請願

 

第166回国会 請願の内閣処理経過

件名 北方領土返還促進に関する請願
新件番号 1463 所管省庁 外務省 内閣処理経過受領年月日 H19.11.7
処理要領 一 北方四島の返還要求について、改めて国会において決議することについては、立法府の判断にゆだねられるべきものであると考える。
二 北方領土問題に関するロシア政府との交渉に当たっての政府の取組については、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の北方四島は、歴史的にも法的にも我が国固有の領土であり、その返還は我が国国民の総意であるにもかかわらず、戦後六十年以上を経た今日、これら諸島がなおロシアの不法占拠下に置かれていることは誠に遺憾である。
 平成十五年一月の小泉純一郎内閣総理大臣の訪露の際の日露首脳会談において、両首脳は、「択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより平和条約を可能な限り早期に締結し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきであるとの決意」を確認し、平和条約交渉に資するものとして「日露行動計画」を採択した。同行動計画の中では、一九五六年日ソ共同宣言、一九九三年東京宣言、二〇〇一年イルクーツク声明及びその他の諸合意が今後の交渉の基礎となるものとして挙げられており、交渉を加速することとされている。
 近年、「日露行動計画」に基づき、幅広い分野で我が国とロシア連邦との間の関係が順調に発展してきているところであるが、今後は、領土問題の解決に向けて、同行動計画の重要な柱である平和条約交渉についても進展を図っていく必要がある。平成十九年六月のハイリゲンダム・サミットの際の日露首脳会談においては、安倍晋三内閣総理大臣より、この点を強く申し入れた上で、北方領土問題を先送りしたり、棚上げしたりしないで、最終的に解決すべく、交渉を促進させようと述べた。これに対して、プーチン・ロシア連邦大統領は、両国間の障害となるものをすべて取り除きたい、平和条約交渉のプロセスを停滞させず、促進させるよう改めて指示を出したい旨述べ、北方領土問題の解決を図るべく精力的に交渉を行うことで一致したところである。政府としては、このような両首脳間のやり取りも踏まえ、国民の広範な支持を得ながら、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針に従い、この問題の最終的解決に向けて具体的な進展が得られるよう、強い意思をもってロシア連邦との間で交渉を進めていく考えである。
 また、北方領土問題の解決のための環境整備として、四島交流、自由訪問、北方墓参、北方四島住民支援、北方四島周辺水域操業枠組協定に基づく日本漁船の操業といった枠組みは、重要な意義を有している。我が国国民と北方四島に居住するロシア連邦国民との間の四島交流においては、平成十八年までに延べ一万三千八百六十六人が相互に交流しており、我が国国民と北方四島住民との間の相互理解を促進する上で大きな成果をあげてきている。また、これらの枠組みによる事業に加えて、平成十九年二月のフラトコフ・ロシア連邦首相の訪日の際に、「日本国及びロシア連邦の隣接地域における地震、火山噴火及び津波の予測、警戒及び対処の分野に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協力プログラム」が作成され、現在、同プログラムに基づいて我が国の地震・火山学専門家による北方四島訪問等を始めとした協力が開始されている。さらに、平成十九年五月の麻生太郎外務大臣のロシア連邦訪問の際、両国外務大臣は、防災分野における協力と同様に、北方四島を含む両国の隣接地域において生態系の保全及び持続可能な利用に関する協力を行うことについて検討するため、両国の専門家による協議を実施することで一致している。政府としては、高齢化する元島民の負担軽減の観点からも、安定的な四島への移動手段の確保や手続の簡素化等、四島交流、自由訪問及び北方墓参の枠組みで行われている事業の改善に引き続き努めるとともに、これらの事業の拡充に努めてまいりたい。

一覧に戻る