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参議院のあらまし

参議院改革の歴史

歴代議長・副議長一覧
参議院改革関係年表
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目次

はじめに

参議院の在り方に関しては、その発足以来、各方面において議論されてきた。選挙のたびごとに参議院の政党化が指摘されるようになり、また、参議院における法案等の審議が二院制の国会審議の中で会期末に集中することから、結果として参議院の審議時間が不足することも多くなり会期末における混乱を招くなど、参議院の在り方に厳しい国民の目が向けられるようになった。

このような状況を踏まえ、第9回参議院議員通常選挙後の昭和46年7月7日、河野謙三議員(自民)は全議員にあてて「選挙を終わって」と題する書簡を出し、「失われた、ないしは失われつつある参議院への信頼を取り戻し、参議院本来の使命を果たすために、この際、心を新たにして一層の努力と工夫を重ねなければならない」として、正副議長の党籍離脱、大臣・政務次官への就任自粛、参議院独自の院内言論活動の展開などの具体的な提案を行い、参議院改革の必要性を訴えた。その後、議長に就任した河野議長は、参議院問題懇談会を設置するとともに参議院の改革に取り組んだ。以後、参議院の組織と運営に関する問題が参議院改革のテーマとして正式に取り上げられ、歴代議長の下で各会派が協力して参議院改革に取り組むことになった。

ここでは、これまでに行われてきた参議院改革の経緯と実績をたどることとする。

第1節 河野議長と参議院問題懇談会(昭和46年~52年)

前述のとおり、7月17日に就任した河野議長は、同月30日、参議院の運営の改善について諮問するため、私的諮問機関として8人の有識者を委員とする「参議院問題懇談会」を設置した。同懇談会からは、同年9月に「参議院運営の改革に関する意見書」の答申があった。

答申を受けた河野議長は、参議院の改革について協議するため、各会派代表者会議を開催し、参議院問題懇談会の結論について検討を依頼した。これを受けて、同会議は、昭和47年3月に「参議院問題懇談会の答申は、会派間に意見の異なるところがないわけではないが、基本的には、参議院の現状に対する国民の批判を的確に表現したものとして評価し、今後、引き続き、その実現に努力する」との申合せを行った。

正副議長の党籍離脱

河野議長は、議長就任後に党籍を離れ、森八三一副議長(自民)も就任後間もなく党籍を離脱した。この正副議長の党籍離脱の慣例は、それ以来長い間尊重され、今日に至っている。

正副議長の党籍離脱の問題は、参議院の独自性と自主性を確保する観点から、参議院問題懇談会の答申では「議長として公正な運営を意図していても、党籍を有していればとかくの疑惑を招きやすいのでこれを避ける必要があること、所属政党内の紛争及び所属政党と他の政党との紛争に巻き込まれないようにすること等の理由からいっても、党籍離脱は意義のあること」とされており、長年与野党間でも議論されてきた経緯があるが、ここに実現をみることとなった。

審議期間の確保、先議案件増加の要請

河野議長は参議院問題懇談会の答申を踏まえて、昭和46年10月、48年3月、49年5月の3回にわたり、衆議院に対して参議院の審議期間の確保についての配慮を申し入れ、また、内閣に対しても昭和46年10月に先議案件の増加について申入れを行った。

審議期間の確保の問題は、一定期間の余裕を持って参議院に議案が送付されることにより会期末の混乱を防止しようとするものであり、また、先議案件の増加の問題は、参議院問題懇談会の答申では「参議院先議の内閣提出議案を相当数増加するように努め、会期当初の参議院の議事の空白を少なからしめる」こととされ、いずれの問題もこれまでの経験から、参議院の運営を困難にするのは、審議期間の短さから生じることが多いという認識によるものであった。

このほか、河野議長の下で、委員会における自由討議の採用、「国民とともにある参議院」として国民との距離をなくすため、傍聴人・参観者のためのエレベーターや休憩所の整備等の諸改善、都道府県議会図書室等への委員会会議録の寄贈などが実施された。また、委員長室の設置も行われた。

第2節 歴代議長の下における参議院改革協議会の経緯と実績

安井議長の下での動き(昭和52年~55年)

参議院改革協議会の設置

昭和52年7月に就任した安井謙議長は、同年8月の各会派代表者懇談会において、「参議院改革に関する基本的または現実的な問題について各党で考え方をまとめ、具体的にどう取り組むかを検討したい」との提案を行った。また、11月に「参議院運営等の改善について」と題する私見を発表し、参議院の運営と政党との関係、三権分立下での立法府と行政府の在り方及び参議院の役割を果たすための方策について問題提起を行うとともに、これらの問題についての検討の進め方を整理し、当面必要な事項を処理するため、議院運営委員長を中心とした協議会の設置を各会派に提案した。

安井議長の提案を受けて、議院運営委員会において協議した結果、昭和52年11月21日に、参議院の組織及び運営に関する諸問題を調査検討し、その改善策について議長に報告することを目的とした「参議院の組織及び運営の改革に関する協議会(参議院改革協議会)」(以下「改革協議会」という)の設置が決定された。以後、平成7年まで、参議院改革問題は、各会派の委員で構成される改革協議会において協議・検討されるようになる。

エネルギー対策特別委員会の設置など

昭和54年12月、安井議長は改革協議会において、エネルギーに関する特別委員会の設置、先議案件の増加、請願審査の充実、附帯決議のアフターケアの4項目について提案した。

これを受けて、改革協議会において協議した結果、エネルギーに関する諸問題を調査し、総合的で長期的な対策を立てるため、エネルギー対策特別委員会が昭和54年12月に召集された第91回国会から設置された。

また、従来会期末に行われることの多い請願審査については、改革協議会及び議院運営委員会理事会の決定に基づき、議院運営委員長から各委員長に対し、請願審査を充実させるため会期途中での請願審査について協力が求められ、第91回国会において11の委員会が会期途中に請願審査を行った。

