請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2188 件名 治安維持法国家賠償法(仮称)制定に関する請願
要旨  治安維持法の犠牲者は、戦前の天皇制の下で主権在民を唱え、侵略戦争に反対したことを理由に、弾圧され多大の犠牲を受けた。治安維持法が制定された一九二五年から廃止されるまでの二十年間に、革新政党、労働組合、農民組合などの活動家を始め平和主義者、知識人、文化人、宗教家まで逮捕者数十万人、送検された人七万五千人、そのうち拷問により虐殺され、また獄死した人々は約二千人にも上った。治安維持法は日本がポツダム宣言を受諾したことにより、人道に反する悪法として廃止され、この法律によって処罰された人々は無罪とされた。しかし、歴代の政府は、十五年戦争が侵略戦争であったことも、治安維持法が人道に反する悪法であったこともいまだに認めようとしない。ドイツは、「戦争犯罪人と人道に反する罪に時効はない」という国際法に基づき、今も戦犯を追及し、犠牲者に謝罪し賠償している。イタリアも国家賠償法を制定し、ファシズム体制下で実刑判決を受けた「反ファシスト政治犯」に終身年金を支給している。また条約を批准していないアメリカ、カナダでも戦争中の日系人の強制収容に対して謝罪と賠償が行われている。韓国は治安維持法犠牲者を愛国者として表彰し、年金を支給している。一九九三年十月に開かれた日弁連・人権擁護大会の基調報告は、「治安維持法犠牲者は日本の軍国主義に抵抗し、戦争に反対した者として…その行為は高く評価されなければならない」と指摘し、速やかな補償の実現の必要性を強調している。また、三〇四の市区町村議会が、「治安維持法犠牲者国家賠償法の制定を求める」意見書を採択、あるいは趣旨採択している。
 ついては、再び戦争と暗黒政治を許さぬ証(あかし)として、日本国憲法第十七条の規定にのっとり、国が新たに「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)」を制定し、治安維持法犠牲者に一日も早く謝罪と賠償を行われたい。

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