請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 2156 件名 無年金の在日外国人障害者・高齢者の救済に関する請願
要旨  二〇〇四年一二月、「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」(以下「特定障害給付金法」)が成立した。この法律は、そもそも制度的不備により無年金となっている障害者を救済する目的でつくられるべき法律であった。しかし、本人の責任によらずに無年金とされている在日外国人障害者は、この法律の対象から外された。在日外国人高齢者についても救済措置は何ら講じられていない。日本も批准している国際人権規約や難民条約では、社会保障上での内外人平等が規定されている。無年金の在日外国人の大多数を占めるのは在日韓国・朝鮮人で、日本の植民地支配の過程でやむを得ず日本に移り住むことになり、戦後、一方的に日本国籍を剥奪(はくだつ)されながら、様々な事情のため、日本に住み続けることになった。国際的に見ても、植民地支配をしていた国は旧植民地出身者に対して社会保障面での平等待遇をするのが、難民条約締結以前からの常識である。難民条約発効(一九八二年一月)に伴い国民年金法から国籍要件が撤廃され、定住外国人にも国民年金加入の道が開かれた。しかし、経過措置が行われなかったため、現在四三歳以上の障害者や八○歳以上の高齢者は、無年金のままに放置されている。日本人に対しては、制度の不備によって無年金者が出ないように対策が講じられてきたが、在日外国人に対しては同じような措置は採られず、無年金者が残された。重度障害者の場合、無収入か、働いても月二~三万円と低賃金であることが多く、年金は主要な収入源になっている。この年金さえないために、ほとんどの無年金在日外国人障害者は最低限の生活が成り立っていない。特定障害給付金法の附則には、在日障害者については必要があると認めるときは所要の措置を講じるとある。しかも多くの地方自治体では以前からその必要性を認め、自治体独自で特別給付金制度を実施し、毎年のように国への制度整備の要望もなされている。無年金の在日外国人高齢者は、日本の植民地支配による苦労を最も受けた世代であり、戦後も日本社会の中で差別され、多くは劣悪な環境に追いやられ、それでもなお、必死に働き税金も納めている。そういう世代の在日高齢者が、月額三万円程度の老齢福祉年金すら受けられないのである。本人の責任によらず無年金となっている在日外国人をこのまま放置することは、日本が批准した各種の人権条約の内外人平等原則に反する。国会が人権条約を遵守し、歴史の反省の上に立って在日外国人の人権として年金保障を実現することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律を改正し、同法に定める特定障害者に無年金の在日外国人障害者を含めること。
二、無年金の在日外国人高齢者に、老齢基礎年金相当の給付金を支給する制度措置を講じること。

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