このほか、議員の紹介によって国会閉会中の第1・3日曜日に本会議場の参観ができる特別参観制度が昭和55年6月から実施された。また、昭和55年5月に国民各層から選ばれた10名の方から「参議院の在り方」に関する意見を聞き、昭和55年6月から8月にかけて「参議院に望む」というテーマで感想文を募集した。

徳永議長の下での動き(昭和55年~58年)

選挙制度について

昭和55年7月に就任した徳永正利議長は、改革協議会において、「開かれた参議院」として国民に対する広報活動の充実、立法府自体の行政改革及び全国区制を含めた参議院議員選挙制度の改革について提言を行った。しかし、改革協議会においては、選挙制度の問題は取り扱わないとの確認がなされ、それ以後、平成16年に参議院議員選挙の定数較差問題について協議することになるまで、選挙制度の問題を取り扱うことはなかった。

なお、改革協議会の議論とは別に、参議院議員の選挙制度については参議院全国区制度の改革をめぐる議論が活発になり、昭和57年8月、第96回国会において、参議院全国区を廃止し、拘束名簿式比例代表制の導入を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律が成立した。

総予算の委嘱審査制度と調査特別委員会の設置等

改革協議会は、各会派から提案された参議院改革案について検討を進め、委員会の組織・運営の問題を改革の主要テーマとして取り上げ、総予算の委嘱審査制度の新設、調査特別委員会の設置などについて答申を行った。

総予算の委嘱審査制度は、予算委員会における総予算の審査の過程で、予算委員会以外の各委員会がその所管する各省庁の予算について審査にかかわる参議院独自の制度であり、全議員が予算審査に参画できるようにし、予算審査を十分に行うことを目的に創設された。昭和57年3月に制度新設のため参議院規則が改正され、昭和57年度総予算の審査から実施された。

調査特別委員会は、6年という参議院議員の任期に着目し、長期的かつ総合的観点からの調査を行うための機構を特別委員会制度の枠内に設けようとするもので、昭和58年7月に召集された第99回国会において国民生活・経済に関する調査特別委員会と外交・総合安全保障に関する調査特別委員会が設置された。この調査特別委員会が後述する参議院独自の審議機関である調査会の前身となる。

また、当面の運営問題について、「審議を十分尽くすため、重要法案の参議院における審議期間は、原則として最低20日間を確保する」などの提案も行われた。

開かれた参議院を目指す広報活動の充実

昭和56年7月、改革協議会小委員会において、「国民に開かれた国会」という指針の下に、参議院の今後の広報活動の方針等を定める「広報活動拡充計画要綱」が決定された(議院運営委員会理事会了承)。同要綱では、国民に対する窓口サービスの充実、視聴覚記録についての調査研究及び活用、国会広報出版物の充実、広報体制の強化がその計画事業として取り上げられた。

昭和56年10月、これらの事業を実施するため広報室(平成15年4月より「広報課」)が設置されるとともに、国民からの問い合わせに応対するテレホンサービスが開始された。昭和57年3月には、会議録などの資料の展示、ビデオによる参議院活動の紹介などを行うサービスロビーが開設された。

また、第95回国会(昭和56年)以降、各国会回次ごとに議案等の審議の概要をまとめた「参議院審議概要」の刊行が開始されたほか、一般参観者用の国会案内パンフレットが拡充され、点字版、小・中学生用、外国人来訪者用(英語版)の発行が開始された(現在は中国語版、韓国語版、ロシア語版、フランス語版、スペイン語版も発行)。

木村議長の下での動き(昭和58年~61年)

電子式投票装置の検討

昭和58年7月に就任した木村睦男議長の下で、改革協議会は、本会議表決における押しボタン投票方式(電子式投票装置による投票方法)の問題などについて検討を進めた。その結果、参議院における議事及び事務処理の合理化・能率化の一環としての電子式投票装置による投票方法の採用及びそれに用いるコンピューターの多目的利用についての同協議会小委員会の報告を受け、昭和60年2月に「コンピューターの導入については了とするものの、これにいわゆるインプットする事務処理の合理化に係る各項目並びに電子式投票方法等コンピューターの多目的利用について更に具体的な検討を進める必要があるので、これらについての何らかの機関を設ける等の方途を講ずるべきであると認めた」との中間報告をまとめ、議長に提出した。この問題については、改革協議会において更に検討され、同年11月に「電子式投票装置の採用については、議院の事務処理の機械化の一環として、議員で構成する機関において慎重に検討して進めること」と議長に答申を行った。

木村議長の提言

木村議長は、昭和60年2月の改革協議会において、「参議院の独自性発揮と審議充実のための議院の組織及び運営の改善」について、委員会の再編等議院の組織の改善、決算審査の充実、調査機能の拡充強化その他事務機構の改善、常会の1月召集の問題、その他議院運営面での独自性発揮の問題、委員会運営の改善等5項目を提言した。

改革協議会は、木村議長から示された5項目を始め、改革協議会でこれまで答申し、あるいは引き続き検討することとした事項を含めて検討項目を選定して協議を行い、常会の1月召集問題、調査会の設置、議員派遣、両院議院運営委員会の合同理事会の開催問題などについて答申を行った。

常会の1月召集問題

木村議長は、改革協議会からの報告に基づき、常会が12月に召集されてから予算が提出されるまでの約1か月間自然休会となっている点を是正する1月召集問題についての検討を議院運営委員会に諮問した。その後、同委員会から総予算の提出時期について財政当局の意見を付した報告を受けて、議長は再び改革協議会に諮問したところ、改革協議会から「この際、予算の提出時期を含め、常会の召集時期を検討すべきであるとの意見が大勢を占めた」、「この問題は参議院独自性の問題ではなく両院共通の重要問題であるので、速やかに衆議院議長と協議されることを希望する」との答申がなされた。木村議長は、この答申を踏まえ、同年4月に衆議院議長に対し、常会の1月召集の問題は両院共通の問題として衆議院においても検討されるよう申入れを行った。

