請願

 

第161回国会 請願の要旨

新件番号 303 件名 借地借家法の改悪反対に関する請願
要旨  定期借家制度が導入されて五年となるが、借家市場においてはほとんど普及せず、国民に受け入れられていない。現在、財界や不動産業界、民間デベロッパーなどの強い要請を受けて、賃貸住宅居住者の意見を無視したまま借地借家制度の見直しが検討されている。その内容は、定期借家制度を普及促進させるため、(一)既存の普通借家契約から定期借家契約への切替えを認める(二)契約締結の際の説明義務を廃止する(三)借主からの中途解約権を廃止させる。さらには、普通借家契約において借主に対する明渡しを強制するため正当事由制度を廃止することなどが検討され、議員立法として借地借家法の一部改正法案が国会に提出されようとしている。人間らしく生きる権利を守ることが世界の流れとなっている中で、人権としての居住は、持家であっても借家であっても生きるための生活の本拠であり、軽視され差別されてはならない。居住者の意志に反して、契約期限が来れば、借家契約を強制的に終了させる定期借家制度は、居住者から生活の本拠を奪い、地域で築いてきた近隣関係を失わせ、安心して子育てしていくことすら困難にするもので、非人間的制度と言わざるを得ない。政府は、公営住宅の縮小、公団住宅制度の廃止、公社住宅の民営化を始め住宅金融公庫の廃止も決め、我が国の公共住宅制度の解消を図っている。そのうえ、これらの住宅にも期限付入居制や定期借家契約が導入され、借家人の居住はすべて無権利の状態に置かれようとしている。取り分け低所得や高齢者、障害者など弱い立場にある者は行き場のない事態になる。定期借家制度を普及させ、正当事由制度を廃止し、貸主の明渡し請求を容易にすることは、民間、公共を問わず、居住者の基本的人権である居住の権利を奪い、居住の安定を脅かし、中小商工業者の営業の基盤を切り崩すものである。国民のための住宅政策を充実させないまま、住まいと暮らしを脅かし、犠牲を強いる借地借家法の改悪に反対する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、民間住宅、公共住宅居住者の居住と暮らし、中小商工業者の営業を脅かし、定期借家制度の促進拡大など、借地借家法の改悪、正当事由制度の廃止の検討をやめること。

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