請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 642 件名 建設労働者の労働条件向上、安心安全の建設産業の実現に関する請願
要旨  一〇〇年に一度と言われる経済危機の下、建設業者の倒産が過去最悪のペースで進んでおり、中小建設業者では建築基準法改定や燃料・資材価格高騰が経営を直撃し、自殺や倒産が相次いでいる。この状況を改善していくため、公共事業では大規模プロジェクト中心から防災・環境・生活関連事業に重点を移し、地場の建設業者の受注機会を確保する必要があり、ダンピング・低入札のしわ寄せが中小建設業者・労働者に押し付けられるのを規制する公契約法の制定が急務となっている。また、消費不況を打開し、国と地方が財政再建を図るためには、中小零細業者の経営と建設労働者の労働条件改善につながる建設産業政策へ転換すること、働く者が健康で安全に人間らしく働けるルールの確立が必要である。 
 ついては、次の措置を採られたい。

一、建設労働者の賃金・労働条件向上
 1 公共工事の契約に当たり建設労働者の賃金、労働条件が持続的に改善できるようにすること。
 (一)ダンピング受注や指し値発注によって建設現場で働く労働者の賃金が切り下げられたり、賃金の不払問題が発生しないよう建設業界の指導監督を強化すること。また、不払問題解決に向けて建設業法第四一条第二項及び第三項に基づく立替払の勧告を実施し、法令遵守を図ること。
 (二)ダンピング受注を防止するために最低制限価格などの失格基準を設けること。
 (三)二省協定の設計労務単価は、市場調査と標準生計費を考慮の上、建設労働者が健康で文化的な暮らしができるような価格とすること。
 (四)低入札工事において労働者・下請業者に対して、不当な低単価を押し付ける請負者に、建設業法第一九条の三を活用するなど改善指導を行うこと。
 2 官公需法に基づく中小業者向け発注率を増やすとともに、年度目標を達成すること。土木工事の施工に当たり、設計図書に含まれる「ダンプ規制法」第一二条団体等の使用促進をすべての請負者に徹底すること。
 3 原油値高騰問題について、中小零細建設業者に対する負担軽減措置として、下請からの資材・燃料費等の価格転嫁を認めるよう元請・発注者への指導を徹底すること及び単品スライド条項の制度について、その品目の拡充や一%条項の緩和を実施すること、公的融資制度を拡充すること。
 4 社会資本整備で、国の責任を放棄し、地方切捨て、国民の安心・安全の切捨てにつながる民間開放・地方委譲は行わないこと。また、公共事業費の予算配分を防災・生活関連・維持管理に重点配分するとともに、公共事業発注官庁の出先機関の組織を拡充し、災害時でも迅速に対応できる体制にすること。国と地方自治体の公共事業担当職員を現在よりも削減しないこと。
 5 国土交通省が実施する業務委託削減が、現場労働者の解雇や賃金労働条件切下げ競争につながっていることを抜本的に改め、それぞれの業務にふさわしい専門性を確保できる契約方式に改めること。

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