請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 5 件名 親族に対する発信の制限規定の発令・発動の取消し・撤廃及び法的根拠の説明並びに法律の解釈・運用の明確な基準の確立に関する請願
要旨  (一)当局は、新法(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律)の施行に伴い、いつの間にか親族に対する発信の制限規定、すなわち「名あて人以外の者に対する伝言は、○○さんによろしくお伝えください、程度にとどめること」旨とする、言わば第二の法、あるいは裏の法というべきものを発令、発動してきた。(二)発令は、死刑確定者の更なる隔離、分断、孤立化を図ったものであり、当事者の心情の不安をあおり、かつ防御権の侵害まで犯しているのであり、その強権的、恣意(しい)的、独善的対応は、新法の趣旨、精神に反し、公権力の過剰行使と言わざるを得ない。(三)請願人らは権力の横暴、すなわち昭和三八年依命通達の発令で苦しめられ、また今回、所長以下が発令した親族に対する発信の制限規定で苦しめられ、多大な不便性、不利益性を強いられている。同発令により、不当、多大な不利益性を強いていながら、これまで具体的説明は一切なく、単に「新法に基づき、審査した結果である」とし、親族からの郵送物について不許可(没収)を繰り返している。(四)前記のように仮に説明責任を果たさず、逃げ回っていることが許されるとしたら、更なる役人天国、官僚支配の出現、維持、増大につながる。
 当発令は、明らかに公権力を悪用、乱用し、懲罰的、恣意的意味をもって発令、発動されたものであり、その主たるものは、死刑囚の隔離、分断、孤立化、及び再審裁判妨害等であることは間違いない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。(資料添付)

一、法令違反(新法の趣旨、精神に反する)、及び公権力の過剰行使、すなわち親族等に対する発信の制限規定の発令、発動の取消し及び撤廃を行い、是正、改善、すなわち発受に関し、法に則した正常、適正な運用を行うこと。
二、昭和三八年通達命令同様、死刑囚を苦しめ、泣かせている親族に対する発信の制限規定の発令、発動について、以下についての説明、及び究明を行うこと。
 1 発信制限の発令、発動は法趣旨、精神に反し、かつ予定してないものであり、仮に当発令を、飽くまでも正当化するのであれば、新法のどの部分の条文を根拠に発令したものなのか明確にすること。
 2 前記は、新法は全く予定してないものであり、発令の理由、意図、目的を明確にすること。
 3 新法は、第一二〇条第三項において、交通相手方として「死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者」とし、社会的批判や管理上支障ない限り、原則権利として認めている。他方、現状は発令をもって、親族を介しての郵送物について、本人の意思とは関係なく、一方的に交付不許可(没収)を繰り返しているが、新法の趣旨と発信制限の発令とは、どう合致し、どう整合するのか、説明すること。
 4 仮に親族に対する発信の制限規定の発令が、死刑確定者の更なる隔離、分断、孤立化を図る意図、目的とすると、矯正局長の国会答弁(平成一八年四月一四日、衆議院法務委員会)、「確定者の心情の安定が得られることに留意するという処遇の原則に照らして有益と認められる場合には、共同の処遇も可能としているところでございます。」旨に反していることになり、全く一貫性がなく、前記矛盾、疑問について説明すること。
   実際、現場においては、答弁とは裏腹に、隔離、分断、孤立化処遇が急速に進んでいる。
 5 親族からの郵送物、すなわち友人、知人からの伝文について、長年にわたり許可されてきていたものであり、一切の支障や事故的なことも発生してないのに、新法が施行されると一転して交付不許可(没収)としてきたが、旧法と新法とでは、どこがどう違うのか、新法の処遇原則や国会答弁等を踏まえて説明すること。また、処分の法的根拠、すなわち新法の何条、どの部分の法や原則に照らしての処分なのか、明確にすること。
 6 法趣旨の「心情の安定に資すると認められる者」に関して、その意味や運用の方向性について、原則許可を想定してのことなのか、原則不許可を想定しているのか、処遇原則とも照らし、明確にすること。
 7 新法は(旧法も同様)、交通相手方として「心情の安定に資すると認められる者」旨としているところ、本人の意思や希望に関係なく、一方的に交付不許可(没収)を繰り返しているが、その判断について、だれが何を基準にし、どのような形で決めているのか、判断基準を明確にすること。一方的に没収及び発信不許可等を繰り返している特別の理由は何なのか、どこにあるのか、あるいは、何を心配し、何を恐れているのか、または恐れなければいけないのか、明確にすること。
 8 本人の意思や希望に関係なく、一方的に信書等の没収を繰り返しているが、本人の意思や希望を無視して、心情の安定の実現は可能か否か、どのように考えているのか、明確にすること 。他方、心情の安定との整合性についてはどのように考えているのか、本人の意思や希望など関係ないということなのか、明確にすること。
 9 特別権力関係において「通達」「命令」「指示」文書の発布、発令は、いったん発動されると法同等の効力を発揮してしまうわけであり、親族に対する発信の制限規定が、真に必要なものであれば、当然審議段階において、正々堂々と法案提起すればよく、それをなぜこそこそと発令、発動するようなことをしたのか、また、なぜ、そうしなければならなかったのか、説明すること。

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