請願

 

第154回国会 請願の要旨

新件番号 2735 件名 長良川河口堰のゲート操作の運用に関する請願
要旨  長良川河口堰(ぜき)は、平成七年から本格的な運用が開始され、洪水流下を阻害していた河床部のマウンドが併せて除かれた。これにより治水面においては、平成十一年九月及び平成十二年九月の豪雨の際、河道の浚渫(しゅんせつ)前に起きた同程度の洪水と比較すると、洪水位の早期かつ大幅な低下や警戒水位を超過した時間の短縮が確認され、安全性が向上している。また、利水面においては、塩分の混入もなくなり、長良川用水への安定した水の供給により地域の発展の支えとなっている。河口堰完成後の環境についても、平成七年度から堰の運用に伴う環境の変化等が継続的に調査されており、その結果、環境の変化は予測の範囲内であり、特段の支障は生じていない。さらに、河口堰の完成により生じた静水面を利用し、平成十年十月に長良川下流部が長良川国際レガッタコースに認定され、平成十七年には世界ボート選手権大会が開催されることとなっており、世界各国のボート競技の選手や関係者、観客などとの交流等を通じて、地域の一層の活性化が期待されている。一方、一部の人々から長良川河口堰ゲートの開放を求める声があるが、ゲートの開放によって生じる塩水の遡上(そじょう)は沿川住民の生命・財産にかかわる重大な問題に発展することが明らかであり、地域に暮らす住民の実情を軽視したものと言わざるを得ない。加えて、塩水の遡上により長良川用水からの取水が困難になるとともに、長期的に土壌が塩分に汚染されて農作物が生育できない土地になるため、ばくだいな損害が生じるだけでなく、地下水に飲み水を依存している住民の生活にも大きな影響を与えることが懸念される。同様に、水道用水や工業用水などを長良川に依存する地域の人々の生活にも多大な支障が生じることは必至である。そのうえ、ゲートを開放するとボート競技公認コースとしての条件である水深の確保や流速の低減を満たすことができなくなり、世界ボート選手権大会の中止を余儀なくされるだけでなく、コース認定自体を剥奪(はくだつ)されることとなり、地域振興の核の一つであるボート競技が今後、廃止されることにもなりかねない。
 ついては、河口堰の本来の目的である治水・利水上の機能を今後とも確保するため、次の事項について実現を図られたい。

一、長良川河口堰のゲート操作に当たっては、塩水を遡上させないことを厳守し運用すること。
二、長良川河口堰のゲート操作に当たっては、レガッタコースとしての機能を損なわないように運用すること。

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