請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 111 件名 行き届いた教育の実現、心通う学校をつくることに関する請願
要旨  相次ぐ少年事件を始め、子供たちをめぐる様々な困難を解決するためにも、すべての子供たちに基礎的な学力を身に付けさせるとともに、人間らしい成長・発達をはぐくんでいくことが求められている。こうした課題にこたえ、すべての子供たちに行き届いた教育を保障していくためには、教育予算を日本の経済力に見合って増額していくことが必要である。教育費を対GDP(国内総生産)比で先進国の平均まで引き上げれば、現在の二倍以上の予算を組むことができ、国の責任による三〇人学級の実現を始め私学助成金の増額や就学援助制度の拡充などが可能となり、知の世紀と言われる二一世紀にふさわしく教育を充実させていくことができる。今年度小中学校において少人数学級を実施している自治体は四二道府県に及ぶが、自治体の財源だけでは、少人数学級の拡充には限界がある。一方、小泉首相の掲げる三位一体改革によって、公教育の根幹である義務教育費国庫負担制度が存続の危機に立たされている。制度が廃止されれば、現在の少人数学級の実施も大きく後退させられかねない。憲法・教育基本法に定められた国民の教育権を保障するために、義務教育費国庫負担制度を始め私立学校への助成制度を堅持していくことが重要である。また、今日の不況の下で、家計における教育費の父母負担の増大と修学困難による退学などが大きな問題となっている。就学援助や奨学金などを拡充するとともに、教育費の父母負担を軽減し、「教育の機会均等」を保障していくことが求められている。障害児教育の分野では、障害児学校・学級の在籍児童・生徒は増加しているにもかかわらず、特別支援教育の動向とかかわって障害児学校・学級の教育条件を切り下げていく動きが強められている。
 ついては、子供の急減期の今こそ、教育条件を改善し、一人一人の子供たちに豊かで、行き届いた教育を行うため、次の事項について実現を図られたい。

一、行き届いた教育を進めるために、教育予算を増やすこと。
二、教育水準の地域格差を生じさせないために、義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
三、行き届いた教育のために、国の責任で小・中・高の三〇人以下学級と教職員の定数増を実現すること。私学で三〇人学級を行うための特別助成を実施すること。
四、私学助成の国庫補助制度を堅持し、私学助成を大幅に増額すること。特に、経常費二分の一助成を実現すること。また、授業料直接助成、施設助成を実施すること。
五、公立・私立の児童・生徒への就学援助・授業料減免制度、奨学金制度などを充実すること。教育費減税を始め、教育費の父母負担を軽減する措置を行うこと。
六、障害児学級・学校をなくすのではなく、必要な障害児学級・学校を増設すること。障害児学校の担任を減らすのではなく、通常学級に在籍する障害児等の教育条件を整備すること。

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