請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 1252 件名 防災・環境・生活優先の公共事業への転換に関する請願
要旨  二○○四年は梅雨前線や相次ぐ台風の上陸による風水害、新潟県中越地方を震源とする地震被害など、多くの人命と財産が犠牲となっている。我が国は地形や気象条件から地震や火山噴火、風水害が発生しやすい国土となっており、自然災害に対する防災対策が急がれる。一方、建設産業界は長期に及ぶ不況により市場の縮小と競争の激化で、重層下請構造の中、採算無視の指値発注や下請代金・賃金の切下げ・不払などが横行し、建設現場で働く労働者・業者が倒産、廃業、夜逃げ、自殺に追い込まれる深刻な事態に陥っている。政府は、公共事業においてコスト構造改革を進めており、設計労務単価の引下げは、賃金・労働条件の切下げに拍車を掛けている。また、発注官公庁や独立行政法人では、職員の大幅削減で発注や施工管理を担う職員が不足し、積算作業から工事検査まで合理化・民間委託が進められ、公共工事の安全で公正な執行における行政の責任やサービスが果たせなくなっている。国民の安全を確保する防災対策、暮らしの基礎となる環境保全事業、住民生活向上につながる公共事業を求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、公共事業を国民の生活関連と国土・環境保全優先に転換し、国民本位の公共事業執行体制の整備を図るために
 1 公共施設の維持修繕の予算拡充を図ること。
 2 乱開発を規制する法体系を整備すること。
 3 公共事業長期計画を議会承認事項とし、情報公開及び住民参加による事業決定のシステムを確立すること。
 4 良質な社会資本を整備・維持するために、工事の検査・監督、施設の維持・管理について国と自治体が責任を持って行い、安易な民間委託・民営化は行わないこと。
 5 国土交通省を始めとする公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制を拡充し、現場を担う事務所・出張所などの出先機関に必要な職員を確保すること。
二、公共事業において、労働者と中小業者の仕事と適正な収入を確保するために
 1 積算及び設計労務単価、材料単価は、下請業者・資材業者・労働者に対し、賃金と労働条件を適正に確保する仕組みとすること。
 2 官公需法の運用を徹底し、中小建設関連業者の受注機会を確保すること。

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