なお、その後の経過については、「土屋議長の下での動き(昭和63年~平成3年)」の中で触れる。

調査会制度の発足

参議院の調査会は、昭和58年に設置された調査特別委員会の実績を踏まえ、国政の基本的事項について、専ら長期的、総合的に調査を行う、参議院にふさわしい審議機関として委員会の枠外に創設されたものである。昭和61年5月、調査会を創設するために国会法及び参議院規則の一部改正が行われ、第14回参議院議員通常選挙後の昭和61年7月に召集された第106回国会において、外交・総合安全保障に関する調査会、国民生活に関する調査会、産業・資源エネルギーに関する調査会の3調査会が設置された。

藤田議長の下での動き(昭和61年~63年)

参議院制度研究会

昭和61年7月に就任した藤田正明議長は、同年10月の改革協議会において、「現代の変容する社会において参議院に求められているものは何か、参議院はどうあるべきかなど基本的な問題から検討をいただき、その上に立って参議院の組織及び運営について改善策の検討をお願いしたい」と述べた。

改革協議会は、予算の委嘱審査制度の活性化、調査会の活性化などについて協議を行った。

また、藤田議長は、「広く世界史の流れの中で、二院制の意義を考え、日本の政治の中庸と安定のために参議院はどうあるべきか、選挙制度を含め制度及び運用をどう改めるべきかについて、引き続き研究を行う」との所信を表明し、昭和63年1月、私的諮問機関として5人の有識者を委員とする「二院制下における参議院の在り方を考える研究会(参議院制度研究会)」を設置した。藤田議長は、その初会合において、広く世界の議会制度の歴史の中における両院制の存在意義は何か、日本国憲法下の両院制における参議院はいかにあるべきか、現行の参議院の選挙制度及び運営に改革すべき点はないか、について諮問した。藤田議長は健康上の理由により任期途中で議長を辞任(昭和63年9月)したため、参議院制度研究会の報告書は同年11月に後任の土屋議長に提出された。報告書には、両院制の諸形態と上院の役割、日本国憲法における参議院の役割、参議院の選挙制度、参議院の運営及び衆参同日選挙の問題が取り上げられた。

土屋議長の下での動き(昭和63年~平成3年)

昭和63年9月に就任した土屋義彦議長の下で、改革協議会は、国会審議テレビ中継、社会労働委員会の分割、常会の1月召集問題などについて協議を行った。

参議院審議の院内テレビ中継(実験放送)の開始

平成2年4月の改革協議会小委員会において、「開かれた参議院を作るため、国会審議を国民に理解しやすくするための第1歩」としてテレビ中継実験放送を行うことが決定されたことを受け、予算委員会における平成2年度総予算の審査の模様を国会議事堂本館と参議院議員会館に中継する実験放送が行われた。また、同年9月、議院運営委員会理事懇談会において、「国会が主体的にテレビを通じて生きた議会活動を提供する」との基本構想が合意され、その第1段階として、予算委員会が開かれる第1委員会室に加え、本会議場と第43委員会室で行われる審議に中継対象が拡大され、そのための本院の設備及び中継体制の整備を逐次図ることが決定された。さらに、平成3年には受信範囲が参議院構内の全域に拡大された。

なお、平成3年1月からは衆議院でも院内中継実験放送が開始され、衆参が相伴って国会審議テレビ中継を進めていくことになった。これを受け、同年8月に召集された第121回国会からは衆議院との相互送信も開始された。

社会労働委員会の分割

社会労働委員会の分割問題については、同委員会が所管する社会福祉、労働関係施策などの増加に伴い、平成3年5月の改革協議会において協議が調い、議長に答申された。この答申に基づき、国会法が改正され、第121回国会から社会労働委員会は厚生委員会と労働委員会に分割された。

常会の1月召集

平成3年9月、櫻内義雄衆議院議長から土屋議長に対し、さきに参議院から検討を申し入れていた常会の1月召集の問題について「今般、衆議院議院運営委員会理事会において、常会の1月召集の実現を図ることで各会派の意見が一致したことから、常会の1月召集の実現を図りたい」との回答があったため、土屋議長が再度、改革協議会に諮問したところ、改革協議会においては、国民からの批判の強い自然休会をなくし、常会の全会期の活用を図り、ひいては参議院における審議期間を十分に確保するため、常会は1月に召集すべきであるとの意見で一致したとの答申があった。

この結果、本件については衆参両院で意見が一致し、国会法が改正され、平成4年1月24日に第123回国会(常会)が召集された。

長田議長の下での動き(平成3年~4年)

平成3年10月に就任した長田裕二議長の下で、改革協議会は、調査会の活性化、国会審議テレビ中継の拡充などについて協議を行った。

調査会の活性化

調査会の活性化については、平成4年6月に、改革協議会小委員会は、参議院の調査会が、国政の基本事項に関して長期的、総合的観点から調査を行い、それに基づいて政策提言を行う参議院独自の機関として特色ある制度であり、昭和61年創設以来6年間の実績を踏まえ、一層の改善を加えつつ調査会を存続させることを主な内容とする報告書をまとめ、改革協議会に提出した。これに基づき、第16回参議院議員通常選挙後の同年8月に召集された第124回国会において国際問題に関する調査会、国民生活に関する調査会、産業・資源エネルギーに関する調査会の3調査会が設置された。

国会審議テレビ中継の拡充

参議院において国会審議テレビ中継設備の整備が進展したことを受け、第123回国会から参議院本会議場で行われる国会の開会式と本会議審議の院内中継が開始され、同時に総理大臣官邸への送信も開始された(その後順次中継対象となる会議室及びチャンネル数の追加が行われ、平成17年1月より本会議と14の委員会室から同時13チャンネルの中継が可能となっている)。

また、平成4年6月、議院運営委員会理事会において、通信衛星(CS)を利用して国民向け実験放送を行うことが決定され、第124回国会召集日の参議院本会議の模様が中継放送された。

原議長の下での動き(平成4年~7年)

平成4年8月に就任した原文兵衛議長の下で、改革協議会は、予備審査制度の活用、委員会公開の問題、自由討議の活用などについて協議を行った。

秘密会会議録の公開など

改革協議会の答申に基づき、通常2週間程度を要して作成されている会議録に加え、議員の審議活動に役立てるため会議録の速報を発行することになり、第132回国会の平成7年3月から「参議院本会議議事速報」と「参議院予算委員会総括質疑速報」が発行された。

