請願

 

第163回国会 請願の要旨

新件番号 170 件名 保育制度の改善と充実に関する請願
要旨  急速な少子化の進行は、我が国の将来に重大な影響を及ぼすものであり、次代を担う子供が心身共に健全に育成されるための環境を整備することは、国家の最優先課題である。政府においては、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画や新たな子供・子育て応援プランを策定し、少子化の流れを変えるための施策を推進している。保育所は、多様化する保育需要に柔軟に対応し、保護者の仕事と子育ての両立を支援する機能の充実や育児相談など地域社会における子育て支援サービスの中核施設として積極的に取り組むことが期待されている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、民間保育所運営費国庫負担制度を維持すること。
   子育て支援は、国の責任と関与の下で推進されるべきとの認識から、子育て支援対策の中核を担っている保育所の運営に要する経費は、国の直接負担制度となっていた。しかし、政府は昨年度、公立保育所運営費を国の直接負担から市町村において使い道の制限がない一般財源とした。このため、国から交付される財源に不均衡が生じ、自治体によっては、保育のための財源が不足し、保育料の値上げや他の財源から補填(ほてん)する事態を招いている。民間保育所は、公的な補助金で運営されており、運営費が一般財源化になると、市町村の財政状況により、保育予算が減額され、保育料の大幅な値上げや保育環境の悪化につながり、現在の保育の質が確保できなくなるおそれがある。次代を担う子供の保育環境を守るため、民間保育所運営費の国庫負担制度を維持する必要がある。
二、保育所整備を推進すること。
   待機児童の解消、多様な保育需要に対応した多機能保育所にするため基準面積増、園舎の老朽化等増改築を要する保育所が増加している。地域の特性をいかして乳幼児を心身共に健やかに育成するため、保育所の環境整備に要する国の予算の増額が必要である。
三、保育料基準を改善すること。
   保育料は、家計の中でも高い負担となっており、生活費に占める保育料の割合は高率になっている。特に、共働き勤労世帯の合算収入による保育料は高額となり強い不公平感がある。子供たちの幸せのために、また、保護者が安心して保育所に預けることができるように、保護者負担の軽減と公平化を図る必要がある。
四、保育所職員の人材確保対策を推進すること。
   保護者が安心して子供を託すには、何よりも保育内容が充実していることである。しかし、保育現場においては、多様な保育需要への対応や地域の子育て相談などにより保育士の業務が大幅に増大している。さらに、保育園長や主任保育士は担当保育士の保育業務の応援や事務的な仕事に時間と労力を費やしている。質の高い保育を行うには、保育士の配置基準の改善や健全な保育所運営のために事務職員をすべての保育所に配置することが必要である。

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