請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 292 件名 高等教育予算の大幅増額、私大経常費二分の一補助の実現及び父母・学生の学費負担軽減に関する請願
要旨  私立大学・短期大学(以下「私立大学」)は、国民の高等教育を受ける権利を保障する役割を担っており、私立学校振興助成法では教育条件の改善、学費負担の軽減等のため、私立大学への経常費二分の一補助の早期達成を目標として定めている。また、一九七五年の国会附帯決議では、「私立大学に対する国の補助」を「できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」とされている。しかし、私立大学への経常費補助率は、一九八〇年度の二九・五%をピークに減少し、二〇〇五年度には一一・九%にまで抑制されている。これは学生一人当たり、私立大学では一六万六千円、私立短大では一六万二千円と、国立大学と比較して一八分の一程度でしかない。長年にわたって、経常費補助が低水準に据え置かれたため、私立大学の教育・研究条件の改善・充実を学費に依存せざるを得ない構造がつくり出されており、世界にも類を見ない異常な高学費を生み出す要因になっており、進学や修学を断念せざるを得ない学生が毎年増加していることは深刻な事態である。世界的に見ても、日本の高等教育予算はOECD加盟国の中で最低水準にあり、また、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項も留保し続けており、「世界最高水準の教育の達成」(教育再生会議第一次報告)を目指すには、日本の高等教育政策の実状は余りにも貧困と言わざるを得ない。本来、大学が持つ機能・役割を自律的に果たすことによって、地域・日本・世界の発展に貢献するためには、高等教育予算を大幅に引き上げることが不可欠の課題である。今、私立大学全体の教育・研究条件の改善・充実を進めるとともに、学生・父母の学費負担を軽減する総合的な施策を実現し、だれもが安心して教育を受けることのできる条件整備が強く求められる。
 ついては、次の措置を速やかに採られたい。

一、日本の高等教育予算を大幅に増額するとともに、国立大学法人、公立大学、私立大学の予算配分格差を是正して、国民の教育を受ける権利をひとしく保障するために、次の内容で充実・改善を図ること。
 1 高等教育予算をOECD平均並み(対GDP比一・〇%)に増額すること。
 2 一般補助を軸に、私大経常費二分の一補助の実現をすること。
二、経済的格差の拡大によって大学への進学が困難となっている学生を支援するために、日本学生支援機構の奨学金事業を、次の内容で抜本的に充実すること。
 1 無利子奨学金枠の拡大を基本とした育英奨学金制度の充実改善を図ること。
 2 給費制奨学金制度を創設すること。
三、国際人権規約第一三条(c)高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回すること。

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