請願

 

第166回国会 請願の内閣処理経過

件名 新・腎疾患対策の早期確立に関する請願
新件番号 546 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H19.11.7
処理要領 一 腎臓病の原因には不明なものもあり、原因究明の取組が必要であるが、他方、近年、糖尿病性腎症など、生活習慣に起因する腎臓病が明らかに増加傾向にあり、その予防に当たっては、食生活や運動習慣の改善を始めとする生活習慣病対策が重要である。
 健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十四号)においては、予防の重視を一つの柱に位置付け、生活習慣病対策を推進することとしており、具体的には、保険者の役割を明確化し、効果的、効率的な健康診査や保健指導を義務付けることや、適度な運動、健全な食生活及び禁煙を柱とする生活習慣の改善に向けた国民運動を展開すること等により、糖尿病等の生活習慣病の予防に向けた取組を進めることとしている。
二 腎臓病に係る研究については、厚生労働科学研究費補助金による難治性疾患克服研究事業等において、進行性腎障害に関する調査研究や腎不全回復療法の開発等の研究を推進しており、腎臓病の原因究明に係る研究についても同事業等を通じて推進してまいりたい。
三 腎疾患による腎臓の機能の障害を有する者を含め、介護を必要とする者に対しては、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)において、障害の種別や年齢に関わりなく、市町村において一元的にサービスの提供を行う仕組みとしている。
 また、六十五歳以上の要介護状態又は要支援状態にある者及び四十歳以上六十五歳未満の加齢に起因する疾病により要介護状態又は要支援状態にある者に対しては、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)において、必要な介護サービスを提供している。
 今後とも、これらの施策を進めることにより、介護サービスの適切な提供が図られるよう努めてまいりたい。
四 在宅の障害者に対する障害福祉サービスについては、障害者自立支援法に基づき、通院介護も含めた障害福祉サービスの整備が計画的に進められているところである。
 また、同法に基づき、市町村等の支給認定を受けた透析患者に対しては、医療費に係る自己負担部分について、自立支援医療費の公費負担がなされているところである。
 今後とも、質の高い障害福祉サービス及び医療の提供に努めてまいりたい。
五 透析医療における院内感染対策については、「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル」を作成し、透析医療における院内感染の予防対策を行ってきたところである。また、平成十八年六月に成立した良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律においては、病院、診療所及び助産所の管理者に対して医療の安全を確保するための措置の義務付け、院内感染対策や医薬品・医療機器に係る安全管理体制の確保を含む安全管理体制の充実・強化を図ったところである。
六 医師の確保については、平成十八年八月に政府において「新医師確保総合対策」をとりまとめ、特に医師不足の著しい県における大学医学部や自治医科大学の暫定的な定員増の容認等を行ったところである。平成十九年度においても、引き続き、医師の集まる拠点病院づくりの推進、病院や診療所などの医療機関相互のネットワークの構築等、医師の確保に向けた様々な対策を推進しているところである。また、平成十九年五月には政府・与党において「緊急医師確保対策について」をとりまとめたところであり、この対策の中でも、医師が不足している地域や診療科で勤務する医師の養成を推進するため、医師養成数の緊急臨時的な増加等を盛り込んでおり、これらの施策を速やかに具体化し、実効性のある対策を講じてまいりたい。
 看護師等については、急速な少子高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、保健医療サービスの担い手となる看護師等の人材確保は極めて重要となっており、これまでも看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)に基づき、資質の向上、養成力の確保、再就業の促進、離職の防止等総合的な対策を推進してきており、看護師等の就業者数は毎年着実に増加しているところである。平成十九年度においても、看護師等養成所及び院内保育施設の運営並びに都道府県が実施している看護師等の確保が困難な医療機関を対象とする人材確保に向けた総合的な支援事業等に対する国庫補助を行っており、今後とも、看護師等の確保に努めてまいりたい。
 福祉・介護サービス分野においては、高い離職率と相まって、常態的に求人募集が行われ、一部の地域や事業所では人手不足が生じているとの指摘もある。
 このような状況を踏まえ、平成十九年八月に、社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針(平成五年厚生省告示第百 十六号)を改正したところであり、この指針に基づき、福祉・介護サービスが就職期の若年層を中心とした国民各層から選択される職業となるよう、労働環境の整備の推進や従事者のキャリアアップの仕組みの構築を行うとともに、高い専門性を有する従事者にはその社会的評価に見合う処遇が確保され、従事者の努力が報われる仕組みを構築していくこと等により、福祉・介護サービスの担い手の確保に努めてまいりたい。
さらに、訪問介護員についても、平成十九年度において、引き続き、離島等でのサービス確保の観点から、都道府県に対して必要な補助を行っているところである。
七 臓器移植の普及・啓発については、地方公共団体や社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)を始めとする関係機関等との連携の下、臓器提供意思表示カードの普及、政府広報等を活用した普及啓発等に取り組んでいるところである。また、平成十九年一月から政府管掌健康保険の被保険者証に臓器提供意思表示欄を順次導入することとしたほか、三月にはネットワークにおいてインターネットを活用した臓器提供意思登録システムの運用を開始したところである。
 臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)において、地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨規定されていることを受け、各都道府県においては、都道府県臓器移植連絡調整者(以下「都道府県コーディネーター」という。)を、腎バンク、病院等の臓器移植対策の推進に適すると認める場所に設置しているところである。このため、都道府県コーディネーターの増員及び個々のコーディネーターの就業条件等その身分に係る取扱いについては、都道府県において決定されるものと考えている。また、院内コーディネーターの設置についても、地域の実情に応じた、都道府県における移植医療の推進のための取組の一つと考えている。
 なお、政府としては、都道府県コーディネーターについては、移植医療を含めた医学的知識や法制度等について一定以上の理解や知識が求められるものと認識しており、このため、その質を担保する観点から、ネットワークが行う試験に合格した医療有資格者であること等その採用に当たって求められる基準を示すとともに、ネットワークが行う研修に対して国庫補助を行うほか、都道府県コーディネーターがネットワークの指揮命令下であっせん業務を行う際の活動費について国庫補助を行っているところである。また、平成十九年度からは、ネットワークが行う院内コーディネーターの技術研修会に係る費用について、国庫補助を行うこととしたところである。
八 災害時の透析医療の確保については、厚生労働省防災業務計画において、被災都道府県は、社団法人日本透析医会が提供する被災地等における人工透析患者の受療状況や透析医療機関の稼働状況に係る情報を透析患者や患者団体に提供するほか、透析医療機関における水・医薬品等の確保等の必要な措置を講ずることとされている。また、患者等の搬送についても、都道府県は、平常時から、災害時における複数の搬送手段の確保に努めるほか、厚生労働省が関係省庁と必要な調整を行うこととなっている。
 政府としては、大規模な災害が発生する都度、都道府県及び社団法人日本透析医会に対して、こうした人工透析提供体制の確保を図るよう周知しているところであり、今後とも、大規模な災害発生時にも対処できる人工透析提供体制の確立に向けて、都道府県及び社団法人日本透析医会と連携して、適切に対応してまいりたい。

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