請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 2443 件名 公営住宅に関する請願
要旨  一九九六(平成八)年の公営住宅法の改定は、入居収入基準を国民の収入分位三三%から二五%に切り下げ、裁量階層の同基準を四〇%まで緩和する一方、六〇%を超える収入超過者の追い出しを強化した。そのため公営住宅団地の高齢化が急速に進行し、入居者の所得分布も、政令月収で〇~一二三、〇〇〇円の最も低い層が八〇%にも達する状況を生み出した。公営住宅への社会的に弱い立場の世帯の集住化は、団地の活性化やコミュニティバランス、まちづくりの大きな障害となっている。また、家賃への市場原理の導入は、入居者に重い経済的負担を強いる結果となっている。そのうえ、二〇〇五年九月の社会資本整備審議会の「新たな住宅政策に対応した制度的枠組みについて」の答申では、公営住宅制度を「住宅のセーフティネット」と位置付けて、(一)施策対象(二)入居制度(三)供給の仕組み等、全面的な見直しが提言されている。答申の方向での公営住宅施策では、コミュニティバランスの更なる低下、まちづくりの視点を欠いた、公営住宅団地を丸ごと福祉施設化してしまう。公営住宅は、制度の性質上、セーフティネットとしての役割の側面もあるが、同時に五〇〇戸、一、〇〇〇戸を超える大団地が、取り分け都市部に多くあり、地域のまちづくりの中心的位置に存在している。まちづくりの視点を重視する公営住宅施策を求める。答申によるこれ以上の公営住宅制度の変質ではなく、第二回国連人間居住会議で決議した「居住の権利は基本的人権」の方向に政策転換を図るよう求める。都市部では応募倍率が二けたを超える地域、それに近い地域が存在する。また、雇用不安や将来予測される税、医療、教育、福祉の負担増による生活不安から、公営住宅に対するニーズや期待が高まっている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、一九九六(平成八)年の公営住宅法の改定は、公営住宅団地の高齢化の速度を速め、まちづくりとコミュニティ活動に、様々な支障が表面化してきた。市場至上主義、セーフティネット論などによる、これ以上の公営住宅制度の改定(後退)は行わないこと。
二、公営住宅への国民のニーズや期待は高まっている。取り分け都市部を中心に公営住宅供給の拡大を図ること。

一覧に戻る