請願

 

第154回国会 請願の要旨

新件番号 3196 件名 建設産業の民主化、国民本位の公共事業等に関する請願
要旨  度重なる公共事業の積増しにもかかわらず、企業の倒産、失業者問題は依然として深刻であり、消費市場も低迷を続けている。しかも大規模プロジェクト中心の公共事業が国及び地方の財政を圧迫している。このため、不要・不急の大規模プロジェクトを中止するとともに、地域と国民生活に密着し、防災、環境保全を重視した事業に切り替えることが急務となっている。このような中、建設関連の中小業者及び労働者は、不況による仕事の減少に加え、大手ゼネコンや住宅企業による地域の中小建設市場への進出、工事代金等の不払、銀行による貸渋りや融資の一方的な回収などにより、倒産や失業などといった深刻な事態に追い込まれている。また、大手ゼネコンは社内において退職の強要や賃金体系の改悪を進めている。一方、行政改革の一環として昨年一月に公共事業の八割が集中する国土交通省が発足したが、政府が進める改革は国民本位のものでなければならない。公務員制度改革を行ったとしても、公共事業の実施に当たる職員の大幅削減や天下り・癒着構造が温存されるようであれば、公正な事業発注や施工管理、道路・河川などの整備及び管理などの業務がしわ寄せを受けることになり、行政責任及び行政サービスの大幅な低下は避けられない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、建設労働者及び中小企業に対する仕事及び収入を確保し、暮らしの安定を図ること。
 1 公共工事における積算金額が下請・資材業者、建設関連労働者に対し適正に保障される制度を確立すること。民間工事においても同様の措置と指導を徹底すること。また、不払が発生した場合の救済制度を制定すること。行政の責任により建設関連労働者の雇用対策を講ずること。
 2 中小建設業者の経営安定を図るため、受注機会の確保を図る措置を講ずること。「官公需法」(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)の廃止又は改悪を行わないこと。
二、国民生活関連事業と国土・環境保全を優先した公共事業に転換すること。
 1 公共事業を抜本的に見直し、大規模プロジェクトに偏重することなく、国民生活関連事業と国土・環境保全、防災を優先した事業に転換すること。
 2 公共事業の長期計画は議会の承認事項とし、現行の長期計画を見直し、新たな計画を立てること。
 3 公共事業の計画及び事業決定に当たっては、情報の公開及び公正かつ民主的な住民参加のシステムを確立すること。
三、国民本位の公共事業における執行体制の整備を図ること。
 1 公共事業の執行及び公共物の管理については、国及び自治体又は特殊法人の責任で行い、民間委託や民営化は行わないこと。公共構造物の品質及び安全を確保するため、発注・監督官庁における設計・施工、監督・検査、管理体制を充足させること。また、油流出事故に対する防除体制の強化や廃棄物等による河川及び海洋の水質汚染対策などの環境保全を図る体制を確立すること。
 2 独立行政法人となった国の研究機関における業務については、行政との一体性を確保し、国の責任で行うべき基礎研究などが損なわれないようにすること。
 3 右記の事項を実現するため、地方整備局や事務所・出張所など地方出先機関の体制を充実させるとともに、必要な職員を確保すること。

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