請願

 

第163回国会 請願の要旨

新件番号 351 件名 義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願
要旨  次の事項について実現を図られたい。

一、義務教育費国庫負担制度の現行水準を維持すること。

   理由
 現行の義務教育費国庫負担制度は、一九五三年の義務教育費国庫負担法の施行に始まる。一九五〇年税財政改革で旧義務教育費国庫負担制度廃止と地方平衡交付金への組入れが実施されたものの、地方財政力の格差により教職員給与遅配などを出来(しゅったい)し、国庫負担制度が復活した。以降、一九七四年に学校栄養職員が負担対象とされるまで、国庫負担の対象費目は拡充されてきた。しかし、大蔵省(当時)は国家財政逼迫(ひっぱく)を背景に、一九八五年度の予算編成に当たり、義務教育費国庫負担制度を抜本的に見直す方針を明らかにし、「教壇に立たない職員まで国庫負担する必要はない」として、学校事務職員・栄養職員の人件費を全面的に対象から外す方針を打ち出した。これに対し、地方自治体の財政負担の増大に対する懸念、学校教育にもたらす影響の大きさから、地方議会・自治体、教育界から反対の声が起こり、見送られてきた。一方、一九八五年度以降対象費目から旅費、教材費、共済費、退職手当等が外され、現在では給与費だけが残っている。昨年八月、地方六団体が政府に提出した「国庫補助負担金等に関する改革案」は、最終的に義務教育費国庫負担制度を廃止することをうたっている。二〇〇五年度予算では四、二五〇億円が暫定的に税源移譲予定特例交付金とされた。同一一月の政府与党合意は、この問題についてこの秋までに中央教育審議会で結論を得るとしている。昨年度、地方交付税・臨時財政対策債二兆九千億円が削減され、予算編成に苦慮する自治体が続出した。ここで義務教育費国庫負担制度を廃止すれば、教職員の定数、給与等が自治体財政の差異により左右される不安定な状態に陥る。取り分け、学校事務職員・栄養職員等の少数職種については切実である。子供たちの学習環境に著しい格差が生じ、憲法でうたわれた教育の機会均等の理念に背く事態となる。

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