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参議院のあらまし

「調査特別委員会の拡充強化及び常任委員会、特別委員会の再編を図る問題並びに委員会定例日に関する問題について」外七項目の答申

参議院改革協議会報告書

 本協議会は、昨十九日小委員会から提出された「調査特別委員会の拡充強化及び常任委員会、特別委員会の再編を図る問題並びに委員会定例日に関する問題について」、「調査室機構の見直し等について」、「総括的質疑の充実等決算審査の改善について」及び「委員会審査を実質的に省略する問題について」の四項目に関する報告書(別紙一)に基づき協議した結果、右報告を了承するとともに、これを本協議会の答申とすることとした。

 また、本協議会は、「参議院の事務処理の機械化について」、「職員の外部との人事交流のあり方について」、「事務局及び法制局機構の見直しについて」及び「委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題について」の四項目について協議した結果、別紙二の結論を得、これを本協議会の答申とすることとした。

 よってここに報告する。

 昭和六十年十一月二十日

参議院改革協議会座長 斎藤十朗

参議院議長 木村睦男 殿


別紙一

参議院改革協議会小委員会報告書

 本小委員会は、去る二月二十七日設置されて以来、本協議会から検討をゆだねられた七項目について鋭意検討を進め、去る六月十二日には「請願審査の充実について」外二項目について報告書を提出したところであるが、今般、残る「調査特別委員会の拡充強化及び常任委員会、特別委員会の再編を図る問題並びに委員会定例日に関する問題について」、「調査室機構の見直し等について」、「総括的質疑の充実等決算審査の改善について」及び「委員会審査を実質的に省略する問題について」の四項目について結論を得たので報告する。

 昭和六十年十一月十九日

小委員長 井上吉夫

参議院改革協議会座長 斎藤十朗 殿


調査特別委員会の拡充強化及び常任委員会、特別委員会の再編を図る問題並びに委員会定例日に関する問題について

 現在の調査特別委員会(国民生活・経済に関する調査特別委員会及び外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)は、去る昭和五十八年四月二十八日の参議院改革協議会の答申に基づき、現行の特別委員会制度の枠内で、総合的かつ長期的な調査を行うために、同年七月に設置された。

 右の答申に当たっては、参議院改革協議会小委員会において、委員会制度の改革について検討が行われ、参議院にふさわしい審議の実現のため、六年という参議院議員の任期に着目し、長期かつ総合的な観点からの調査を行うことのできる機構が必要であることが合意され、さらに、現在の委員会のほかに新たに国会法上の参議院独自の機関として調査会を設置することが検討された。

 しかしながら、このいわゆる調査会構想は、時期尚早であるとの意見もあって見送りとなり、右の合意を踏まえ、調査特別委員会を設置することとなったものである。

 本小委員会は、右の調査特別委員会設置の経緯及びその二年間の活動実績を踏まえ、国民生活・経済に関する調査特別委員長及び外交・総合安全保障に関する調査特別委員長から意見を聴くなど、鋭意検討した結果、調査特別委員会は、参議院にふさわしい審議機関としての役割を果たしているが、なお一層の拡充強化を図るべきであり、そのためには、調査特別委員会の原点であるいわゆる調査会構想に基づき、新たに参議院の機関として、調査会を設置することが必要であるとの意見が大勢を占めた。この場合、常任委員会、特別委員会及び調査会の総数は、現在の常任委員会及び特別委員会の総数二十四の範囲内とし、調査会の数は当面三程度とすることが適当であるとの意見が大勢を占めた。

 なお、常任委員会、特別委員会の再編を図る問題及び委員会定例日に関する問題については、検討の結果、常任委員会は当面現行のままとすることとし、委員会 定例日については、委員会の審議時間確保の見地から、両院本会議の定例日及び衆議院の対応委員会の定例日等を考慮し、各委員会において適切に対処するもの とするとの意見で一致した。

 以下、調査会の新設について詳述する。

(一) 参議院に国政の基本的事項に関し、長期的、総合的な調査を行う調査会を置くことができることとし、その根拠を国会法に定める。

(二) 調査会は、調査に関し委員会と同等の権能を有する議院の機関とし、その組織及び権限等(調査会委員の選任、調査会長の選任、会期中の活動及び閉会中の調査、議事及び議決定足数、法律案提出権、公聴会の開催、内閣等に対する記録の提出要求、国務大臣等の出席要求、専門員等)については、国会法の委員会に関する規定を準用するものとする。

