請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 1999 件名 司法試験短答式試験の点字試験における受験条件改善に関する請願
要旨  視覚障害者は、司法試験短答式試験を点字で受験している。しかし、平成七年度以降、短答式試験の問題が長文化・複雑化したことにより、過度の試験時間不足に陥っている。平成一二年度に実施した点字受験者を対象としたアンケート結果から、現行の試験時間五時間一五分(一般受験者の一・五倍)では、点字受験者は解答しきれないことが明らかとなった。その要因の一つは、点字による出題の場合、問題用紙に書き込みができず、すべての作業を頭の中でこなさなければならないという、点字受験に伴う特殊な事情が挙げられる。点字受験者に対する一・五倍という試験時間の延長率は大学入試センター試験でも採用されている基準であるが、この一・五倍という倍率は経験則的に、言わば目分量として採用されてきた基準に過ぎない。この点を科学的かつ客観的に調査・研究している大学入試センターの藤芳衛教授の研究によれば、障害受験生に対する延長率は国語二・三二倍、数学一・五二倍、英語一・六七倍となっている。この数字から、一・五倍という延長率は数学等の試験には妥当としても、読む量が多い国語等の試験には妥当ではないことが明らかである。現行の司法試験問題は、読む量の多さに加えて、解答を出すまでに複数の作業をこなさなければならない点で、大学入試センター試験の国語と同程度、あるいはそれ以上に解答の困難性が伴う。また、二〇〇二年一二月には、法科大学院入学者選抜のための適性検査について、視覚障害者にとって適正な試験時間延長率の測定のための試行テストが藤芳教授により行われた。その結果、試験時間延長率の推定値(速報値段階)は、「推論・分析力問題は一・五倍程度、読解・表現力問題は二倍程度が適切」とのデータが得られている。これらの事情から考え、司法試験短答式試験の点字受験者に対し、現行の一・五倍から二倍(七時間)程度の延長、又は大学入試センター試験で行われている「作業量の多い問題についての代替問題」など、より公平な受験方法の採用が強く望まれる。司法試験短答式試験の不平等改善は、点字受験者全員のやむにやまれぬ要求である。視覚障害者は、より公平な受験条件で各自の能力を測ってほしいと切望している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。(資料添付)

一、現在の不平等な受験条件を改善するため、次のいずれかの方策を採用すること。
 1 試験時間延長率の二倍(七時間)への拡大
 2 複数の作業を要求される問題についての代替問題の使用
 3 司法試験委員の選択した三〇問を三時間三〇分で解答し、その得点を二倍にして総得点を換算する方法

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