請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 317 件名 小泉内閣の医療費値上げ反対、医療制度の充実に関する請願
要旨  政府・与党の社会保障改革協議会は、国民の医療費を大幅に引き上げる「医療制度改革大綱」をまとめた。必要なときにサラリーマンの健康保険本人負担の三割(現行二割)への引上げ、高齢者医療の通院の場合の患者負担上限や一部定額制の廃止の検討などである。小泉首相も健保本人負担を三割に引き上げる時期について「二〇〇三年度中と考えている」と発言している。こうした負担増によって心配なのは、受診抑制が広がり、国民の命と健康が脅かされることである。一九九七年の健保本人二割負担のとき、三十五万人もの受診抑制があった。さらに、二〇〇一年一月からの老人医療費負担増、十月からの介護保険料の倍額徴収が始まり、今回の負担増がかぶされば、不況と失業が深刻化する中で、病院に掛かれない人を増やし、病気の悪化を招くことは、明らかである。政府は、健康保険が赤字なので、医療改悪は仕方がないと言っているが、医療保険を赤字にした最大の原因は、政府が、この十年ほどの間に医療費に占める国庫負担の割合を大幅に減らしてきたことにある。国の責任放棄の政策を改め、国費支出割合を元に戻し、世界一高い薬価に抜本的なメスを入れて欧州並みに引き下げ、大型公共事業の無駄遣いなどを見直すことこそ解決の道である。財源を確保することは十分可能である。小泉首相は負担を分け合うかのように「三方一両損」などと言っているが、国や製薬会社の負担は入っていない。医療保険は国民がお金の心配なく病気の治療に専念できるようにつくられた制度で患者に負担増を押し付けることは本末転倒である。国民の健康で文化的な生活を保障し、社会保障の増進を図ることは、憲法第二十五条に定められた国の責任である。社会保障を充実させ、国民の将来不安を解消することは、景気を回復する上で一つの近道である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、健康保険本人負担の三割への引上げを行わないこと。
二、高齢者医療(老人保健制度)などの患者負担増をやめ医療制度を充実すること。

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