(三) 国会法に定めるもののほか、調査会については、次のとおり参議院規則に規定するものとする。
   1 調査会の設置に当たっては、種類並びに各調査会の委員の数及び調査事項は、議院の議決をもって定めるものとする。
   2 調査会は、参議院議員の通常選挙後最初に召集される国会において設置し、三年間(議員の半数の任期満了の日まで)存続するものとする。
   3 調査会は、調査の結果に基づき、議長を通じて該当する委員会に議員立法の勧告をすることができるものとする。
   4 調査会は、調査の結果を記載した報告書を議長に提出するものとする。
    また、以上のほか、調査会の組織、権限、運営等(調査会の理事、小委員会、連合審査会、調査会長の調査会開会日時決定権、委員の発言、委員外議員の発言、会議録、公聴会、参考人の出席、委員派遣等)については、委員会に関する規定を準用するとともに、関係規定の整理を行う。

四) 調査会の運営基準は次のとおりとする。
   1 調査会は、国政の基本的事項について、その対策樹立に資するため、専ら長期的、総合的調査を行うものとする。
   2 具体的な調査項目の選定は、当該理事会の協議による。
   3 調査に当たっては、公聴会の開催、参考人からの意見聴取、委員派遣による現地調査及び委員相互間の自由討議を積極的に行い、小委員会制度を活用する。
     なお、政府側の出席は、必要に応じて求めるものとする。
   4 調査会は、継続調査の議決を経た上で閉会中も活動するものとする。
   5 調査会は、毎年、調査に関する中間報告書を議長に提出し、公表するものとする。
   6 調査会長の在任期間については、調査会の性格を十分配慮するものとする。また、常任委員長、特別委員長と同格とする。
   7 調査会の種類は、通常選挙ごとに見直すものとする。

調査室機構の見直し等について

 現在、委員会の調査事務は、常任委員会調査室十四のほか、特別調査室三及び連絡調整室の十八室によって行われており、各調査室は特定の常任委員会又は特別委員会の調査事務を担当している。このことは委員会中心主義の下における委員会活動を直接補佐する上において大きな意義を有するものである。しかしながら、他方、調査スタッフが細分化され、かつ固定化されているため、全体的、横断的な問題等に対する組織的な対応において、また、業務の繁閑に対する機動的な対応において必ずしも十分でないものがある。また、最近における調査業務の複雑高度化に伴い、調査情報処理の機械化と独自の情報分析能力の向上が期待されるに至っているが、これらに対しても十分にこたえ得るとは言い難いものがある。

 本小委員会は、以上の認識の下に、調査スタッフの固定化を是正する等国政の高度複雑化に対応した調査体制の整備を図ることが必要であると認め、当面、その 具体的方法として調査室全体の業務の総合調整機能を有する組織を設け、もって調査業務の充実と情報分析能力の向上を図るべきであるとの意見で一致した。す なわち、

一 調査室全般にわたる企画、総合調整、機械情報管理及び庶務的事務を行うため企画調整室を置く。
 企画調整室長は専門員の中から選任する。
 なお、企画調整室においては、総合調整機能が十分発揮できるよう企画調整室と各調査室との連絡、協力体制の整備を図るとともに、本院独自の情報分析が可能な体制の検討、整備を進めるものとする。

二 常任委員会調査室及び特別調査室の制度は現状のままとするが、今後、委員会、調査会の新設、改廃があった場合には、調査業務に支障が生ずることのないよう速やかにこれら組織の変更に対応し、調査室の編成又は業務分担の見直し及び調査員配置の適正化を行うものとする。

(注)組織は別紙のとおりである。(略)
 また、右の改革と併せて、外部との人事交流、調査の外部委託などを積極的に推進し、調査機能の向上に努めるものとする。

総括的質疑の充実等決算審査の改善について

 決算審査は、国会の財政監督権の中心を成すものであり、予算執行の実績である決算の審査は、予算審査とともに、国会の財政に関する権限のいわば車の両輪とも言うべきものである。

 以上のような観点から、本院においては、かねてより、予算審査と同様に決算審査の充実に努めてきたところであり、参議院改革協議会も去る昭和五十七年二月二十四日の報告書において、審査日程の確保、総括質疑及び警告決議に関する三項目の改善事項を答申した。

