請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 429 件名 改正道路運送法にかかわる国会決議の完全履行と安全・信頼のタクシーの回復に関する請願
要旨  改正道路運送法が二〇〇二年二月から施行されて三年が経過した。需給調整規制廃止と運賃多様化を進めるタクシー規制緩和によって、ハイヤータクシー産業は供給過剰状態の深刻化と低運賃競争の拡大によって未曾有(みぞう)の危機を迎えている。ハイタク労働者の賃金・労働条件は極限にまで悪化し、生活保護費に満たない地域は全国に広がり、地域別最低賃金に抵触する事態が急増している。このため過重労働を強いられた結果、この七年間にタクシーの交通事故は四割以上も増え、最大の使命である安全が損なわれている。道路運送法改正時には、弊害を是正するために衆参両院で附帯決議が採択された。そこでは、緊急調整措置の発動要件の適切な設定や、運賃ダンピングの防止と運賃への適正な人件費の反映などがうたわれた。しかし、これを履行すべき国土交通省は、規制改革会議等の圧力に屈し、国会決議を全く無視し、緊急調整措置の発動要件を引き上げ供給過剰を更に高進させる施策を採るとともに、低運賃申請を鵜呑(うの)みにして認可し続けるばかりか、大口割引などの大幅な値下げ、低価格を誘導する運賃制度改悪を強行するなどの暴挙を重ねている。これは、メーター制による運賃収受を否定するものになりかねない。タクシー規制緩和を経てタクシー労働者は生存権すら奪われ、生活破壊と労働環境破壊に直面している。それはハイタク産業の荒廃を招き、安全で利用者に信頼されるタクシーの崩壊を意味する。タクシー規制緩和三か年を検証し、国民が等しく安心して利用できるタクシー制度を構築するための新たな法整備を検討する必要がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、二〇〇〇年五月の道路運送法改正に際して採択された衆議院運輸委員会及び参議院交通・情報通信委員会の決議を完全履行させること。
二、著しい供給過剰状態を是正し、適正な市場環境を確保するため、緊急調整措置を実効ある制度とするために抜本的に見直すこと。
三、道路運送法に違反して不当に安価な運賃・料金を誘導、差別的運賃を推奨し、ひいてはメーター運賃制の崩壊をもたらす国土交通省のタクシー運賃政策を改めさせること。
四、タクシー運転者の賃金・労働条件を劣悪化させ、過重労働の原因をつくっている現行運賃制度を廃止し、労働条件改善と利用者利便にかなう新しい運賃制度をつくること。

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