請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 4171 件名 どの地域でも格差のない、行き届いた教育を保障するための義務教育費国庫負担制度の堅持等に関する請願
要旨  義務教育費国庫負担法は、憲法・教育基本法に定められた国民の教育権を保障するため「国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的」とした法律である。しかし、小泉構造改革の下で、この二年間に教職員の共済費や退職手当、児童手当など総額で五、〇〇〇億円も削減され、地方自治体に財政責任を転嫁してきた。さらに、二〇〇四年度から導入された総額裁量制では、都道府県の判断で、教職員数や配置の仕方を決められる仕組みとなり、非常勤教職員の増大など、教職員配置を不安定にする。そのうえ、財政制度等審議会は昨年一一月に、「義務標準法」や「人材確保法」の在り方について「抜本的見直しを図ることが不可欠」と建議した。これらを踏まえ小泉内閣は、「骨太の方針二〇〇四」において、学校事務職員の適用除外など、義務教育費国庫負担金の全額一般財源化に向けて、踏み込んだ方針を明らかにしようとしている。義務教育費の国庫負担金が全額削減されると、地域に大きな教育格差を生じさせる。「三位一体の改革」では、削減額の全額を地方に税源移譲すると言われているが、全額税源移譲されたとしても、三八県が税収不足で赤字になる。そのうえ、地方の財源不足を補充する地方交付税についても、二〇〇四年度予算では三兆円も削減し、引き続き削減が検討されている。これでは、教育水準を維持するために必要な教職員配置ができなくなり、四二県まで広がってきた少人数学級の取組も、後退を余儀なくされる。地方交付税で措置されている高校教育も圧迫を受けて、教育水準の低下が引き起こされる。
 ついては、どの地域の子供・青年たちにも格差のない行き届いた教育を保障するために、憲法・教育基本法の理念に沿って、次の事項について実現を図られたい。

一、憲法・教育基本法に規定された「教育の機会均等」を保障するために、義務教育費国庫負担制度を堅持すること。国の責任で三〇人学級を実現すること。
二、学校事務職員、学校栄養職員を国庫負担の対象から除外しないこと。
三、教育条件の一つである教職員給与水準の、引下げを行わないこと。
四、総額裁量制の下においても、標準定数法に基づく教職員配置を行うこと。
五、地方自治の確立に努め、地方財政を守るために、地方交付税を削減しないこと。

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