請願

 

第166回国会 請願の内閣処理経過

件名 身近な地域での安心して産める場所の確保に関する請願
新件番号 1886 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H19.11.7
処理要領 一 医師の確保については、平成十八年八月に政府において「新医師確保総合対策」をとりまとめ、特に医師不足の著しい県における大学医学部や自治医科大学の暫定的な定員増の容認等を行ったところである。平成十九年度においても、引き続き、医師の集まる拠点病院づくりの推進、病院や診療所などの医療機関相互のネットワークの構築等、医師の確保に向けた様々な対策を推進しているところである。また平成十九年五月には政府・与党において「緊急医師確保対策について」をとりまとめたところであり、この対策の中でも、医師が不足している地域や診療科で勤務する医師の養成を推進するため、医師養成数の緊急臨時的な増加等を盛り込んでおり、これらの施策を速やかに具体化し、実効性のある対策を講じてまいりたい。
 また、地域において安心・安全なお産ができる体制を確保し、限られた医療資源を効率的に活用するという観点から、産科医師との適切な役割分担・連携の下、正常産を扱うことができる助産師を活用する体制の整備を進めることが重要である。このため、平成十八年度には、助産師確保総合対策事業を創設し、産科診療所における助産師確保の施策に取り組むとともに、平成十九年度には従来からの助産師養成所に対する補助に加え、開校を控えた定時制の養成所に対して教員の確保に必要な経費の一部を助成する事業を創設したところである。今後とも、助産師の養成の促進を始めとした確保対策に取り組んでまいりたい。
二 地域において安心・安全なお産ができる体制を確保し、限られた医療資源を効率的に活用するという観点から、産科医師との適切な役割分担・連携の下、正常産を扱うことができる助産師を活用する体制の整備を進めることが重要である。このため、政府においては、例えば、医師と役割分担しながら、病院内で助産師が正常分娩を扱う「院内助産システム」や、妊産婦健診や保健指導等を行う「助産師外来」を開設する等の新たな助産師活用について調査・研究を進めており、その成果を踏まえ、有効な活用策を普及してまいりたい。
三 産科医療については、限られた医療資源を重点的かつ効率的に配置して、医療機関相互の連携体制を構築していくことが大変有効である。このため、都道府県が中心となり、地域の医療関係者や住民の意見などを踏まえて病院の拠点化を進めているところである。その際、地域の病院の外来機能と拠点病院の医療との連携を図る等、その地域の患者の医療へのアクセスに十分配慮した上で対応していくことが重要である。
 また、妊娠、出産から新生児に至る総合的な周産期医療体制を整備することは、安心して子どもを生み育てるために重要であることから、一般の産科病院等と高次の医療機関との連携体制を確保する「周産期医療ネットワーク」の整備を進めているところであり、未整備の県における早急な整備、整備されるまでの間の現行体制での迅速かつ適切な医療の提供、既整備の都道府県における現行体制の点検及びその充実を図る取組を促し、平成十九年度中の全都道府県整備に向け、努力しているところである。
 さらに、産科医確保対策としては、産科におけるリスクの高まりや訴訟件数の増加が懸念されていることから、死因究明制度の制度化等の検討や産科医療補償制度の検討を進めるとともに、産科に多い女性医師の就労を支援するための「女性医師バンク」の設立や院内保育所の整備等を推進しているところである。
 これらの施策の実施を通じて、引き続き、安心して出産できる環境の確保に取り組んでまいりたい。
四 地域の産科医療の安全を確保するため、嘱託医や嘱託医療機関の要件に該当する病院・診療所及び医師には積極的にその役割を引き受けていただくのが望ましいところであり、政府としては、都道府県や関係団体に対し、その旨の指導を行っている。その結果、例えば社団法人日本産婦人科医会は、会員に対し、助産所の嘱託医として助産所の支援に協力するよう呼びかけるなどの対応を始めており、今後とも、こうした指導を行うなど嘱託医や嘱託医療機関の確保に向けた必要な取組を行い、これら医療機関が緊急搬送の受入れに積極的に協力していただけるよう努めてまいりたい。

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