議院運営委員会の決定により、帝国憲法時代の貴族院で開かれた秘密会の未公開記録を公表することになり、「貴族院秘密会議事速記録集」が平成7年6月に刊行された。なお、平成8年1月に、斎藤議長の下で、同じく未公開であった「帝国憲法改正案小委員会筆記要旨」が公表された。

また、会議録の内容を素早く簡単に検索するための会議録検索システムを構築するため、参議院事務局・衆議院事務局・国立国会図書館の3者による国会会議録フルテキスト・データベース推進協議会を設置し、国会会議録データベース構築の推進を図ることになったほか、請願審査の充実等については、第132回国会以降、請願の審査結果を紹介議員に通知することになった。

行財政機構及び行政監察に関する調査会等の設置

参議院の特色ある審議機関として実績を積んできた調査会について、更にその活性化を推進する旨の改革協議会の答申が平成7年6月に行われた。これに基づいて、新しい国民のニーズに的確に対応することができるよう、第17回参議院議員通常選挙後の平成7年8月に召集された第133回国会において、国際問題に関する調査会、国民生活・経済に関する調査会、行財政機構及び行政監察に関する調査会の3調査会が設置された。

なお、国民生活に関する調査会が3年間の調査を踏まえ、高齢社会対策の基本的な方向などを内容とする法律の制定に向けて精力的に協議を重ねた結果、第132回国会において各会派の総意をもって「高齢社会対策基本法案」を起草し、提出した。本法案はその後、第134回国会において成立した。

国会審議テレビ中継の更なる拡充

第126回国会(平成5年1月召集)において、CS放送局を通じた2回目の国民向け実験放送が実施された。この実験放送では、本会議における政府の施政方針演説とこれに対する各会派の代表質問、予算委員会における総予算の審査などが全国に放送された(同様の国民向け実験放送は、平成10年4月まで合計8回実施)。また、平成6年1月からは霞が関等にある中央省庁への送信が開始された。

選挙制度の改革

参議院の選挙制度改革については、平成6年4月から各会派間の協議が始まり、同年6月、選挙区定数のいわゆる8増8減などを内容とする公職選挙法の一部を改正する法律が成立した。

斎藤議長の下での動き(平成7年~12年)

参議院制度改革検討会

平成7年8月に就任した斎藤十朗議長は、第17回参議院議員通常選挙の投票率が44.52%と史上最低を記録したことについて、参議院に対する関心、期待の低さが最大の要因であると受け止め、同年10月に参議院改革について抜本的に又は角度を変えて取り組むため、従来の参議院改革協議会にかわる議長の諮問機関として新たに「参議院制度改革検討会」(以下「改革検討会」という)を設置し、「我が国の二院制下における参議院の在り方に関する諸問題とその改善策」について諮問した。改革検討会は、平成8年12月、「委員会審査及び調査の充実」、「決算審査の充実」、「本会議表決における押しボタン方式の導入」、「議員立法の充実」及び「情報公開」の5項目の答申からなる報告書を斎藤議長に提出した。

常任委員会の再編と行政監視委員会の設置など

これを受けて、斎藤議長は、数回にわたって各会派代表者懇談会を開催し、これら答申の実施について各会派の協力を要請した。

その結果、事実上、衆議院とほぼ同様の編成となっていた第一種常任委員会(内閣委員会から建設委員会までの13委員会)を、外交・防衛、文教・科学、国土・環境のような12の基本政策別の委員会に再編することになった。これは、多様化した国民のニーズに対応しつつ、広い視野から、衆議院とは切り口の異なる特色のある審議を行おうとするものである。

また、平成9年6月、行財政機構及び行政監察に関する調査会は、参議院に期待される行政監視機能を向上させるため、オンブズマン的機能を備えた行政監視のための委員会を設置する旨の調査会長案を含む中間報告を斎藤議長に提出した。この中間報告を踏まえ、第二種常任委員会として新たに行政監視委員会が設置されることとなり、国会法の改正により平成10年1月に召集された第142回国会から第一種常任委員会の再編とともに実施された。

また、改革検討会から提出された答申に基づき、第18回参議院議員通常選挙後の平成10年8月に召集された第143回国会において、従来の国際問題に関する調査会、国民生活・経済に関する調査会に加えて、新たに共生社会に関する調査会が設置された。

決算審査の充実

決算についての内閣に対する警告決議については、改革検討会の答申に基づき、平成10年1月の平成7年度決算の本会議議決から二つの改革が実現した。一つは、警告決議議決の際、内閣総理大臣が所信を述べるようになったことであり、もう一つは、警告決議に対して内閣が講じた措置について内閣総理大臣から議長に報告書が提出されるようになったことである。また、検査官の任命同意については、衆議院優越規定があったが、改革検討会の答申に基づき、衆議院及び内閣に要請を行った結果、平成11年4月、会計検査院法の改正により本規定は削除され、両議院が同意しない者を検査官に任命することはできなくなった。

本会議における押しボタン式投票の導入

押しボタン式投票は、本会議の表決において、議員が議席に設置されたボタンを押すことによって表明した賛否を迅速に集計記録して、本会議場内の表示盤に表示し、議長がその結果を宣告する方法である。これは、各議員の賛否の態度を明らかにし、これを国民に広く公開していくことで、議員の表決に伴う政治責任を一層明確にすることを主眼とするもので、採決手続の迅速化や採決結果の情報公開にも資するものである。押しボタン式投票は、平成9年12月に参議院規則が改正され、平成10年1月から導入された。集計された採決の記録は、会議録に掲載されるとともに、時を置かずに参議院のホームページにも掲載されている。

インターネットによる情報提供(ホームページ、インターネット審議中継など)

国民に対する情報サービスの提供を推進すべきであるとの基本的立場から、議院運営委員会において検討が進められた結果、インターネットを活用して法案等の審議経過や結果等の情報を広く国民に提供するため、平成9年1月に参議院ホームページ(http://www.sangiin.go.jp/)が開設された。

