請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 2584 件名 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用を守ることに関する請願
要旨  大銀行が公的資金で救済される一方、地域の金融機関の破たん・統廃合が進み、中小企業には貸渋り、貸はがしが横行し、中小零細企業が圧倒的多数の建設産業では、倒産、廃業、失業、夜逃げ、自殺などに追い込まれる深刻な事態となっている。建設産業では、長引く不況の下で設備投資が落ち込み、公共事業の規模も縮小され市場規模全体が縮小してきている。中大手ゼネコンや住宅企業の中小市場への進出で競争が激化し、著しいダンピング受注が横行している。重層下請構造の末端で受注する地元中小零細企業は採算無視の指し値発注、下請代金切下げ、不払などに苦しんでいる。大規模プロジェクト中心の公共事業が、国・地方の財政を圧迫し、長期債務の合計は六九三兆円という規模にまで膨らみ、利便性や採算性が失われ、環境破壊を進める大型公共事業の見直しが、国民的世論となっている。大型公共事業は大手ゼネコンが受注し、政・官・財(業)の癒着、談合の温床ともなり、政治家の口利き疑惑には枚挙のいとまがない。さらに深刻なことは、大規模工事の現場では建設労働者の雇用確保にはつながらず、逆に不況の下で、下請単価、賃金・労働条件が切り下げられ、大手ゼネコンだけが利益を上げられるようになっていることである。国土交通省は、コスト構造改革として労務単価の切下げで行ってきており、これが建設労働者の賃金・労働条件の切下げに拍車を掛けている。公共事業を実施する側も、天下り・癒着構造を温存するような公務員制度改革、特殊法人改革、職員の大幅削減で、公正な発注や施工管理に関する業務がしわ寄せを受け、道路・河川・港湾・住宅や防災対策など、国民・住民本位の公共事業実施の行政責任やサービスが果たせなくなる。防災や環境保全、住民生活の改善につながる生活密着型の公共事業に切り替え、無駄な公共事業を廃すること、税金で賄われる公共事業を、大手ゼネコンだけが利益を上げるシステムでなく、ILO第九四号条約(公契約における労働条項に関する条約、五九か国で批准)で定めているように現場で働く建設業者・労働者が安心して生活できる単価・賃金を保障する制度の確立を求める。また、公共構造物の品質確保と事業の公正な執行ができるように、国や地方自治体、関係機関等の公共事業執行職場の体制を充実するよう強く求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、ILO第九四号条約を批准し、公契約法を制定すること。
二、リストラ「合理化」の濫用をやめさせ、解雇規制の制定を図ること。長時間労働を規制するとともに、サービス残業をなくすこと。

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