 本小委員会は、その後の決算審査の実情及び決算審査の時期、方法等の改善策について検討を行ったところ、総括的質疑の充実等決算審査の基本的見直しについては、二院制下の参議院の性格から考えて、むしろ予算審査よりも決算審査に重点を置くべきであり、予算審査の改革と併せて行うべきであるとの意見があった。しかしながら一方、直ちに予算審査の縮減につながることは慎重に対処すべきであるとの意見があった。本小委員会は、本問題が極めて重要であり、今後引き続き時間をかけ慎重に検討すべきものであるとの意見で一致した。

委員会審査を実質的に省略する問題について

 国会法及び参議院規則により、すべての議案は委員会の審査を経て議院の会議に付されることとなっており、議案の委員会審査省略は、特に緊急を要するものについて、発議者又は提出者の要求に基づき、議院の議決により行われる場合に限られている。

 このように委員会は、議院活動の中心的役割を担っているが、参議院にふさわしい特色ある審議を実現するためには、委員会が、重要議案については重点的、集中的な審査を行う一方、問題のない議案については審査を簡略にするなど、案件の内容に応じた適切な審査を行うことが必要である。

 本小委員会は、以上の認識の下に検討を行ったところ、各委員会は、付託議案の内容に特に問題がなく、各会派に異論のない場合には、理事会の協議に基づき、当該議案の質疑及び討論を省略し又は簡略にすることにより、委員会審査を実質的に省略することを考慮すべきであるとの意見が大勢を占めた。


別紙二

参議院の事務処理の機械化について
職員の外部との人事交流のあり方について
事務局及び法制局機構の見直しについて
委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題について

 本協議会は、去る二月二十七日の決定により、標記四項目の検討を事務局にゆだねていたところ、去る六月十八日、事務総長から報告書(別添一)が提出された。本協議会は、右報告書に基づき、四項目について鋭意検討した結果、同報告書に述べられている改善、見直し等の方針及び方策はおおむね妥当であり、速やかに実施に移すべきであるが、その実施に当たっては、次の諸点に留意すべきであるとの意見で一致した。

一 参議院の事務処理の機械化について
1 最近における高度情報化に対応し、議院がその役割を十全に果たすためには、積極的に議院の事務処理の機械化に取り組み、可及的速やかに各国議会に見られるような総合的な議院情報システムの整備を図る必要がある。よって、基本計画の策定等について審議を行うため、議員で構成する機関を設置するとともに、事務局に業務機械化準備室(仮称)を設けるなど、事務局機構・組織の整備を行うこと。
2 事務局報告書に述べられている業務改善計画により、(A)(B)(C)の三段階を踏んで推進することとし、その過程において、本協議会が去る二月五日提出した中間報告書のうち、大勢の意見を占めたところの電子式投票装置の採用についても、議院の事務処理の機械化の一環として、前項の議員で構成する機関において慎重に検討して進めること。
二 職員の外部との人事交流のあり方について
1 外部との人事交流を更に促進し、その円滑な実施を図るため、職員の採用試験等の改善を図ること。
2 人事交流の実施に当たっては、国会各機関、地方公共団体(地方議会を含む。)及び研究機関等との交流に重点を置くとともに、研究員制度の導入及び客員調査員制度の拡充を図ること。
3 外国議会との交流については、米国議会に限定することなく、他の諸外国の議会との相互交流にも努めること。
三 事務局及び法制局機構の見直しについて
1 調査機能の強化との関連で別途検討されるもののほか、事務局及び法制局の機構については、今後、事務量の再検討を含め、機構全体の抜本的見直しを行い、簡素合理化に努めること。
2 総合窓口の設置に当たっては、他の事務局機構との連係を円滑にし、その効果が上がるよう適切な配慮をすること。
四 委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題について
 本問題については、事務局報告書に述べられているところに従い、その具体化を図るための措置を講ずること。

(別添一)

報告書

 去る二月二十七日の参議院改革協議会の決定により事務局に検討をゆだねられた「参議院の事務処理の機械化について」、「職員の外部との人事交流のあり方について」、「事務局及び法制局機構の見直し」及び「委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題」の四項目について、一応の結論を得たので報告する。
 なお、「参議院の事務処理の機械化について」及び「事務局及び法制局機構の見直し」の二項目については、参議院改革協議会小委員会の検討事項との関係もあり、更に調整を要するので引き続き検討することとしている。

