請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 138 件名 すべての子供に行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくることに関する請願
要旨  二一世紀を担う子供たちが心身共に健やかに成長することは、教職員・父母・国民の共通の願いである。そして、憲法、教育基本法、子どもの権利条約に基づいて、一人一人の子供たちに確かな学力を保障し、希望をはぐくむ教育を実現することが今日ほど求められているときはない。しかし、その願いを実現するには、今の教育を取り巻く環境と条件は余りにも貧弱な状況である。劣悪な教育条件の改善が日本の教育改革の一つの大きな条件であり、急務となっている。日本の公教育は、公立学校と私立学校の両輪によって支えられ、発展してきた。今日高等学校で二九・二五%(二〇〇一年度)、幼稚園で七九・〇二%(二〇〇一年度)の子供が私学で学んでいる。私学における父母負担は年々増加し、もはや限界を超えている。二〇〇一年度の私立高校初年度納入金の平均額が六六八、二八三円(一・二%増)になり、深刻の度を増している。これは、根本的に公教育の一翼を担う私学への公費助成の不十分さによるものである。私学の高学費が教育の機会均等を損ない、公教育をゆがめる大きな要因の一つになっている。今日の不況の中で私学の高学費は、父母・生徒を苦しめている。学費の滞納者が増え、経済的理由で学校を去る生徒が急増している。教育を受ける権利が経済的理由で侵害されているという事態が進行している。現に第一八回国連子どもの権利委員会の審査の中でも、委員から「教育費が高過ぎないか」という質問が発せられている。受益者負担主義による教育費の国民負担が高過ぎることは、明らかである。こうした重過ぎる教育費負担が、少子化の一つの要因にもなっている。日本の教育に占める私学の役割の大きさからして、私学助成の抜本的拡充を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、小中高の三〇人以下学級を早期に実現すること。複式学級を解消すること。
二、私学助成を大幅に増額すること。特に経常費二分の一助成、授業料直接助成、施設助成を実現すること。
三、義務教育費の国庫負担制度を守り、充実すること。
四、すべての学校の教職員を増やすこと。
五、希望するすべての子供たちに、高校教育を保障すること。障害児に行き届いた教育を保障するために、教育条件を整備すること。
六、教育費の父母負担を軽減し、長期不況下の子供の就学を保障するために、公立・私立の児童生徒への就学援助、授業料減免制度、奨学金制度などを充実すること。
七、学校の施設・整備を改善すること。

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