請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 3260 件名 国籍選択制度と国籍留保届の廃止に関する請願
要旨  一九八五年、父系優先血統主義であった国籍法が改正され、日本人母と外国人父の子供(婚内子)が日本国籍を取得できるようになったが、重国籍を持つ者に国籍選択が義務付けられた。血統主義によって父と母の国籍を受け継ぐ子供たち、あるいは生地主義の国で生まれた子供たちは、定められた期間内に国籍選択届を出さなければ日本国籍を失うとされている。父と母の異なった国籍や文化を受け継ぐ子供たちは、生活の場も二つの国にまたがる場合が多い。多文化を身に付けた者の存在は日本社会に多様性を与え豊かにするが、選択制度は当事者に多大な負担や苦痛を与えている。また外国人との婚姻などにより、外国籍を取得した日本人も、取得から二年以内に国籍選択を義務付けられている。外国人と結婚し相手国に長期間居住する場合は、住民として当該国の国籍保有が望ましいが、そのためには日本国籍を放棄しなければならない。「国籍唯一の原則」は現実にそぐわない。選択制度はヨーロッパの条約を手本に導入されたが、その後ヨーロッパでは一九九七年の国籍条約で「出生により当然に異なる国籍を取得した子供がこれらの国籍を保持すること」「自国民が婚姻により当然に外国籍を取得した場合この外国籍を保持すること」を締約国が認め、権利として重国籍を容認している。日本の国籍法は血統主義を採用しながらも、外国で生まれた日本人の子供が重国籍になった場合、出生の三か月以内に国籍留保届を課し、それがない者には日本国籍を失わせてきた。国籍回復の規定もあるが、日本在住歴、年齢制限など条件があり、日本国籍を望みながらも条件を満たせない者も多数存在する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国籍選択制度を廃止すること。
二、国籍留保届制度を廃止すること。

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