また、懸案となっていた国会審議テレビ中継の国民向け公開・提供については、平成10年1月から参議院審議映像が放送局等へ無償で提供されることになり、さらに、同年5月からはインターネットによる審議中継実験が開始され、平成11年4月から本格実施された。

また、国会会議録を電子データ化し、素早く簡単に検索するためのフルテキスト・データベースシステムの構築が進められていたが、平成11年1月から衆参の本会議と予算委員会の会議録情報が国会会議録検索システムとして国立国会図書館を通じてインターネット上に公開された(平成13年4月からは衆参の本会議と全委員会の会議録情報に拡大)。

参議院の将来像を考える有識者懇談会

平成11年4月、斎藤議長は、各会派代表者懇談会において、「参議院の改革を進めてきたが、違った角度から参議院の権能を含め、新しい参議院の在り方について外部の有識者の方に議論していただき、レポートしてもらうこととしたい」との所見を表明し、私的諮問機関として7人の有識者を委員とする「参議院の将来像を考える有識者懇談会」を設置した。斎藤議長は、その初会合において、これまでの改革において不十分であった点の指摘だけでなく、現行の枠組みを超え、自由闊達かつ広範な議論を行い、将来にわたって二院制を続ける場合、真に第二院の役割を果たせる参議院とするための参議院改革の方向性等について、示唆いただきたいと述べた。平成12年4月、参議院の将来像を考える有識者懇談会は、衆参両院の機能分担、参議院の自主性及び独自性の確保、議員個人中心の活動の促進、審議及び運営の改革、選挙制度の改革に関し、憲法の改正による改革も含む具体案を盛り込んだ「参議院の将来像に関する意見書」を斎藤議長に提出した。

その他の改革

超党派の女性参議院議員から議院運営委員長に要望書が提出されたことを受け、議院運営委員会理事会において協議が行われた結果、平成12年3月、本会議に出席することができないとき議長に提出する欠席届書の理由の一つとして「出産」を加える参議院規則の改正が行われた。

なお、平成11年6月から参議院議員の選挙制度改革について各会派間の協議が行われていたが、平成12年10月、第150回国会において非拘束名簿式比例代表制導入と議員定数10削減を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律が成立した。

井上議長の下での動き(平成12年~14年)

平成12年10月に就任した井上裕議長の下では、平成14年3月、再び改革協議会が設置され、参議院改革問題の協議・検討が行われた。

子どもに開かれた参議院

参議院では小学生の本会議傍聴が制限されていたが、小学5年生、6年生の児童については国会の果たす役割等について一層の理解を促すため自由に傍聴を認めることとなり、平成13年9月、議院運営委員会の決定に基づき、参議院傍聴規則が改正された。また、議院運営委員会理事会において、通常の参観に加えて「参議院特別体験プログラム」を設け、子どもたちが委員会や本会議での法案審議をロールプレイ形式で模擬体験する機会を年間を通じて提供することが決定された。特別体験プログラムは、平成14年4月から実施され、全国から多くの子どもたちが参加している(平成19年1月に参加者が20万人に達した)。

その他

中央省庁再編に伴い、国会法が改正され、平成13年1月に召集された第151回国会から、第一種常任委員会が内閣委員会から環境委員会までの11の省庁別の委員会に再編された。

倉田議長の下での動き(平成14年~16年)

平成14年4月に就任した倉田寛之議長の下で、改革協議会は、決算の早期審査の具体策、議員の海外派遣の見直しなどについて協議を行った。

決算の早期審査のための具体策

決算審査の重視は、参議院改革に関する議論の中で度々取り上げられてきたテーマであり、これまでにもいくつかの改革が行われてきたところであるが、平成 15年1月、改革協議会は、決算の早期審査のための具体策について結論を得、報告書を倉田議長に提出した。これを受けて倉田議長は、各会派代表者懇談会の了承を得た後、予算、決算、議院運営の各委員長に対し協力を要請した。

決算の早期審査は、財政の無駄を減らし民主的コントロールを徹底するため、決算審査の結果を翌年度予算編成の概算要求に反映できるようにしようとするものである。本報告書に基づき、平成13年度決算については、決算が提出された平成15年の常会の冒頭に本会議において概要報告を聴取した後、本院予算委員会の総予算審査期間中に内閣総理大臣以下全大臣出席の下に決算委員会の全般質疑を行い、早期審査を進め、同年6月に議決された。決算が提出された常会の会期中に議決されたのは35年振りのことである。

また、従来、決算は、翌年度開会の常会(1月)に提出されていたが、決算の早期審査を確実にするため、本報告書及びその後の改革協議会の合意事項に基づき、衆議院及び内閣に要請を行った結果、平成15年度決算からは、会計年度翌年の11月20日前後に国会に提出されることになった。平成16年11月19 日、平成15年度決算が早期に提出されたことを受け、本会議における概要報告も同月中に聴取し、決算委員会における審査を開始した。

議員の海外派遣の見直しとODA派遣の実施

平成15年3月、倉田議長は、改革協議会に対し、議員の海外派遣の在り方を見直すことについて諮問した。改革協議会は、この問題と併せて決算審査の問題について協議した結果、結論を得、同年7月、報告書を倉田議長に提出した。

同報告書は、議員の海外派遣に関しては、東南アジア等の近隣諸国を重視する、国際会議への派遣に重点を置くこととし、派遣議員の継続性の確保に努める、等の観点を考慮して新たに派遣計画を策定するとともに、決算重視の立場からODA(政府開発援助)経費の効率的運用に資するため、新たにODAに関する専門の調査団を派遣するとした。さらに、平成16年6月、改革協議会がODA派遣の具体的実施方法等についての報告書を倉田議長に提出したことを受けて、議院運営委員会理事会は、ODA調査のための派遣計画を盛り込んだ平成16年度海外派遣計画を決定し、同年8月、初のODA派遣(3班。平成18年度からは4班)を行った。

扇議長の下での動き(平成16年~平成19年)

