請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 332 件名 二千七年十月に予定されている大阪大学と大阪外国語大学の統合の凍結に関する請願
要旨  次の事項について実現を図られたい。

一、二〇〇七年一〇月に予定されている大阪大学と大阪外国語大学の統合は、大阪外国語大学の夜間主コースの廃止を余儀なくするものであるため、この統合を凍結する国会決議を採択すること。

   理由
 「大阪大学と大阪外国語大学の統合について」によると、夜間主コースは大学院レベルの多様な社会人教育に特化するとして、現行の大阪外国語大学外国語学部の夜間主コースは廃止されることになっている。大学教育の機会を勤労学生にも広く開放しようとの理念に基づいて設置された夜間主コースは、現在二学科六専攻語を有し、毎年社会人を含む約一八〇名の学生を受け入れており、ライフスタイルの多様化、シニア世代の増加、生涯学習の普及などの流れを受けて、存在意義は更に増している。府下国公立大学の中でも希少な勤労者の学べる場として重要な役割を果たしている夜間主コースを廃止することは、昼夜開講制という大きな特長が喪失されることになり、地域社会にとっても多大な損失になる。今回の統合では、大阪外国語大学の夜間主コースが廃止になるだけでなく、外国語学科一学科制に再編・改組、国際文化学科(日本語専攻以外)が解体されるが、統合に伴って一つの学科がなくなることは、これまで行われてきた国立大学法人の再編・統合の中でも、極めて異例である。新生大阪大学で事実上消滅する夜間主コースや国際文化学科に所属する在学生にとっては、入学時に想定していたものと大きく学習環境が変わってしまうのは明らかである。大阪外国語大学は、「統合後も在学生に対しては現行の教育課程を保障する」と明言しているものの、その具体的な策は示されていない。教員の配置、授業カリキュラムなどを未定として明確な回答の得られない現状では、このような約束が実効性を持つとは言い難く、在学生が不利益を被る可能性をはらんでいる。今回の再編・統合に関して、大阪外国語大学の学生及び院生に対して情報の公開や説明が十分に行われておらず、再編・統合を本年一〇月としながら、いまだ統合の目的や経緯、再編・統合に伴う変更事項を学内に公表していない。国立大学協会理事会は「国立大学の再編・統合等について」(平成一三年一〇月)において、再編・統合を検討するに当たっての前提として「大学の自発性・自主性に基づいて進められなければならない」としているが、今回の再編・統合の検討は、大学の主体であるはずの学生に何の合意もなしに進められている点で、大学の自発性・自主性に基づいた決定とは言い難く、これに全く相反するものである。今後学生及び地域住民を含む更に幅広い意見を取り入れ、十分な議論を経た上で慎重に取り決められ、在学生への負担や社会的な損失を伴わない再編・統合が民主的かつ公正に進められることを求める。

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