請願

 

第154回国会 請願の要旨

新件番号 2475 件名 公営住宅の供給拡大等に関する請願
要旨  失業率五%の超過、雇用不安の増大、個人消費の低迷などにより、景気回復が阻害されるといった悪循環の中、国民の多くは不安を感じ、将来への展望が見いだせない状況にある。このような中、公営住宅に対する国民のニーズや期待は増大しており、公共賃貸住宅の役割はますます重要性を増していることから、その供給の拡大は国民の願いとなっている。しかし、平成八年に行われた公営住宅法の改正により一般世帯に対する入居収入基準が引き下げられた一方、高齢者や障害者の世帯等に対する入居基準の緩和が行われたことから、働き盛りのファミリー世帯は公営住宅からの退去を余儀なくされ、その結果として高齢者、一人親、障害者の世帯等が急増した。公営住宅の入居者が特定階層化することは、まちづくりの視点やノーマライゼーションの思想、また、住民自治の活性化の観点からも様々な問題を提起しており、公営住宅の入居収入基準を大幅に見直し、公営住宅の活性化を図る必要がある。昨年五月、東京都住宅政策審議会は「二十一世紀の豊かでいきいきとした東京居住を実現するための住宅政策の展開について」と題した答申の中で、公営(都営)住宅制度の重大な施策転換を提言している。中でも、公営(都営)住宅への「期限付入居制度」は居住の不安定化の促進につながり、安心して住み続けられる公営住宅制度を根底から覆すものである。一方、公営住宅のストックの活用が叫ばれており、老朽化した公営団地のリフォーム、建て替えの促進と、良好な地域のコミュニティの形成に役立つ公営団地の公共施設の改修が求められている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、公営住宅に対する需要が増大していることから、国民が安心して住むことのできる公営住宅の供給拡大を図ること。
二、公営住宅団地の活性化を図るとともに、良好なまちづくり及びコミュニティが形成できるよう、公営住宅における入居収入基準を早急に見直し、若い世帯も入居できるようにすること。
三、公営住宅の「期限付入居制度」は、居住の不安定化を促進し居住の権利を侵害することから、同制度を導入しないこと。
四、公営住宅のリフォーム、建て替え及び団地内の公共施設の改修を住民の合意の下で推進すること。

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