請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 983 件名 育英会奨学金制度の充実に関する請願
要旨  七五万人もの学生が利用している日本育英会奨学金制度を充実させることが求められている。学費や生活費をめぐる学生・父母の負担がかつてなく重くなっている。東京地区私立大学教職員組合連合の調査(二〇〇一年三月)では、首都圏の私大新入生(自宅外通学)の一年間に掛かった費用は平均三二一万円であった。そのうち、二七%の親が借金で賄い、平均は一八一万円である。奨学金の希望者も一九九七年度以降毎年増え、この調査で初めて回答者の六割を超えた。奨学金制度は、憲法第二六条が定める国民の教育を受ける権利、教育の機会均等を実質的に保障するための制度である。世界一高い学費の負担に加え、長引く不況の下、親の失業・倒産などで進学を断念せざるを得ないなどの事態が広がっている中で、奨学金制度の充実はますます重要となっている。現在、日本の奨学金は原則貸与制で返還が必要である上、有利子の比率が高まっている。しかし、有利子貸与制の奨学金では、不況下で多額の借金を背負うこととなり、就職難の状況ともあいまって、本当に学ぶ意欲のある学生を苦しめている。学ぶ意欲のある学生に勉学条件を保障することは、将来の日本社会の発展にもつながるものである。そのためには、無利子奨学金の抜本的拡充や、さらには欧米のような給付制奨学金の導入が必要である。ところが、政府が進めようとしているのは、奨学金制度の充実とは正反対の計画である。日本育英会を廃止することを閣議決定し、無利子奨学生を一万六、〇〇〇人減らすことを打ち出している。行政改革推進事務局は、有利子奨学金を国民生活金融公庫の教育ローンに統合する方向まで提起している。有利子奨学金より更に高利になる教育ローンは、収益を目的とする金融商品であり、収益を目的としない奨学金とは性格が根本的に異なる。これらは、学生の学びたいという要求を阻むものであり、奨学金制度の理念をないがしろにすることになる。奨学金制度の充実こそ求められる。
 ついては、次の事項について緊急に実現を図られたい。

一、日本育英会奨学金の制度を充実すること。

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