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参議院のあらまし

正副議長の選挙

 議長は議院の代表者であり、本会議の議事を主宰し、副議長はその補佐をします。議長及び副議長(以下「正副議長」という。)は本会議での選挙によって選ばれます。

 参議院において正副議長の選挙を行うのは、通常選挙後初めて国会が召集されたとき及び会期中に辞任などの理由により正副議長が欠けたときです。正副議長の任期は議員の任期によりますが、参議院は3年ごとに議員の半数が改選されるため、通常選挙後初めて国会が召集された際に正副議長がいる場合でも、議院の許可を得て辞任し、新たに選挙を行うこととなっています。会期中に正副議長が欠けた例は、議長、副議長それぞれ現在まで6回ずつありましたが、すべての議事運営の責任者である正副議長の選挙は、他の議事に優先して行われています。

 選挙は立候補制ではないので、参議院議員であれば誰に投票しても構いません。しかし、実際は政党政治の発展に伴い、事前の協議で事実上の候補者が決められているようです。昭和52年の第81回国会からは、所属議員数が一番多い会派から議長、二番目に多い会派から副議長が選ばれるのが慣例となっています。

 選挙は議長、副議長のそれぞれについて単記無名投票(投票用紙には選ぶ相手1人の氏名だけを記載し、投票する自己の氏名は記載しない)で行われます。その理由は、議員が何ものにも拘束されることなく自己の判断に従って投票できるようにするとともに、当選した正副議長が、投票者の意向等に捕らわれることなく、中立、公正な院の運営にフリーハンドで当たれるようにする、との配慮に基づくものと考えられています。

 選挙は、まず選挙を行う旨の宣告があった後、演壇の上に名刺箱と投票箱が置かれ、氏名点呼が始まります。氏名点呼とは議員の氏名を議席番号順(議長から見て左前端が一番)に順次読み上げることをいいます。議員は点呼に応じて、あらかじめ議席に配られている投票用紙に自分が選んだ議員の氏名を記入したものと、議席に備えられている自己の氏名が記載された木札の名刺を一緒に演壇に持参し、それぞれ参事に手渡します。投票用紙と一緒に名刺を持参するのは、投票に参加した者の氏名を明らかにして二重投票を防止するとともに、投票と名刺の数を照合して投票の点検を行うためです。

 名刺数が投票数よりも多い場合は投票を棄権したものと推定され問題はありませんが、投票数が名刺数より多いときは原則として投票をやり直さなければなりません。ただし、選挙の結果に影響を及ぼさないときはそのまま有効とします。例えば、平成10年の第143回国会における副議長選挙では投票数が名刺数より1票多かったのですが、そのまま有効としました。

 投票の結果、投票の過半数を得た人が当選人となります。過半数を得た人がいないときは、得票数の多い上位2人について決選投票を行い、得票数の多い方を当選人とします。得票数が同じときは、くじで決定します。現在まで決選投票は3回ありましたが、くじを使用したことは一度もありません。

 正副議長が新たに当選すると、議院に紹介され、演壇において就任の挨拶をし、これに対して年長議員が祝辞を述べるのが通例です。なお、公正中立な議事運営を行うため、当選後、正副議長は所属会派を離脱するのが慣例となっています。