請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 2478 件名 ジストニアの難治性疾患克服研究事業への指定及び症状に対する障害認定と治療環境改善に関する請願
要旨  次の事項について実現を図られたい。

一、ジストニアの難治性疾患克服研究事業への指定
   ジストニアの早期の原因解明と治療法確立及び診断確定に必要な診断基準設定のために、難治性疾患克服研究事業への指定を行うこと。またジストニア治療で臨床実績を上げている専門医及び東洋医学(鍼(はり)治療)など専門医療機関と共同した総合的視野に立った組織構成により研究が行われるようにすること。
二、身体障害者手帳及び障害年金の障害認定枠の拡大
   ジストニアの治療は対症療法しかなく、長期にわたり薬剤の服用及びボツリヌス治療等を行うこととなる。全身性ジストニアの患者は脳深部刺激(DBS)を使わなければ不随意運動を抑えることができず、医療費の負担は患者、家族に重くのしかかってくる。しかし、治療を受けても思わしい症状改善が得られない場合がある。また、ジストニア患者の多くはジストニア症状による障害のため稼働時間を十分に取ることができず、現実では就職困難な場合があり、たとえ職があっても職場等において理解が得られにくく、いつ職を失うかと不安な日々を送り、生活に困窮している患者もいる。障害が存在するにもかかわらず、障害者と認定されない患者に救いの手を差し伸べること。ジストニアによる不随意運動等で体の機能が著しく低下した患者を救済するための生活機能障害としての以下の障害認定を行うこと。
    1 眼瞼痙攣(がんけんけいれん)における、瞼(まぶた)が開けられない機能的失明
    2 痙攣性発声障害における、発声ができない構音障害
    3 咽頭(いんとう)ジストニアにおける、食べ物が飲み込めない嚥下(えんげ)機能障害
    4 上肢ジストニアにおける、うまく字が書けない、箸(はし)が使えない等の上肢機能障害
    5 下肢ジストニアにおける、うまく歩けない等の下肢機能障害
    6 痙性斜頸(けいせいしゃけい)・軸性ジストニア・全身性ジストニアにおける、首や体が捻(ねじ)れる等の体幹機能障害
三、ボツリヌス治療と脳深部刺激(DBS)の健康保険適用の拡大及び鍼治療の健康保険適用の新設
 1 現在ボツリヌス治療の健康保険適用はジストニアの場合、眼瞼痙攣・痙性斜頸のみであるが、咽頭・上肢・下肢等他のジストニア症状にも健康保険適用を行うこと。
 2 現在脳深部刺激(DBS)の健康保険適用はジストニア症状の一つ「振戦」のみであるがジストニアとして症状全般の健康保険適用を行うこと。
 3 関西医療大学の治験によりジストニアへの鍼治療の効果が示されており、ジストニアへの鍼治療の健康保険適用を行うこと。
四、ボツリヌス治療の少量使用に適した薬剤の認可
   現在ボツリヌス治療にはA型ボツリヌス毒素製剤「ボトックス注100」のみが使用を承認されているが、眼瞼痙攣等二〇単位ほどの少量使用(残りは破棄)の場合でも一本一〇〇単位の薬剤の費用負担をしている。患者と健康保険財政の無駄な費用負担を避けるために少量使用に適した薬剤の認可を行うこと。
五、ボツリヌス治療の研修制度の確立
   講習受講のみでボツリヌス治療が行えるという現在の制度では、治療効果が医師の熟練度に左右され、かえって状態が悪化する場合がある。筋肉が複雑に関係している痙性斜頸や上肢ジストニア等に効果的なボツリヌス治療をどこの病院・医師でも行えるように研修制度の確立を行うこと。

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