請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 144 件名 助産師の開業権を守り、医療法第十九条を廃止し、安全確保の法整備を行うことに関する請願
要旨  助産師は、法律により開業権が明文化され、保障されている専門職で、助産所において又は出張助産師等として、地域社会に合った形態で、女性とその家族の子産み・子育ての支援をしてきた。従来は、嘱託医師を定めるだけで近隣の医師からの協力を得て開業することができたが、平成一八年六月の改正医療法第一九条により、嘱託医師は産婦人科医及び産科病院の確保が助産師個人の努力として義務化された。しかし、産婦人科医不足の現状及び診療所や病院側が連携に積極的でないなど、助産所の開業・存続を厳しいものにしている。医療法第一九条は、助産師の開業条件を定めた条文であり、開業権が法律で保障されている助産師は、医師や病院の承諾がないと開業できない。助産師が地域の中でもっと活躍するためにも、開業権を脅かす医療法第一九条の廃止を求める。すべての出産に対して安全・安心を提供するためには、助産師個人が自助努力で嘱託医師や嘱託病院を確保するのではなく、国や地方自治体が主体となって出産環境のシステム構築に取り組む必要がある。特に、自治体病院に対しては必然的に連携医療機関としての後方支援を担う役割を義務付け、診療所、助産所や自宅出産の受入れを無条件にするよう、また後方支援した病院や診療所には、助産所からの搬送を受け入れた際に、診療報酬が支払われるよう求める。助産師は正常な出産の介助を行う専門職であり、多くの開業助産師を活用することで、全国で深刻な問題となっている産科医不足を解消する役割を担うことができる。助産師は、自然出産やカンガルーケア、母乳育児など、女性が求めた多くのケアを女性と共につくり、社会に発信してきた。このようなお産の在り方とその発信場所である助産所等を失うことは、女性にとって大きな損失である。育児不安や虐待のある現代にこそ、助産師の温かいケアと優しいお産場所をもっと増やすよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、平成一九年四月から施行された改正医療法第一九条により、助産師個人が自助努力で嘱託の産婦人科医と、嘱託する病院を定める必要が義務化され、助産所の開業・存続を非常に厳しい状況に追い込んでいる。助産師の自律した開業権を守るために医療法第一九条を廃止すること。
二、すべての出産に安全・安心を保障するため、国や地方自治体は、各地域の中核的病院に対して、診療所や助産所、及び自宅出産に対する連携医療機関としての役割を義務付け、その条文を医療法第三○条の三に基づく医療提供体制に関して厚生労働大臣が定める基本方針に追記すること。
三、出産のケアに伴う助産師の業務を拡大し、助産師をもっと活用すること。

一覧に戻る