請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 923 件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
要旨  我が国の透析患者は二〇〇七年末で二七万五千人となっており、対人口比で言えば、世界で最も多くの透析患者が日本にいる。特に近年は糖尿病性腎(じん)症からの患者が急増している。技術の進歩により透析を導入しても健常者と変わらない高い生活の質(QOL)が得られるようになり、患者の社会復帰も進み、同時に長期生存が可能となり、日本透析医学会の発表では一〇年以上の透析患者は六万七千人になる。しかし、一方で患者の高齢化、長期透析に伴う合併症など、日常生活に困難を抱える患者が増えており、取り分け糖尿病腎症を原疾患とする透析患者は、視力障害や下肢障害などの合併症の重度化、重複化によって不自由な生活を余儀なくされている。透析患者の八・五%は介護認定を受けており、透析治療が可能な介護・生活施設が不足し、長期入院施設も十分ではない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、腎臓病及び糖尿病性腎症の予防対策と腎不全・透析治療に移行しないための啓発活動を広く国民運動として取り組むこと。
二、腎臓病の原因究明の研究を推進すること。
三、年齢、障害の種別、程度を問わず、必要なすべての人に介護・支援が保障される制度を確立すること。
四、通院の困難な在宅の透析患者のために、ホームヘルパーの増員、移送支援など通院介護保障体制と医療と福祉の連携による総合的対策を確立すること。
五、院内感染を含む医療事故を防ぐための対策を強化すること。
六、医師、看護師、ホームヘルパーなどの医療・福祉従事者不足を早急に解消し大幅な増員対策を具体的に講じること。
七、臓器移植推進のための啓発・広報活動を強化するとともに、都道府県所属の移植コーディネーターの増員と身分保障を確立し、さらに院内コーディネーターを増員するよう指導すること。
八、災害時における透析医療の確保と患者の避難・移動を確保する体制を確立すること。

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