請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 529 件名 在日外国人障害者等の年金保障に関する請願
要旨  二○○二年一月、坂口厚生労働大臣は、「無年金障害者問題の年内解決を図る」と述べ、前向きに検討していく姿勢を示している。二○○二年度現在、障害基礎年金は一級障害者の場合は月額約八三、七七五円、二級障害者の場合は月額約六七、○一七円が支給されている。重度障害者の場合、無収入あるいは低賃金であることが多く、年金は大変重要な収入である。無年金障害者の救済の検討に当たり、在日外国人障害者等が無年金状態に置かれてきた歴史的経緯を十分に認識し、その上で具体的な解決に向けて推進することを求める。坂口大臣が救済の念頭に置いているのは学生時などに障害を負い、年金加入について知らず、また掛金を払えず、年金加入していなかったため無年金となっている障害者のことだと聞く。一方、在日外国人の無年金障害者そして高齢者は、過去の国籍条項のために加入したくても年金加入を拒まれ、掛金を払いたくても払えなかった。本人の責任によらず、制度によって無年金になっている者をまず解決することが求められている。だからこそ、約七○○にも上る地方自治体で在日外国人無年金障害者・高齢者に対し救済措置として「特別給付金制度」が実施されているのである。難民条約発効(一九八二・一・一)に伴い、国民年金法から国籍条項が撤廃され、定住外国人にも国民年金加入の道が開かれた。しかし、経過措置が行われなかったため、当時二○歳以上で、既に障害がある者、そして高齢者は現在も無年金のままとなっている。高齢者に対しては、国民年金法の改正(一九八六年四月一日施行)において、国籍要件で加入できなかった期間を被保険者期間として合算対象とする措置が採られたが、一九八六年時点で六○歳以上の高齢者は適用除外され、今なお無年金となっている。在日無年金高齢者は既に七○歳半ばを超え、早急な解決が求められている。そもそも国民年金は国民皆年金の実現を目指したもので、掛金を掛けられなかった人々(二○歳以前に障害を持っている人、制度発足時に既に高齢者である人など)に対しても、「共同連帯」(国民年金法第一条・目的)の立場から、救済措置(経過措置)を採り、年金を保障することを特徴にしている。事実、沖縄、小笠原の日本復帰に際しては経過措置が採られている。日本に定住する外国人は、日本人と同様の納税などの義務を果たしており、少なくとも国籍要件撤廃に際しては、経過措置が採られ無年金者が出ない努力をすべきであった。在日外国人の無年金者を放置していることは、日本が批准した国際人権規約、難民条約の「内外人平等」の趣旨に反する。
 ついては、在日外国人の権利保障として、次の事項について実現を図られたい。

一、無年金障害者問題の解決に当たり、一九八二年一月一日において二○歳以上の在日外国人障害者に対し、障害基礎年金が支給できる法改正、あるいは制度措置を講ずること。
二、無年金の在日外国人高齢者に対し、年金保障又は同等の福祉的措置を講ずること。

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