平成16年7月に就任した扇千景議長は、同年11月の各会派代表者懇談会において、参議院改革についての協議機関設置の提案に当たり、次期通常選挙に向けて対応を迫られている定数較差問題についても併せて議論されたいとの意向を示した。これを受けて、改革協議会は、参議院議員選挙の定数較差問題、決算審査充実のための会計検査院法改正、ODAに関する特別委員会の設置などについて協議を行った。

なお、第20回参議院議員通常選挙後、平成16年10月に召集された第161回国会において、議院運営委員会理事会の合意に基づき従来の国際問題に関する調査会のほか、経済・産業・雇用に関する調査会、少子高齢社会に関する調査会が新たに設置された。

決算審査充実のための会計検査院法改正とODA特別委員会の設置

平成17年8月、改革協議会は、決算委員会が取りまとめた会計検査院法改正案を了承し、その旨を議長に報告した。同年10月、同法改正案が成立し、国等の締結する契約の多様化を踏まえた検査対象の拡大、会計検査の円滑な実施の担保、会計検査院による国会等への報告時期の弾力化が実現するところとなった。平成18年7月には会計検査院から国会及び内閣に対し初めての随時報告が行われ、同年11月には、平成17年度決算の提出に先立ち、決算委員会において会計検査院からの報告聴取と質疑が行われた。

また、決算審査の充実の一環として、改革協議会がODAに関する特別委員会の設置について扇議長に報告したことを受け、平成18年1月、政府開発援助等に関する特別委員会が設置された。同特別委員会は、ODA派遣団の参加議員やODA受け入れ国の政府要人から意見を聴くなどの調査を続けており、平成19 年6月には、ODA予算の適正な事業量の確保や国際協力の人材育成などの提言を盛り込んだ調査報告書を扇議長に提出した。

国会議員互助年金法の廃止と参議院事務局等の改革

国会議員の互助年金制度については、衆参両院議長の下に設置された「国会議員の互助年金等に関する調査会」から平成17年1月に答申が提出されたことを受けて、改革協議会で専門委員会を設け協議を行った結果、現行制度の廃止では各会派の意見が一致したが、廃止後の具体的な措置については結論を得るに至らず、同年12月、その旨を扇議長に報告した。平成18年2月、自民党及び公明党提出の議員立法が成立し、同年4月1日、国会議員互助年金法は廃止された。

参議院事務局等の改革については、平成18年6月、改革協議会が扇議長に対し早急に対応を講ずる措置に関する報告を行い、議員宿舎送迎バスの見直し、事務局定員の純減などを進めることとなった。

参議院議員選挙の定数較差問題と選挙制度の見直し

参議院議員選挙の定数較差問題については、平成16年1月の最高裁判決を契機として各会派間の協議が行われ、同年6月、各会派代表者懇談会において、7月の選挙後、3年後の第21回通常選挙に向けて結論を得るよう協議を再開するとの申合せが行われた。平成16年の通常選挙後、改革協議会は、扇議長の意向を受け、定数較差問題について専門委員会を設け協議を行った。専門委員会は、当面の是正策として、いわゆる4増4減案が有力な意見であるとする報告書を取りまとめたが、改革協議会は、平成17年2月、専門委員会が提出した報告書の取扱いについては合意に至らなかったことを議長に報告した。同年6月、自民党及び公明党提出の4増4減案を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、選挙区間の定数の最大較差は5倍以内に縮小した。

江田議長の下での動き(平成19年~平成22年)

平成19年8月に就任した江田五月議長の下で、改革協議会は、参議院選挙制度の改革などについて協議を行った。

参議院選挙制度改革の検討

平成19年12月、江田議長は、改革協議会において、「まずは参議院の選挙制度の抜本的見直しについて、次回の通常選挙を視野に入れた検討をお願いしたい」と述べた。これを受けて、改革協議会では、平成20年6月に専門委員会を設置し、参議院選挙制度の改革について協議を行った。専門委員会では、学識経験者から意見を聴いたほか、委員間で検討を重ねたが、改革案を合意するには至らず、平成22年の通常選挙に係る定数較差是正は見送り、平成25年の通常選挙に向け選挙制度の見直しを行うとする報告書を取りまとめた。平成22年5月、改革協議会は、専門委員会から提出された報告書を了承し、同協議会の報告書として議長に提出した。

その他の取組

改革協議会では、平成16年度から実施しているODA調査の海外派遣について、「議院運営委員会は、議員の海外派遣の年度計画を決定するに当たり、ODA特別委員会の意見を十分に尊重するものとする」との確認を行った。

なお、第21回参議院議員通常選挙後、平成19年9月に召集された第168回国会において、国際・地球温暖化問題に関する調査会、国民生活・経済に関する調査会、少子高齢化・共生社会に関する調査会が新たに設置された。

西岡議長の下での動き(平成22年~平成23年)

平成22年7月に就任した西岡武夫議長は、選挙制度の改革に関する検討会を設置し、参議院選挙制度の改革について協議を行った。

参議院選挙制度改革の検討

議長は平成22年8月に副議長及び議院運営委員長と会談し、また同年10月には各会派代表者懇談会を開いて、参議院議員選挙の「一票の較差」の是正を協議する「選挙制度の改革に関する検討会」を設置することで合意した。この合意に基づき、同年12月正副議長及び与野党各会派の代表者による初回の検討会が開かれ、議長より参議院選挙制度の見直しについて(たたき台)の提案があった。その後、議長よりたたき台の改訂案が、また各会派より選挙制度の改革案がそれぞれ提示され、意見交換を行った。平成23年6月の検討会において「次の参議院議員通常選挙は、新たな選挙制度の下で行う」、「一票の較差是正に主眼を置く」等が確認された。各会派の協議が続く中、同年11月議長は逝去された。

その他の取組

第22回参議院議員通常選挙後、平成22年10月に召集された第176回国会において、国際・地球環境・食糧問題に関する調査会、国民生活・経済・社会保障に関する調査会、共生社会・地域活性化に関する調査会が新たに設置された。

