請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2272 件名 公営住宅に関する請願
要旨  長引く経済の低迷が企業倒産、リストラ、失業を増大させ、個人消費を冷え込ませており、多くの国民は、先行きの不透明感を募らせ、将来への展望を見いだせない状況にある。このような社会的情勢の下で、公営住宅への国民のニーズと期待が高まり、公共賃貸住宅の果たす役割はますます重要性を帯びている。一九九六年(平成八年)の公営住宅法の改正は、一般世帯の入居収入基準を引き下げ、高齢者や障害者世帯には基準を緩和した。その結果、働き盛りのファミリー世帯が住むことができなくなり、団地から子供の声が消えていった。他方、高齢者世帯、一人親世帯、障害者世帯が急増するといった、いびつな団地が形成されようとしている。入居者を特定階層化させる政策は、まちづくりや良好なコミュニティの形成にとっても、また、ノーマライゼーションの思想の普及にとっても、そして住民自治の活性化の観点からも、様々な問題を提起している。公営住宅の入居収入基準を見直し、多様な世帯が暮らすことができる公営住宅が求められている。東京都は、公営住宅法になじまない期限付き入居制度を、独自で建設した都営住宅に導入するとともに、一般の公営住宅(都営住宅)にも期限付き入居制度を拡大するために、国土交通省に法改正を求めている。公営住宅への期限付き入居制度は、公営住宅法第一条の「住宅に困窮する低額所得者」が安心して住み続けられることを前提にした法の精神にも反し、法の根幹にかかわる問題である。昭和四○年代の公営住宅は、老朽化が進み、入居者は高齢化が著しく進行している。老朽化した公営住宅の建て替えの促進と、バリアフリーを施したリフォームが急務になっている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、デフレ経済による企業倒産、失業、雇用危機等の不安が増大する中、公営住宅への入居希望者が増えている。国民が安心して住むことができるように、公営住宅を大量に整備すること。
二、良好なコミュニティの形成と団地活性化を図るために、中堅所得層も入居できるように、公営住宅の入居収入基準を見直すこと。
三、公営住宅に期限付き入居制度を導入しないこと。
四、快適で安心して住むことができるように、公営住宅のリフォーム・建て替えを推進すること。

一覧に戻る