請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 977 件名 安全で行き届いた看護の実現に関する請願
要旨  高齢社会を迎え、医療・社会保障の充実は国民の大きな関心事となっている。続発する医療事故に対して、患者・国民は不安と不信感を募らせている。安全で行き届いた医療・看護を実現することが、今ほど切実に求められているときはない。一方、人の命と健康に直接携わる看護師や医療労働者の仕事と生活は、ますます過酷になってきている。看護師の八割が慢性疲労を訴え、三分の二が仕事を辞めたいと思っているなど、深刻な状況である。入院期間の短縮や医療の高度化で、看護師の仕事量はますます増えているのに、人手はほとんど増えていない。諸外国に比べても非常に少ない配置人員をこのままにして、安全で行き届いた医療・看護を保障することはできない。看護師数を日勤時は患者四人に一人、夜勤時は患者一〇人に一人とするなど、看護師配置基準を抜本的に改め、少なくとも患者二人に一人以上の体制とすることが必要である。そして、夜勤を三人以上・月六日以内とするなど、労働条件を改善し、手厚い看護体制を実現することが求められている。相次ぐ医療事故に対して、防止策を抜本的に強化することが必要である。国民の命と健康を守ることは、国や行政の最大の使命である。医療機関や医療労働者が現場で努力することはもとより、国や行政の役割発揮が求められている。医療事故を防ぐ組織的なシステムづくりが緊急課題となっており、患者・国民の不安や不信感を解消するためにも、医療事故の事例集積と調査、対策を行う第三者機関の設置が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、看護職員を大幅に増やし、安全で行き届いた看護を実現できる体制とすること。
 1 病棟の看護職員配置は、患者二人に一人以上とすること。日勤は患者四人に一人以上、夜勤は患者一〇人に一人以上を確保すること。   
 2 外来は、看護職員が一日に対応する患者数が二〇人以内となるよう、配置基準を引き上げること。
 3 以上を実現するため、特別の財政措置を行うこと。
二、夜勤・交替制勤務の心身への負担を考慮し、看護職員の労働条件を改善すること。
 1 夜勤は、三交替制を基本とし、三人以上・月六日(当面八日)以内とすること。
 2 長時間夜勤を規制し、夜勤は一回一二時間以内とすること。
 3 深夜・交替勤務に従事する看護職員については、常日勤労働者より労働時間を短縮し、週三二時間以内とすること。
 4 以上を実現するため、看護師確保法・基本指針等を改正するとともに、財政措置を具体化し、違反した場合の罰則規定を新設すること。
三、患者の状態を把握し、安全で行き届いた医療を提供できるよう、病棟規模を当面四〇床以下にすること。そのため、医療機関への改築等の特別援助を制度化すること。
四、医療事故の調査・分析と防止対策を行う第三者機関(仮称・医療事故防止委員会)を設置し、対策を抜本的に強化すること。

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