平田議長の下での動き(平成23年~平成25年)

平成23年11月に就任した平田健二議長は、選挙制度の改革に関する検討会の下に選挙制度協議会を設置し、参議院選挙制度の改革について協議を行った。

また、平成24年7月、12年ぶりの子ども国会となる「子ども国会~復興から未来へ~」を開催した。

参議院選挙制度改革の検討と一票の較差の是正

平田議長は、平成23年12月に開かれた選挙制度の改革に関する検討会において、同検討会の下に「選挙制度協議会」を設置し、選挙制度改革の協議を進めることを提案し、合意を得た。各会派で構成する協議会は、同月、初回の協議を行った。協議会での議論を踏まえ、平成25年の通常選挙に係る当面の定数較差是正策として「4増4減」の公職選挙法改正を行うとともに、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討が行われる旨の規定を盛り込むとの座長私案が示されたが、各会派の合意は得られず、座長から協議の経過を検討会に報告することが了承された。平成24年7月の検討会において、座長私案の法案化はこれに賛成する会派で行うこととなり、同年8月、民主及び自民が公職選挙法改正案を提出した。同年11月、同案が成立し、選挙区間の定数の最大較差は4.75倍に縮小した(平成22年国勢調査確定値)。なお、同案は、附則で、平成28年の通常選挙に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて結論を得る旨規定しており、平成25年6月の検討会でも、引き続き精力的に協議を行うことが合意された。

12年ぶりの子ども国会

参議院は、平成24年7月、12年ぶりに子ども国会を開催した。今回の「子ども国会~復興から未来へ~」は、「参議院50周年子ども国会」、「2000年子ども国会」に続き3回目となるもので、全国47都道府県から選出された150名の子ども国会議員が、東日本大震災からの復興と未来について議論し、6項目からなる「子ども国会宣言」を採択した。議長は、平成24年8月の議院運営委員会理事会の申合せに基づき、同年9月の参議院本会議で、この「子ども国会宣言」を配付し会議録に掲載するとともに、今後も子どもたちにこのような機会を提供していきたい旨述べた。なお、議院運営委員会理事会は、次回の子ども国会は平成29年の参議院70周年に合わせて開催を検討することを申し合わせている。

山崎議長の下での動き(平成25年~平成28年)

平成25年8月に就任した山崎正昭議長は、選挙制度の改革に関する検討会を設置したほか、同検討会の下に選挙制度協議会を設置し、参議院選挙制度の改革について協議を行った。

参議院選挙制度改革の検討と一票の較差の是正

平成25年9月、議長は、各会派代表者懇談会を開き、各会派の合意を得て、「選挙制度の改革に関する検討会」を設置した。同検討会で議長は、同検討会の下に実務的な協議機関として「選挙制度協議会」を設置し、平成28年の参議院議員通常選挙までに結論が得られるよう、選挙制度改革の協議を進めることを提案し、合意を得た。各会派で構成する協議会では、同月に初回の協議が行われた。協議会での議論を踏まえ、平成26年4月に座長から「参議院選挙制度の見直しについて(選挙制度協議会座長案)」が提示され、これを議論のたたき台として意見交換が行われたほか、各会派の改革案や座長案に対する検討結果について議論が交わされ、同年9月には、座長から取りまとめの案として「調整案」が提示された。その後も意見集約及び報告書取りまとめについて協議が行われたが、依然として会派間の意見に隔たりがあることから、報告書には協議会の検討状況に加え、各会派から示された改革案を併記することとなり、同年12月、座長から議長に対し、「選挙制度協議会報告書」が提出された。その後、平成27年2月に選挙制度の改革に関する検討会が開かれ、座長が選挙制度協議会報告書について報告を行い、これを踏まえ、検討会において協議が行われたが、会派間の意見の隔たりが大きく、成案が得られなかったことから、同年5月をもって検討会に一区切りをつけることとなり、その後は各会派において法制化作業を進めることとなった。同年7月、自民、維新、元気、次代及び改革から、いわゆる4県2合区を含む10増10減を主な内容とする公職選挙法改正案が、民主、公明、無ク及び生活から、いわゆる20県10合区を主な内容とする公職選挙法改正案がそれぞれ提出され、参議院及び衆議院での審議を経て、同月、自民外4会派共同提出の公職選挙法改正案が成立し、選挙区間の定数の最大較差は2.97倍に縮小した(平成22年国勢調査確定値)。

その他の取組

第23回参議院議員通常選挙後、平成25年8月に召集された第184回国会において、国の統治機構に関する調査会、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会が新たに設置され、平成27年1月に召集された第189回国会において、国際経済・外交に関する調査会が新たに設置された。

伊達議長の下での動き(平成28年~令和元年)

平成28年8月に就任した伊達忠一議長の下で、平成29年2月、再び改革協議会が設置され、行政監視機能の強化、参議院選挙制度の改革などについて協議を行った。

行政監視機能の強化

平成29年2月、改革協議会が設置され、検討すべき項目について協議した後、「行政監察機能の強化、行政監視委員会の機能強化」を協議項目として取り上げ、約一年間にわたる協議の結果、結論を得、平成30年6月、報告書を伊達議長に提出した。これを受けて伊達議長は、各会派代表者懇談会の了承を得た後、議院運営、行政監視の両委員長に対し協力を要請した。

報告書では、従来からの取組である決算審査の充実に並ぶものとして、行政の適正な執行を監視、監督することを参議院の活動の柱の一つと位置付け、新たな行政監視の年間サイクルの構築と行政監視委員会の機能強化について、本会議での政府報告の聴取、質疑、行政監視委員会の通年的な活動、適正な行政の執行を実現するための改善勧告、スタッフの充実・強化等といった具体的な方策が取りまとめられた。また、平成30年7月には、報告書に基づき、行政監視委員会の委員の増員及び所管事項の改正、議院への報告に関する規定の新設を内容とする参議院規則の改正が行われた。

