請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 1666 件名 ミサイル防衛(MD)の導入・予算化反対に関する請願
要旨  日本政府は昨年一二月一九日、米国のミサイル防衛(MD)システムの導入を安全保障会議と閣議で決定し、二〇〇四年度予算案にミサイル防衛関連経費一、〇六八億円(契約額)を計上した。このミサイル防衛導入予算は、将来的に一兆円を超える巨費を投じる道を開く。核廃絶を求める世界のNGOや平和シンクタンクは、ミサイル防衛が核軍縮に逆行し、宇宙の平和(宇宙衛星の安全等)を脅かすと反対している。昨年の国連総会で日本政府は核廃絶決議案の提案国となったが、ミサイル防衛導入決定と予算化はこの軍縮外交との整合性を欠き、十分に検討したものとは考えられない。日本政府はミサイル防衛を専守防衛兵器とうそぶき、導入を正当化した。しかし、米国政府が核抑止戦略から対抗核拡散(先制攻撃)戦略へと転換したのは九・一一事件からではなく、米軍需産業によるミサイル防衛計画のマーケティング戦略に促されたものである。巨万の資金を投じるミサイル防衛の費用対効果に疑問を感じた米国市民の声に、ラムズフェルド国防長官は「核兵器を使用した迎撃も検討する」と表明した。つまり「ミサイル防衛は機能しない。簡単に対抗措置ができる」と指摘した多くの科学者や識者の意見が正しいことを自ら認めたのである。ミサイル防衛の配備は日本国憲法第九条違反である集団的自衛権の行使を前提としたもので、政府がミサイル防衛関連経費を計上すること自体、日本国憲法第九九条(憲法尊重義務)に違反する。さらに、ミサイル防衛の共同開発を名目に「武器輸出三原則」を見直すことは、日本の戦争産業を肥大化させるものである。日本政府は米国のアフガンとイラクへの先制攻撃戦争に賛成・加担してきた。ミサイル防衛導入決定と予算化は戦争加担政策を更に進め、米・国防総省が研究している北朝鮮への先制攻撃戦争計画を後押しするものにほかならない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本政府はミサイル防衛(MD)導入の決定を撤回し、国会は二〇〇四年度政府予算案からMD関連経費を削除すること。

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