請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 3591 件名 父母・学生の負担軽減と私立大学の充実に関する請願
要旨  今日、高等教育が果たすべき役割はますます重視されており、教育・研究条件の更なる向上や高等教育を受ける機会の拡大が強く求められている。私立大学・短期大学(以下「私立大学」)は、学生数の七五%、学校数では八○%を占め、高等教育全体を支える中核的な役割を担っている。ところが、私大経常費への補助率は一九八○年度の二九・五%をピークに減少し、二○○一年度には一二・五%まで低下している。また、私立大学への補助は、学生一人当たりにして国立大学の二八分の一程度であり、著しい格差がある。私立大学への経常費補助が低水準であるため、多くの私立大学では教育・研究条件を改善・充実させていくことが困難な状況になっている。また、国立大学のおよそ一・七倍という学費の高騰を招き、経済的理由で進学や修学を断念せざるを得ない青年が増加するなど、国民の大学教育を受ける権利が侵害されている。これらの要因は、第一に日本の高等教育予算全体が欧米先進諸国に比べ著しく低い状況に抑えられていること(GDP比で、日本の〇・五%に対し、米国一・四%、仏国・独国・英国一・一%、OECD平均一・二%となっている)、第二に政府が私大助成を抑制する政策を継続していることにある。さらに政府はここ数年、私大経常費補助のうち私立大学全体の条件を改善する補助を抑制・削減し、政府の政策誘導を目的とする補助だけを増額させている。これでは大学間格差はますます拡大し、私立大学全体の発展を図ることはできない。我が国が文化、科学、技術によって世界に貢献するためには、高等教育予算を欧米先進国並みの水準に拡充するとともに、だれもが安心して充実した大学教育を受けられるよう、私立大学の教育・研究条件を整備する予算を大幅に増額することが必要である。
 ついては、私立学校振興助成法並びに参議院文教委員会附帯決議(一九七五年)の趣旨に基づき、次の措置を速やかに採られたい。

一、日本の高等教育予算を大幅に増額するとともに、国公・私立大学の予算配分格差を是正し、国民の教育を受ける権利を等しく保障するために、次の内容で充実改善を図ること。
 1 高等教育関連予算をGDP(国内総生産)比で、欧米先進諸国並みの水準に引き上げること。
 2 「私立大学等経常費補助金」を私立大学の経常費総額の二分の一とすること。
二、父母・学生の学費負担などを軽減するために、無利子枠の拡大や給費制創設を含めた奨学金制度の抜本的改善、教育費減税などを実施すること。
三、経済的に修学困難な学生を対象として学校法人が行う奨学事業に対する補助を、一層拡充すること。
四、外国人留学生の学習・研究生活を保障するための施策を一層拡充すること。

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