国土交通省によって、地位承継を原則配偶者にするなど、制度改悪が続き居住の安定が脅かされ、公営住宅の門戸を狭め、居住者を追い出す結果となっている。限界コミュニティの公営住宅制度から脱却し、多様な世代の居住が可能な公営住宅政策に転換するとともに、公営住宅の大量供給を求める。(三)一九七〇年前後の一〇年間に建設された公営住宅には、浴室でシャワーが使用できない住宅や、単身者向け住宅で三〇数㎡の一DKの狭小住宅もある。こうした非文化的な住宅の解消は喫緊の課題であるとともに、高齢化の進展に伴い、在宅介護が可能な住宅の広さと設備は切実な課題である。国や自治体が、公営住宅への国民の要求にこたえ、人間居住にふさわしい住宅の供給にリーディング(主導)的役割を果たすことは極めて重要である。人間居住にふさわしい広さと住宅設備の整った文化的な公営住宅の供給を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、入居収入基準を引き下げ、家賃の値上げにつながる公営住宅法施行令の一部改正を撤回すること。
二、様々な世代が安心して住み続けられる公営住宅制度の確立と公営住宅を大量供給すること。
三、人間居住にふさわしい広さ・設備の整った文化的な公営住宅を供給すること。

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