議案情報

平成16年6月16日現在 

第159回国会(常会)

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議案審議情報

件名 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件
種別 条約
提出回次 159回 提出番号 11

 

提出日 平成16年3月9日
衆議院から受領/提出日 平成16年5月20日
衆議院へ送付/提出日  
先議区分 衆先議
継続区分  

 

参議院委員会等経過
本付託日 平成16年5月26日
付託委員会等 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会
議決日 平成16年6月14日
議決・継続結果 承認

 

参議院本会議経過
議決日 平成16年6月14日
議決 承認
採決態様 全会一致
採決方法 押しボタン(千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件の投票結果はこちら)

 

衆議院委員会等経過
本付託日 平成16年4月13日
付託委員会等 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会
議決日 平成16年5月20日
議決・継続結果 承認

 

衆議院本会議経過
議決日 平成16年5月20日
議決 承認
採決態様 全会一致
採決方法 異議の有無

 

議案要旨
(イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会)
   千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追
   加議定書(議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件(閣条第一一号)(衆議院送付)要旨
 この追加議定書は、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約作成後の植民地独立の動き、軍事技術の発達等により武力紛争の形態が多様化したことを踏まえ、一九七七年(昭和五十二年)に同諸条約を補完し及び拡充するものとして作成されたものであり、国際的な武力紛争の犠牲者を一層保護することを目的とし、傷病者、捕虜、文民等の保護並びに戦闘の方法及び手段の規制等について定めるものである。
 この追加議定書は、前文、本文百二箇条及び二の附属書から成り、その主な内容は次のとおりである。
一、この議定書は、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(以下「諸条約」という。)を補完するものであり、諸条約のそれぞれの第二条に共通して規定する締約国間の武力紛争及び占領の事態について適用する。この事態には、国際連合憲章並びに国際連合憲章による諸国間の友好関係及び協力についての国際法の諸原則に関する宣言にうたう人民の自決の権利の行使として人民が植民地支配及び外国による占領並びに人種差別体制に対して戦う武力紛争を含む。
二、紛争当事者は、紛争の開始の時から、利益保護国の制度を適用することにより、諸条約及びこの議定書について監視し及びこれらを実施することを確保する義務を負う。
三、すべての傷者、病者及び難船者は、いずれの締約国に属する者であるかを問わず、尊重され、かつ、保護される。
四、医療組織は、常に尊重され、かつ、保護されるものとし、また、これを攻撃の対象としてはならない。紛争当事者は、自己の固定された医療組織の位置を相互に通報するよう求められる。
五、軍の医療要員以外の医療要員及び軍の宗教要員以外の宗教要員は、尊重され、かつ、保護される。
六、傷者、病者、難船者、医療用輸送手段等、この議定書の第二編の規定によって保護される者及び物に対する復仇は、禁止する。
七、医療用車両、医療用船舶等の医療用輸送手段は、諸条約及びこの議定書における移動する医療組織と同様の方法により尊重され、かつ、保護される。医療用航空機は、この議定書の第二編の規定により尊重され、かつ、保護される。
八、いかなる武力紛争においても、紛争当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は、無制限ではない。過度の傷害又は無用の苦痛を与える兵器、投射物及び物質並びに戦闘の方法を用いることは、禁止する。
九、背信行為により敵を殺傷し又は捕らえることは、禁止する。
十、紛争当事者の軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。紛争当事者の軍隊の構成員は、戦闘員であり、すなわち、敵対行為に直接参加する権利を有する。
十一、戦闘員であって敵対する紛争当事者の権力内に陥ったものは、捕虜とする。戦闘員は、文民たる住民を敵対行為の影響から保護することを促進するため、攻撃又は攻撃の準備のための軍事行動を行っている間、自己と文民たる住民とを区別する義務を負う。
十二、紛争当事者は、文民たる住民及び民用物を尊重し及び保護することを確保するため、文民たる住民と戦闘員とを、また、民用物と軍事目標とを常に区別し、及び軍事目標のみを軍事行動の対象とする。
十三、文民たる住民及び個々の文民は、軍事行動から生ずる危険からの一般的保護を受け、攻撃の対象としてはならない。また、民用物は、攻撃又は復仇の対象としてはならない。
十四、文化財及び礼拝所を対象とする敵対行為を行い、軍事上の努力を支援するために利用し又は復仇の対象とすることは、禁止する。
十五、戦闘の方法として文民を飢餓の状態に置くこと及び文民たる住民の生存に不可欠な物を攻撃し、破壊し、移動させ又は利用することができないようにすることは、禁止する。
十六、自然環境に対して広範、長期的かつ深刻な損害を与え、それにより住民の健康又は生存を害する戦闘の方法及び手段の使用は、禁止する。
十七、危険な力を内蔵する工作物等、すなわち、ダム、堤防及び原子力発電所は、これらの物が軍事目標である場合であっても、攻撃によって文民たる住民の間に重大な損失をもたらすときは、攻撃の対象としてはならない。
十八、紛争当事者が無防備地区を攻撃することは、手段のいかんを問わず、禁止する。紛争当事者の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地区であって敵対する紛争当事者による占領に対して開放されるものを、無防備地区として宣言することができる。
十九、軍の文民保護組織以外の文民保護組織及びその要員は、この議 定書の規定に基づき尊重され、かつ、保護される。これらの者は、絶対的な軍事上の必要がある場合を除くほか、警報の発令、避難の実施、避難所の管理、救助、応急医療その他の医療等の文民保護の任務を遂行する権利を有する。
二十、女子及び児童は、特別の尊重を受ける。
二十一、締約国及び紛争当事者は、諸条約及びこの議定書に基づく義務を履行するため、遅滞なくすべての必要な措置をとる。
二十二、紛争当事者は、赤十字国際委員会が人道的任務を遂行できるよう可能なすべての便益を与えるとともに、その他の人道的活動を行う団体に対して必要な便益を与える。
二十三、締約国は、平時において武力紛争の際と同様に、自国において諸条約及びこの議定書の周知を図る。
二十四、この議定書に対する違反行為及び重大な違反行為の防止につき諸条約の関連する規定が適用されること並びにこの議定書に対する重大な違反行為等について定める。
二十五、締約国及び紛争当事者は、軍の指揮官に対し、諸条約及びこの議定書に対する違反行為を防止すること、これらの違反行為を行った者に対する懲戒上又は刑事上の手続を開始すること等を求める。
二十六、諸条約及びこの議定書に定める重大な違反行為その他の諸条約又はこの議定書に対する著しい違反であると申し立てられた事実を調査すること等を行う権限を有する十五人の委員で構成する国際事実調査委員会を設置する。
二十七、諸条約又はこの議定書に違反した紛争当事者は、必要な場合には、賠償を行う責任を負い、また、紛争当事者は、自国の軍隊に属する者が行ったすべての行為について責任を負う。
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