請願

 

第161回国会 請願の要旨

新件番号 8 件名 敗訴者負担制度を導入しないことに関する請願
要旨  司法制度改革推進本部の司法アクセス検討会において、訴訟代理人(弁護士・司法書士等)の報酬を敗訴者に負担させる制度の導入の可否を検討していたところ、昨年末、「各自負担を原則とするが、裁判上で訴訟代理人が付いて合意したときのみ敗訴者負担とする」(以下「合意制」という)との取りまとめがなされた。これを受けて、合意制に基づく民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案が提出された。しかし、訴訟代理人報酬の敗訴者負担制度は、市民の訴訟利用を萎縮(いしゅく)させる弊害があり、合意制によっても、その問題点がなくなるわけではない。司法制度改革推進本部のいう合意制は、裁判における合意を意味する。裁判外の私的契約(例えば、契約書等に「裁判になった場合は敗訴者負担とする」との条項を入れる)については、「裁判の場での合意が有効なのだから、当事者間の裁判外の契約での取り決めを無効とする理由はない」という形で、お墨付きを与えることになりかねない。消費者や労働者、中小零細業者、借家人など、契約上弱い立場の人は、契約に敗訴者負担条項を入れられることを拒否する自由は事実上ないと言わざるを得ない。合意制の導入により、契約や約款に敗訴者負担条項が普及することになり、立場の弱い人たちは、訴訟代理人報酬の敗訴者負担を恐れて、裁判をためらうこととなってしまう。これでは、司法アクセスを促進する司法改革の趣旨に反することは明らかである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、民事訴訟における弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入をしないこと。

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