 昭和六十年六月十八日

事務総長 指宿清秀

 参議院改革協議会座長 斎藤十朗 殿


はじめに

 事務局は、四項目の検討に当たり、去る三月十五日、基本的な問題の協議調整のため、事務局、調査室及び法制局の各関係者をもって構成する改革問題検討会議を設置し、さらに、同会議の下に、それぞれの検討項目に対応して、業務機械化部会、人事交流部会、機構検討部会及び会議録検討部会の四専門部会を設け検討することとした。

 また、「参議院の事務処理の機械化について」、「職員の外部との人事交流のあり方について」及び「事務局及び法制局機構の見直し」の三項目については、改 革の目的である参議院の独自性発揮と審議充実に資するとともに、社会・経済の進展に伴う国会の役割の複雑・高度化に対応するため、議院活動を補佐する事務 組織及びその機能の効率化並びに改善強化を図るとの観点から検討を進めることとし、「委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題」については、国政の 実質的審議の場である委員会についても、国民の知る機会を増大させることが望ましいとの認識の下に検討を行った。

 以下、四項目について、その検討の経過と結果を述べる。

一、参議院の事務処理の機械化について

(一) 事務局としての基本的な対応方針について
 改革協議会から検討を求められている「参議院の事務処理の機械化」の問題は、事務局が当面する最も重要な課題の一つであり、次のような観点から検討を進めた。
1 議院補佐機関として、その機能を十分に果たすため必要な効率的事務処理システムの整備充実と、その前提となる実効性のある具体的事務改善対策の推進
2 高度情報化・国際化の進展に対応する議員の広範で多様な国政活動に対し、質の高い充実した情報サービスを迅速、正確に提供するため必要な情報処理システムの開発と整備充実
3 国会の機能発揮並びに議員の国政活動に関する重要な情報を蓄積し、これらの蓄積情報の分析提供を行う総合的な議院独自の情報システムの開発研究体制の整備
(二) 事務局が実施した調査について
 事務局は、右課題の検討に必要な情報資料を広範にわたって収集するため、まず次のような基本調査を実施した。
1 主要国議会(フランス上院及び下院、イタリア上院及び下院、西独連邦議会、英国下院並びに米国上院及び下院(以下「各国議会」という。))における議院独自の情報システム及び情報サービスシステムの概況調査(略)
2 わが国各省庁等、地方自治体における情報処理システムの調査
3 高度情報化・国際化の進展に対応するため必要な本院施設設備の基盤整備に関する調査
4 事務局・法制局全部課室を対象とする「事務整理、OA機器、システム適合性、ネットワーク適合性」に関する基礎調査
 これらの調査は五月末までに完了したので、事務局としては収集した調査資料を資料篇として取りまとめ、改革協議会における関連問題の検討に資することとしたい。
 なお、この調査によって明らかとなった事項のうち、改革協議会の要請に沿うよう特に重要と思われるものは次のとおりである。
ア 欧米各国議会においては、議院の機能を発揮するため必要な情報システムが整備されており、かつその規模が大きいこと
イ 二院制度をとる議会においては、両院がそれぞれ独自の情報システムを整備していること
ウ 特に、議院内閣制度をとる議会にあっては、議会と政府の情報システムの連携に努めていること
エ 高度情報化・国際化の進展に対処するため、各国議会は、国内・国際間の緊急課題に対し議院として即時対応し得るシステムの開発整備と拡張に努めていること
オ わが国各省庁・地方自治体においても事務処理・情報処理のシステム化及びネットワーク化を急速に進めつつあること
(三) 事務局としての改善対策について
 右のように、欧米各国議会は、それぞれ規模の大きい議院情報システムを整備しているが、事務局としては、高度情報化・国際化の進展に対応するため各国議会が更にシステムの拡張を図ろうとしている点に特に注目し、この状況に対処するための方策、すなわち各国議会の情報システムの水準に達する独自の情報処理システムの整備について本格的な調査研究を進める必要があると考えている。
 このため、まず、事務局として当面直ちに実施できる改善対策の計画化に着手し、その実施を促進するとともに、なるべく早期にこれらのシステム強化及びネットワーク化を進めることによって議院情報システムの構成基盤となる諸条件を順次整備するよう努めることとしたい。
 また、以上のような改善対策は、事務局全体としての統一性を確保しつつ計画的に実施する必要があるので、その対応策として次のような措置を講ずることとしたい。
1 業務改善対策推進計画の策定
 この計画において業務改善対策の推進に関する基本的な事項を定めるとともに対策推進上必要な次のような運用基準又はガイドラインを設定するものとする。
  ア 事務整理、用語様式の基準化、文書管理システム化等事務管理面の基盤整備に必要なガイドライン
  イ 要員確保、育成、研修制度等の要員対策面の運用基準
  ウ 施設設備及び技術基盤整備面の運用基準
  エ 情報管理、システム管理及びセキュリティ対策面の運用基準
2 業務改善対策実行計画の策定と実施
この実行計画において、個々の対策実施に必要な要員、組織、機器備品等、施設設備、経費並びに対策実施面の効果を確保するため必要な調整措置等を定めるものとする。
事務局としては、現段階でパーソナルコンピュータ又は小型コンピュータシステムを導入し早期に実行計画の策定に着手し得る事項を(A)、システム化及びネットワーク化に必要な小規模もしくは中規模のホストコンピュータを導入し比較的早期に実施又は計画化に着手し得る事項を(B)、各国議会の情報システム規模に相当する大規模コンピュータシステムの将来における導入を前提とする中長期的観点からの調査研究を必要とする事項を(C)としてそれぞれ分類し、各分類毎の対象業務又はシステム内容について検討を進めることとしている。

