請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 1004 件名 介護保険制度と介護職員の処遇改善に関する請願
要旨  高齢化社会を迎える下で、介護保険への国民の期待があったが、わずかな年金から徴収する保険料に対する反発が広がり、また一割の利用料負担から実際使っているサービスの量は支給限度額の半分にも満たない深刻な状況である。高齢化社会のためとして消費税を導入しながら、介護保険の創設では新たに二兆円の保険料を国民に負わせる一方で、国の負担を半減させたことへの厳しい批判もある。認定の問題を含め介護保険の抜本的な改善は国民の要求となっている。介護保険の制度化で、サービスを提供する側も深刻である。在宅介護の中心であるヘルパーは、過大な仕事、低い賃金、細切れのサービス提供、不十分な研修など養成の不備、おざなりの感染症対策、業務を相談できない孤立した状況など問題が噴出している。社会福祉協議会や民間事業所のヘルパーが、体が持たないと次々と辞める事態も生じている。施設においても、自治体の補助金の削減も加わり、行事の縮小や中止、日用品名目の負担増、職員の賃金のダウンやパート職員への置換えなどが広がっている。ケアマネージャーも、膨大な連絡事務や書類作成、忙殺される請求事務などにより時間外勤務が常態化し、利用者とのまともな相談やケアカンファレンスもできず、また報酬が低く専任もままならない状況であり、やむなく辞める人も後を絶たない。介護報酬の低さは、不安定で劣悪な労働条件をもたらし、事業所の経営も圧迫している。介護職員の劣悪な処遇の下では、専門性に裏付けされた質の高い介護サービスを望むことはできない。
 ついては、国民、介護職員、事業者の強い要望を受け止め、次の事項について実現を図られたい。

一、介護保険における国の負担割合を増やし、保険料・利用料を下げて国民が安心して利用できる制度にすること。
二、介護報酬を引き上げるとともに、介護職員の賃金・労働条件の最低基準を設定すること。その際、保険料・利用料の負担増にならないようにすること。
三、ホームヘルプ事業については、身体介護・家事援助の区別をなくすとともに介護報酬を引き上げること。夜間は複数体制にすること。
四、ケアマネージャーが、利用者の立場で職務に専任できるよう介護報酬を引き上げ、また煩雑な業務を簡素化すること。
五、介護の質の向上のために、十分な研修と、仕事内容の検討や意見交換ができる体制を保障すること。
六、感染症対策と介護職員の十分な健康診断を制度化すること。勤務中に発生した事故は、すべて労働災害として認定すること。

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