請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 581 件名 九条の会アピールに賛同し憲法を守る意思を現すことに関する請願
要旨  日本国憲法は、今、大きな試練にさらされている。五千万を超える人命を奪った第二次世界大戦から、世界は、国際紛争の解決のためであっても、武力を使うことを選択肢にすべきではないという教訓を導き出した。この戦争に多大な責任を負った日本は、戦争放棄と戦力を持たないことを規定した第九条を含む憲法を制定し、こうした意思を実現しようとした。しかし、憲法制定から半世紀以上経た今、第九条を中心に日本国憲法を改正しようとする動きが、かつてない規模と強さで台頭している。日本を、アメリカに従って戦争をする国に変えるために、集団的自衛権の容認、自衛隊の海外派兵と武力の行使など、憲法上の拘束を破っている。また、非核三原則や武器輸出の禁止などの重要施策をなきものにしようとしている。そして、子供たちを戦争をする国を担う者にするために、教育基本法をも変えた。これは、憲法が実現しようとした、武力によらない紛争解決を目指す国の在り方を根本的に転換し、軍事優先の国家へ向かう道を歩むものである。アメリカのイラク攻撃と占領の泥沼状態は、紛争の武力による解決が、いかに非現実的であるかを明らかにしている。武力の行使は、その国と地域の民衆の生活と幸福を奪うことでしかない。一九九〇年代以降の地域紛争への大国による軍事介入も、紛争の有効な解決にはつながらなかった。東南アジアやヨーロッパ等では、紛争を、外交と話合いによって解決するための、地域的枠組みをつくる努力が強められている。二一世紀の進路が問われている今、改めて憲法第九条を外交の基本に据えることの大切さがはっきりしてきている。相手国が歓迎しない自衛隊の派兵を国際貢献などと言うのは、思い上がりでしかない。憲法第九条に基づき、アジアを始めとする諸国民との友好と協力関係を発展させ、アメリカとの軍事同盟だけを優先する外交を転換し、世界の歴史の流れに、自主性を発揮して現実的にかかわっていくことが求められている。憲法第九条を激動する世界に輝かせるためには、国民一人一人が、第九条を持つ日本国憲法を自分のものとし、日々行使していくことが必要である。それは、国の未来の在り方に対する、主権者の責任である。
 ついては、日本と世界の平和な未来のため、次の事項について実現を図られたい。

一、日本国憲法の改定は行わないこと。

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