 現在検討の対象としている適合業務又はシステム内容は次のとおりである。
(A) 議員歳費等事務処理システム、院の構成情報(議員ファイルを含む)
       調査室情報処理システム(ワークステーション)
       法制局法律関係情報システム(外部データベースとのオンラインと内部資料のシステム化)
       事務案内システム(請願・傍聴参観手続等)、緊急対策マニュアル(議員等救急医療対策・地震防災応急対策等)
       名簿管理システム(職員名簿・官公庁職員名簿更新ファイル)、職員給与事務システム

(B) 院内情報サービスルーム計画
       議案審議経過ファイルシステム、請願事務処理システム
       調査室情報処理システム(ネットワークレベル)
       法制局法律関係情報システム(オンラインと内部システムとの総合コンピュータシステム)
       院内放送・会議室音声管理システム、院内映像サービスシステム
       情報化対応公文書庫の設置

(C) 国会会議録システム(会議録検索システム〈関係機関共同研究〉、会議録案内情報システム〈同前〉、会議録作成支援システム)
       法律関係情報システム(国内法令全文入力、外国法令情報の導入等による総合法令検索情報システム)
       議院総合情報処理システム(議院情報システム、政策情報システム)
       国民サービス総合システム(報道機関サービス、傍聴参観サービス、サービスロビー案内、テレホンサービス、国会行事〈議会百年等〉広報プラン、将来における双方向性広聴サービス)
       庁舎・施設管理・防災警備システム等総合管理システム

 なお、右の(A)に掲げられた事項について実行計画を策定するに際しては、院において高機能型コンピュータが導入される場合、直ちにこれに対応し得るサブシステムとして設計することとする。
 また、各部課室一般事務のうち、本来機械化になじまないと思われる業務及び会議録作成事務等特殊な技術を要するため、そのシステム化について事務局が独自の開発研究を必要とする業務についても、改革協議会の要請する事務処理の効率化のため所要の検討を進めることとする。

(四) 業務改善対策を推進するための機構・組織について
 事務局としては、業務改善対策計画の策定実施並びにこれら改善対策の統一的、効率的運用を図るため必要な開発研究及び総合調整業務を担当する機構・組織を整備し、この実施体制の下で、事務局が一体となって院の要請する事務処理の機械化を進めるよう努めることとしたい。

