請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 831 件名 すべての子供たちへの行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくることに関する請願
要旨  子供たちの学び成長する権利は、大変な危機に陥っている。長期に続く極めて深刻な不況の下で、私学の学費は、家計に大きくのしかかり、二〇〇一年度の私立高校初年度納入金の平均額は六六万八、二八三円になり、神奈川、東京、兵庫では八〇万円を超える額になっている。これは公立高校初年度学費の全国的な基準額(一一万七、一五〇円)の六・八倍にもなっている。このような学費の高さは、父母・生徒を直撃し、学費が払えずに滞納する、払えずに学校を中退せざるを得ない生徒が大量に生まれるなど、深刻な事態が起こっている。行った二〇〇一年度の調査によると、二三九高校で三四七名(一校当たり一・四五人)、七九中学で一五名が経済的理由で退学している。今年九月末の調査(全国二三五校)では、三か月以上学費を滞納している生徒は全体の一・四%、一校当たり平均一四人に上り、経済的理由で既に一二七人が退学している。国の授業料減免事業助成が実施され、奨学金制度が拡充されるなどの措置が採られているが、家計急変の場合の減免であり、減免額の制限があること、貸与奨学金であることなどから、私学における学費滞納状況は改善されていない。子供たちが学費の心配なく安心して学校に通える条件整備が求められている。私学は、長年にわたって、建学の精神に基づく特色ある教育の推進を目指し、教育改革に力を入れてきた。多くの都道府県・地域で、私学教育は大きな役割を果たしている。しかし現在の中学卒業生急減の中で、極めて劣悪な教育条件を余儀なくされている。去る六月の財政制度等審議会「平成一五年度予算編成の基本的考え方について」では、次年度私学助成について「高校以下については、奨励的補助金の縮減・合理化の方針に沿って、徹底的な見直しを行う必要がある。」とされている。このような見直しの結果、国庫補助が削減される事態になれば、子育て環境は一層悪化し、私立高校に通う子供たちの困難が増大することは明白である。二〇〇三年度文部科学省概算要求では、私立高校以下の経常費助成は今年度予算比八〇億円増額の一、〇五七億五、〇〇〇万円を要求している。文部科学省概算要求の満額を実現するとともに、一層の拡充を図ることが必要である。この間の地方分権化推進の方針に基づき、私学助成の一般財源化の議論が行われているが、教育の機会均等を図る立場からすべての子供たちの学び、成長する権利を保障するためには、国と自治体とがそれぞれの役割を発揮し、国庫補助を拡充するとともに、自治体がそれぞれの地方に応じた施策の充実を図ることが重要である。次年度予算における私学助成の大幅増額と、地方交付税における財源措置の拡充を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私学助成を大幅に増額すること。特に経常費二分の一助成、授業料直接助成、施設助成を実現すること。
二、小中高の三〇人学級を早期に実現すること。
三、義務教育費の国庫負担制度を守り、充実すること。
四、すべての学校の教職員を増やすこと。
五、希望するすべての子供たちに、高校教育を保障すること。障害児に行き届いた教育を保障するために、教育条件を整備すること。
六、教育費の父母負担を軽減し、長期不況下の子供の就学を保障するために、公立・私立の児童生徒への就学援助、授業料減免制度、奨学金制度などを充実すること。

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