請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 969 件名 元従軍慰安婦に、国による謝罪と補償を直ちに実施することに関する請願
要旨  無抵抗の若い女性を無理やりに性奴隷とし、凌辱(りょうじょく)の限りを尽くし、言語に絶する屈辱と苦痛を与え、女性の人権を蹂躙(じゅうりん)した旧陸海軍の関与による「従軍慰安婦制度」は最大規模の戦時性暴力であった。また、他民族に対する蔑視(べっし)であり、主権の侵害であった。韓国・フィリピン・中国・台湾・北朝鮮・インドネシアなどで五○年も沈黙を強いられてきた被害女性が、正義と尊厳を取り戻そうと、日本政府に対して、真相究明や補償などを求め、損害賠償請求訴訟を起こしている。日本政府は、関与した事実はようやく認めたものの、謝罪はせず、補償については、条約で決着済みという態度を変えてはいない。「女性のためのアジア平和国民基金」を設けて国民のカンパで償い金を支払うことにしたが、多くの被害者からは受け取りを拒否され、そのうえ、韓国と台湾では、政府が償い金支給事業の中止を求めている。国連の人権委員やILOも、「国民基金」は日本政府が責任を認めてのものではないとして、個人補償・責任者の刑事訴追など、厳しい批判と勧告を行っている。また、コソボなどの紛争地で多発する女性への暴力は戦争犯罪であるとし、これらを取り除いていくためにも、「従軍慰安婦問題」の処理がきちんと行われることが大切とする国際世論が高まっている。これらの事実は、日本政府の態度が国際的には通用しないことを、明白にしている。また一九九八年には、下関裁判所が、「従軍慰安婦問題」について、初めて国会の立法不作為責任を問う判決を出した。これを受ける形で、同年九月には、国会に超党派議員による恒久平和議連が誕生した。一日も早く、政府による謝罪と補償をすべきである。
 ついては、「従軍慰安婦問題」を国の責任で速やかに解決するため、次の事項について実現を図られたい。

一、戦時の性的強制被害者である元「従軍慰安婦」に対して、速やかに、誠意をもって謝罪するとともに、個人補償を行い、名誉を回復すること。被害者の多くは高齢であることを考え、緊急に行うこと。
二、引き続き真相解明を進めること。そのために、政府として調査会を設置すること。

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