請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 1308 件名 杉並区井草中継所健康影響問題についての独自調査に関する請願
要旨  井草中継所周辺健康被害問題は、公害等調整委員会の裁定委員会の意見によっても、更に調査を行い科学的な解明によって被害の救済に役立てることが勧められている。実際には、健康被害は継続・発生し、重症者の困窮は甚だしい。
 ついては、被害住民と合議して実情に沿った調査を実施し、危険性に疑いを認めた場合には、人道的立場に立って、速やかに施設稼働を停止するような対策を採られたい。

   理由
一、現在も続行している被害救済のために事実の解明が必要である。
   裁定委員会の裁定書には、現在は中継所操業によって周辺に健康影響がない、という科学的理由は明確にされておらず、最後の裁定委員会意見では「今後、化学物質の解明が進展し、これが被害の救済に繋(つな)がることを強く期待するものである。」と結ばれているが、現在も被害が続行し、苦悩している住民があり、原因を絶つことでの救済が必要である。
二、現在までの調査の方法並びに結論の導き方に不適切なところがある。
 1 疫学・健康診断 区が疫学調査を行って中継所操業開始により健康影響が発生したことを確かめたことは適切であったが、中継所から発生した化学物質による健康被害の有無及び影響重大性を確定するには、不十分であった。また、沈静化したと図示した計算方法は間違いで、健康被害は続行しているという数値が得られる。住民希望者の健康診断にしても、一度目は対象者の選び方に不適切で、二度目は化学物質被害としては不十分な方法であった。
 2 分析 現在まで行った不適切な調査を繰り返すばかりでは危険物質を特定することは困難である。また、大気中で二次的に毒性物質に変わるときの距離と濃度の関係は実証されておらず、健康影響の広がりは調べられていない。
 3 調査メンバー 最もよく事実を観察しているはずの被害住民を調査に参加させていないので、見当外れの調査を実施している傾向がある。
三、危険性が示唆されている。
 1 健康被害状況 新たな被害者発生と被害症状の重症化を疑わせる住民の声が聞こえている。そのために転地した家族もある。原因不明で急死した若年住民の話もある。
 2 検出された物質 発がん性であり長期吸入毒性である特定の物質がしばしば環境基準を超えていること、瞬間濃度が問題になる毒性物質が時により規制濃度を超えること、中継所周辺の空気が異常な合成有機物汚染を示し、プラスチックから変化したと思われる強い毒性の物質類が中継所で発生していること、などが分かっている。
四、健康被害状況と環境汚染状況を調査し直して停止を含めた対策を求める。
   希薄な合成化学物質による大気汚染問題として、最新の知識と方法並びに情熱を備えた調査者及び被害住民とを交えて、実情の調査をし直し、疑わしい危険傾向が見られたら、被害がこれ以上にならないうちに速やかに停止を含めた対策を求める。

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