請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 2507 件名 首都圏の介護を支えるための介護人材確保に関する請願
要旨  急速な高齢化の進展に対応しなければならない首都圏では、介護人材離れにより、介護の現場は正に崩壊の過程にある。介護保険制度は、介護が必要になっても自立した生活を送り、人生の最後まで尊厳を持って生活できるよう介護を社会全体で支えていくことを目的としているが、首都圏では、地方と比較して人件費、諸物価等も高く、介護報酬に適正に反映されていないことから、介護従事者の労働環境は大変厳しく、新たに就業しようとする人たちも激減している。首都圏の一般産業の平均賃金は上昇し、地方との給与格差は年々拡大し、諸物価の地域格差も拡大しているにもかかわらず、介護報酬の地域格差は、介護保険開始時から据え置かれている。一方で医療保険制度改正の影響等もあり介護現場は年々重度化するとともに、認知症や医療依存度の高い利用者が多く、介護現場の負担は極端に増加している。家族ですら困難な介護に従事する専門職に、その地域で生活できない賃金で働く今の制度では見切りを付けるのは当然である。採用後の人材育成制度の充実・強化も必要であるが、介護報酬そのものを本格的に見直し、介護分野で働く人たちを社会が認めているという強いメッセージを送ることが必要である。介護に最も大切なのは人材であり、良質な人材の確保と定着なしに良質な介護は提供されない。
 ついては、首都圏の高齢者と家族が安心して地域で暮らせるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、首都圏における人件費や物価水準を反映し、地域の一般企業の賃金に見合う介護報酬地域格差の本質的な見直しを行うこと。
二、介護にかかわる人々が介護という仕事の専門性に見合った賃金水準を確保できる介護報酬の設定を行うこと。
三、専門資格職の雇用比率を考慮した報酬制度見直しを行う際には、地域の人材確保の困難度を配慮すること。
四、厚生労働省及び社会保障審議会等においては、地域ごとの格差を分析把握できる調査・資料を用い議論を行うとともに、都市部の現状を首都圏の市民・職員・事業者各代表者から聴取すること。

一覧に戻る