議案情報

平成21年6月10日現在 

第171回国会(常会)

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議案審議情報

件名 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
種別 条約
提出回次 171回 提出番号 12

 

提出日 平成21年3月6日
衆議院から受領/提出日 平成21年5月12日
衆議院へ送付/提出日  
先議区分 衆先議
継続区分  

 

参議院委員会等経過
本付託日 平成21年6月3日
付託委員会等 外交防衛委員会
議決日 平成21年6月9日
議決・継続結果 承認

 

参議院本会議経過
議決日 平成21年6月10日
議決 承認
採決態様 全会一致
採決方法 押しボタン(強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の投票結果はこちら)

 

衆議院委員会等経過
本付託日 平成21年4月23日
付託委員会等 外務委員会
議決日 平成21年5月8日
議決・継続結果 承認

 

衆議院本会議経過
議決日 平成21年5月12日
議決 承認
採決態様 全会一致
採決方法 異議の有無

 

議案要旨
(外交防衛委員会)
強制失踪(そう)からのすべての者の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(閣条第
   一二号)(衆議院送付)要旨
 一九七〇年代、主に軍事政権下の中南米諸国において、一般の市民等が国家権力により身体の自由を不法にはく奪された上で、秘密裡に拘禁される例が見られた。このことに対する反省から、国家によるこのような不法な拘禁を禁止するとともに、このような犯罪を強制失踪犯罪としてこれを行った個人を処罰することにより、再発を実効的に防止するための新たな国際文書を作成する必要性が強く認識されるようになった。この条約は、こうした状況を背景に作成作業が行われた結果、二〇〇六年(平成十八年)十二月の第六十一回国際連合総会において採択された。
 この条約は、拉致を含む強制失踪を犯罪として定め、その処罰の枠組みの確保及び予防に向け締約国がとるべき措置等について規定するものであり、前文及び本文四十五箇条から成り、主な内容は次のとおりである。
一、「強制失踪」とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽することを伴い、かつ、当該失踪者を法律の保護の外に置くものをいう。
二、締約国は、強制失踪が自国の刑事法上の犯罪を構成することを確保するために必要な措置をとる。
三、強制失踪の広範又は組織的な実行は、適用可能な国際法に定める人道に対する犯罪を構成し、及び当該適用可能な国際法の定めるところにより決せられた結論を引き受けなければならない。
四、締約国は、少なくとも強制失踪を実行した者、強制失踪の実行を命じ、教唆し、勧誘し、若しくは試みた者又は強制失踪に加担し、若しくは参加した者、また、上官であってこの条約に定める一定の条件を満たすものについて刑事上の責任を負わせるために必要な措置をとる。公的機関、文民、軍人その他の者によるいかなる命令又は指示も、強制失踪犯罪を正当化する根拠として援用することはできない。
五、締約国は、強制失踪犯罪について、その極度の重大性を考慮した適当な刑罰を科することができるようにする。
六、強制失踪について出訴期限を適用する締約国は、刑事手続の時効期間に関して、長期間にわたるものであり、かつ、この犯罪の極度の重大性と均衡のとれたものであること及び強制失踪犯罪の継続的な性質を考慮しつつ、その犯罪行為が終わった時から起算することを確保するために必要な措置をとる。
七、締約国は、強制失踪犯罪が自国の管轄の下にある領域内又は自国において登録された船舶内若しくは航空機内で行われる場合、容疑者が自国の国民である場合及び失踪者が自国の国民であり、かつ、自国が適当と認める場合において、強制失踪犯罪についての裁判権を行使する自国の権限を設定するために必要な措置をとる。
  締約国は、容疑者が自国の管轄の下にある領域内に所在する場合において、他の国に対して自国の国際的な義務に基づく当該容疑者についての犯罪人引渡しを行わず、かつ、自国が管轄権を認めている国際刑事法廷に対して当該容疑者の引渡しを行わないときは、強制失踪犯罪についての裁判権を行使する自国の権限を設定するために必要な措置をとる。
八、強制失踪犯罪の容疑者が自国の管轄の下にある領域内で発見された締約国は、他の国に対して自国の国際的な義務に基づく当該容疑者についての犯罪人引渡しを行わず、かつ、自国が管轄権を認めている国際刑事法廷に対して当該容疑者の引渡しを行わない場合には、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する。
九、条約の存在を犯罪人引渡しの条件とする締約国は、自国との間に犯罪人引渡条約を締結していない他の締約国から犯罪人引渡しの請求を受けた場合には、この条約を強制失踪犯罪についての犯罪人引渡しに必要な法的根拠とみなすことができる。
十、締約国は、強制失踪の被害者が被害回復を受ける権利及び迅速、公正かつ適正な賠償を受ける権利を有することを自国の法制において確保する。
十一、強制失踪に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置し、十人の専門家により構成する。
十二、締約国は、この条約の批准の際に又はその後いつでも、自国の管轄の下にある個人であって自国によるこの条約の規定に対する違反の被害者であると主張するものにより又はその者のために行われる通報を委員会が受理し、及び検討する権限を有することを認める旨を宣言することができる。
十三、締約国は、この条約に基づく義務が他の締約国によって履行されていない旨を主張するいずれかの締約国からの通報を委員会が受理し、及び検討する 権限を有することを認める旨をいつでも宣言することができる(我が国は、この条約の締結に際してこの宣言を行う予定である。)。
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