請願

 

第165回国会 請願の要旨

新件番号 1024 件名 保育制度の改善と充実に関する請願
要旨  我が国は依然として少子化に歯止めが掛からず、今後の社会・経済や同世代の減少により、子供たちの健全育成に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。政府では国の最重要課題として、子供・子育て応援プランに加えて、子育て支援、働き方の改革などを柱にした、新しい少子化対策を推進することとしている。このような中、保育所は、多様化する保育需要に柔軟に対応し、家庭に代わる生活の場を提供する機能、保護者の仕事と子育ての両立を支援する機能の充実や育児相談など地域社会における子育て支援サービスの中核施設として積極的に取り組むことが期待されている。子育て支援は、国及び自治体の責任の下で推進されるべきとの認識から、保育所の運営に要する経費は、民間保育所については、国の直接負担制度となっており、公立保育所については、公的財源で直接運営されることから、自治体の判断で使用できる、一般財源の中から支払われている。また、保育所へ入所する場合は、市町村の関与(保護者と市町村の入所契約)の下に、入所したい保育所が選べる制度となっている。しかし、依然として財源論だけで、民間保育所運営費の全部又は一部を国の直接負担をなくし、市町村において使い道の制限がない一般財源とする議論や提案が続いている。民間保育所運営費が一般財源になると、保育所の予算が減額され、保育料の大幅な値上げや保育環境の悪化につながり、現在の保育の質が確保できなくなるおそれがある。また、経済性や効率性を優先する規制改革の関係者は、入所方法を保育所と保護者の直接契約とすることや認可保育所に対する補助金を廃止し、薄めて保護者に直接補助する方式に転換することを提言している。提言が実行されると、低所得者などの弱い立場の家庭の子供が入所できなくなるおそれや、保育の質の低下を招くおそれがある。次代を担う子供の保育環境を守るため、現行の保育所制度を維持する必要がある。待機児童の解消、多様な保育需要に対応した多機能保育所にするため基準面積増、園舎の老朽化等増改築を要する保育所が増加している。地域の特性をいかして乳幼児を心身共に健やかに育成するため、保育所の環境整備に要する国の予算の増額が必要である。保育料は、若い子育て世帯にとって負担となっており、生活費に占める割合は高率になっている。特に、共働き世帯の合算収入による保育料は高額となり強い不公平感がある。保護者が安心して保育所に預けることができるように、保護者負担の軽減と公平化を図る必要がある。保育現場においては、多様な保育需要への対応や保護者への支援並びに地域の子育て相談などにより保育士の業務が大幅に増大している。さらに、保育園長や主任保育士は担当保育士の保育業務の応援や事務職員が配置されていない保育所にあっては、更に事務的な仕事に時間と労力を費やしている。質の高い保育を行うには、保育士の配置基準の改善や健全な保育所運営のために事務職員をすべての保育所に配置することが必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、民間保育所運営費の現行制度を維持すること。
二、保育所整備を推進すること。
三、保育料基準を改善すること。
四、保育所職員の人材確保対策を推進すること。

一覧に戻る