参議院選挙制度の改正

平成29年4月、改革協議会は、同協議会の下に、選挙制度に関する専門委員会を設置し、参議院選挙制度の改革について集中的に調査・検討を進めることで合意を得た。専門委員会は、同年5月に初回の専門委員会を開催して以降17回にわたり協議を行い、平成30年5月、それまでの議論を整理した報告書を取りまとめた。同月、改革協議会は、専門委員会報告書について専門委員長からの報告を聴取した後、同年6月、参議院選挙制度の改革について協議を行い、現段階での協議の状況について伊達議長に報告することとなった。同月、改革協議会からの報告を受け、伊達議長は、個別に各会派の意見聴取を行った後、2回にわたり各会派代表者懇談会を開催し協議を行ったが、各会派の意見の隔たりが大きいため、伊達議長は、具体案のある会派は法律案を提出し、国会審議の場で議論するよう要請した。同月、自民及び無クから、選挙区定数2増、比例代表への一部拘束名簿式(特定枠)導入及び定数4増を主な内容とする公職選挙法改正案が提出された。

その後も、伊達議長は、個別に各会派の意見聴取を続け、平成30年7月、再度各会派代表者懇談会を開催したが、各会派の意見は一致せず、伊達議長は、改めて具体案のある会派は法律案を提出するよう要請した。同月、公明から、比例代表選挙及び選挙区選挙に代えて11ブロック選挙区(個人選挙)とする旨の、民主から、選挙区定数2増、比例代表定数2減とする旨の、維新から、議員定数一割削減、比例代表選挙及び選挙区選挙に代えて11ブロック選挙区(個人選挙)とする旨の、立憲及び希党から、いわゆる二県一合区を含む2増2減とする旨の公職選挙法改正案がそれぞれ提出された。参議院及び衆議院での審議を経て、同月、自民及び無ク提出の公職選挙法改正案が成立し、選挙区間の定数の最大較差は2.985倍となった(平成27年国勢調査日本国民人口確定値)。

なお、令和元年6月、参議院議員の定数の改正に伴い、内閣委員会、法務委員会及び農林水産委員会の委員の数を20人から21人に改める参議院規則の改正が行われた。

その他の取組

第24回参議院議員通常選挙後、平成28年9月に召集された第192回国会において、国際経済・外交に関する調査会、国民生活・経済に関する調査会、資源エネルギーに関する調査会が新たに設置された。

また、令和元年6月、議院運営委員会理事会においてペーパーレス化について協議が行われたことを受けて、会議録、委員会等の会議録、審査報告書等、質問主意書及びこれに対する内閣の答弁書、請願文書表について、経費の節減等に資するため、電磁的な記録の提供その他の適当な方法により、これらを各議員に提供することができることとする参議院規則等の改正が行われた。

なお、平成29年7月、参議院創設70周年を記念し、「私たちがつくる未来」をテーマに子ども国会を開催した。47都道府県から選出された150名の子ども国会議員が6つのテーマに対応する子ども委員会に分かれて活発な議論を行い、これを基に子ども本会議において「子ども国会宣言」を採択した。

山東議長の下での動き(令和元年~令和4年)

令和元年8月に就任した山東昭子議長の下で、令和3年5月、改革協議会が設置され、参議院の在り方、参議院選挙制度、議員の身分保障、委員会・調査会等の整理再編・充実、行政監視機能の更なる充実、デジタル化、オンライン審議について協議を行った。また、通常選挙において障がいを有する議員が当選されたことを契機に、更なるバリアフリー化が進んだ。

参議院改革協議会における議論

改革協議会では、諸問題に先立って、その土台となる参議院の在り方について、各会派間の共通認識を醸成することが肝要であるとの立場に立って、学識経験者から意見を聴いたほか、協議員間の意見交換を積み重ねた。その上で、参議院選挙制度、委員会・調査会等の整理再編・充実、行政監視機能の更なる充実のほか、コロナ禍やIT化といった現下の状況への対応としてデジタル化、オンライン審議が検討項目として挙げられ、議論を行った。

令和4年6月、それまでの議論を整理した報告書を取りまとめ、座長から山東議長に提出した。報告書では、本院の果たすべき役割として「多様な民意の反映」、「地域代表的な性格」、「参議院の独自性の発揮」が求められることについて、各会派から非常に有意義な意見が得られたとし、これらの議論を次の協議会に引き継ぐことを求めた。

参議院のバリアフリー化の推進

第25回参議院議員通常選挙において、障がいを有する議員が当選されたことを契機として、議院運営委員会理事会は、バリアフリー化推進プロジェクトチームを設置し、国会議員、参観者、外国賓客など参議院を訪れる全ての人にとって使いやすい開かれた参議院を目指し、以下に掲げるバリアフリー化整備を実施した。

まず、障がいを有する議員の議場における動線を確保するため、大型車いす専用議席の整備や移動の安全性を高めるための議席の周辺整備を行ったほか、車いすのまま登壇できるよう、ひな壇前の通路の両側にスロープを設置した。

また、議員の登院や外国賓客の送迎の場である正玄関や中央玄関への昇降機新設、参観者・傍聴者など参議院を訪れる全ての人にとって利用しやすい施設となるようエレベーター、バリアフリートイレ、委員会室傍聴席の大型車いす用スペースの整備などが進められた。

更に、令和3年1月に召集された第204回国会から、参議院における施政方針演説、所信表明演説及びそれらに対する各会派の質疑について、参議院審議テレビ中継及びインターネット審議中継において手話通訳を付した映像が視聴できるようになった。

ICT(情報通信技術)活用の検討

議院運営委員会理事会は、ICT活用のための検討プロジェクトチームを設置し、ICT活用について検討を行い、委員会室におけるノートパソコンやタブレット端末使用の試行が行われることとなった。

その他の取組

第25回参議院議員通常選挙後、令和元年10月に召集された第200回国会において、国際経済・外交に関する調査会、国民生活・経済に関する調査会、資源エネルギーに関する調査会が新たに設置された。

また、令和4年6月、参議院議員の定数の改正に伴い、内閣委員会の委員の数を21人から22人に改め、文教科学委員会及び環境委員会の委員の数を20人から21人に改める参議院規則の改正が行われた。