請願

 

第161回国会 請願の要旨

新件番号 62 件名 父母・学生の負担軽減及び私立大学の充実に関する請願
要旨 　今日、高等教育が果たすべき役割はますます重視されており、教育・研究条件の更なる向上や高等教育を受ける機会の拡大が強く求められている。私立大学・短期大学（以下「私立大学」）は、学生数の七五％、学校数の八○％を占め、高等教育における中心的な役割を担っている。ところが私大経常費への補助率は、一九八○年度の二九・五％をピークに減少し、二○○二年度には一二・二％まで低下している。また私立大学への補助は、学生一人当たりにして国立大学の二八分の一程度であり、覆い難い格差をもたらしている。私立大学への経常費補助が低水準であるため、多くの私立大学では教育・研究条件を改善・充実させていくことが困難な状況になっている。また、学費は国立大学の一・七倍余りになっており、経済的理由で進学や修学を断念せざるを得ない青年が増加するなど、国民の大学教育を受ける権利が侵害されている。これらの要因は、第一に日本の高等教育予算全体が他の諸国に比べ極めて低い状況に抑えられていること、第二に政府が私大助成を抑制する政策を継続していることにある。さらに政府はここ数年、私大経常費補助のうち私立大学全体の条件を改善する補助を抑制・削減する一方で、予算配分の重点化方針の下で政策誘導を目的とする補助を大幅に増額させている。これでは学費負担を軽減できないばかりか、学部間格差・大学間格差はますます拡大し、私立大学全体の発展を図ることもできない。我が国が文化、科学、技術によって世界に貢献するためには、高等教育予算を欧米諸国並みの対ＧＤＰ比一・〇％程度の水準に倍増するとともに、だれもが安心して充実した大学教育を受けられるよう、私立大学の教育・研究条件を整備する予算（一般補助）を大幅に増額し、奨学制度を充実することが必要である。
　ついては、私立学校振興助成法並びに参議院文教委員会附帯決議（一九七五年）の趣旨に基づき、次の事項について速やかに実現を図られたい。

一、経常費二分の一補助の早期実現を目指し、一般補助を重視した経常費補助の大幅な増額を行うこと。
二、父母・学生の学費負担などを軽減するために、（一）無利子枠の拡大や給費制創設を含めた奨学金制度の抜本的改善（二）学費直接助成制度の新設（三）教育費減税の実施、など総合的な施策を行うこと。
三、経済的に修学が困難な学生を対象として学校法人が行う奨学事業に対する補助を、一層拡充すること。

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