二、職員の外部との人事交流のあり方について

(一) 本院における人事交流の沿革及び現状
 参議院がその本来の機能を十分に果たしていくためには、これを補佐する事務当局もその能力において高い水準にある必要がある。このため、立法府にふさわしい優秀な職員を養成することが肝要であるとの立場から、各般の施策を講じてきたところであり、近時、徐々にその成果はあがりつつあるとはいえ、未だ必ずしもその施策は十分といえないうらみがある。特に人事交流は職員の資質向上のため積極的に実施すべき施策であるにかかわらず、現在いささか低調であることは否めない事実である。
 本院における人事交流の沿革及び現状の概略は、次のとおりである。
 参議院創設の昭和二十年代から昭和三十年代にかけて、多数の行政庁出身者が事務局幹部を占め、また、各調査室には本院独自に採用した調査員に加えて行政庁から相当数の調査員が派遣されて上位等級を占めていた。
 また、常任委員会専門員もすべて行政庁・大学等外部出身者であった。
 その後、本院独自に採用した職員が増加するに従い、行政庁から派遣されていた職員は次第に減り、また、一時、参議院事務局と行政庁等との間で相互に実施した交流も数年の後中断したままとなった。
 昭和五十年代に入り、経済問題あるいはエネルギー問題等についての議員の要請に対応するためには、他との交流が必要であると考え、わずかではあるが行政庁との間に交流を実施し、現在に至っている。
 参議院法制局においては、事務局と異なり、常時行政庁から定期的に職員を受け入れている。
 以上の沿革を経て現在本院が実施している人事交流は、次のとおりである。
  1. 参議院事務局から行政庁へ派遣されているもの
    経済企画庁二名、外務省(在外公館)一名
  2. 行政庁から参議院事務局へ派遣されているもの
    経済企画庁一名、科学技術庁一名、外務省二名、通商産業省一名
  3. 参議院法制局から他へ派遣されているもの
    衆議院法制局一名
  4. 行政庁から参議院法制局へ派遣されているもの
    人事院一名、国税庁一名、文部省一名、郵政省一名、自治省二名
     なお、常任委員会専門員については、現在は十四名中三名が外部出身者である。
(二) 今後の人事交流の基本方針
 以上のように本院における人事交流は低調ではあるが、現在その拡充に努力しているところであり、今後、以下に述べることを念頭において、より積極的に人事交流を実施し一層職員の資質向上を図り、最近における議員の多方面にわたる要請に対応していく方針である。
1 立法府にふさわしい職員の養成
 三権分立の下、議会制民主主義を標榜する立法府にあって、その職責を十分に果たし得る秀れた能力を有する職員を養成するには、行政庁等で経験を積み、視野を広げることが極めて肝要である。
2 採用試験の改善及び職員研修の充実
 現在、人事交流が低調である原因の一つは、採用試験の相違に基づく行政庁の職員との待遇の差にあると考えられるのでその差を少なくし、かつ、研修を充実して円滑に人事交流が実施できるようにする。
3 人事交流の対象の拡大
行政庁に限らず、次に掲げるものとの間の人事交流を検討する。
ア 司法機関
イ 大学の研究室、研究機関、民間企業
ウ 地方公共団体(地方議会を含む)
エ 国際機関及び外国議会
4 係長級の職員相互の交流
 将来事務当局を背負って立つべき係長級の職員を中心に、相互に交流することを原則とし、将来は管理職等の交流も可能にする。
(三) 当面実施する人事交流等
 (二)の基本方針に従い、当面、次に列記する人事交流等を進めるが、実施に当たっては、その目的を明確にし、相手方にもその趣旨の理解を求め、かつ、本院職員にも十分理解させるよう配慮する。
1 行政庁との間の人事交流
 立法府職員の養成に当たっては、行政庁における経験が極めて有用なものであり、また、行政庁の職員を一時招致することは、本院職員に対する刺激となり組織の活性化になると考えられるので、現在実施しているもののほか、更に若干の行政庁との間で交流を実施したい。
 行政庁の選択に当たっては、この交流が双方にとって、それぞれ利点をもたらすものでなければならないことを考慮する。
 なお、これに加えて現在一名の在外公館勤務者を、更に一・二名程度増員し、いずれの勤務地も外国議会所在地となるよう配慮したい。
2 国会各機関の間の人事交流
 参議院事務局、参議院法制局及び国立国会図書館の間には職務に関連性もあり、三者間の連繋を密にすることは、それぞれの機能の強化にもなると考えられるので、相互に人事交流を実施したい。
 実施に当たっては、事前に十分協議する必要がある。
 なお、衆議院事務局との間の交流の可能性についても検討したい。
3 外国議会との交流-特に米国議会との交流
 我が国の議会制の研究に当たっては、諸外国の議会制との比較検討が必要であることはいうまでもない。
 特に、日本国憲法制定の経緯もあり、米国議会の全容を把握する必要があるので、新しい試みとして、職員を一年程度米国議会に継続的に派遣できるよう、予算措置を含め検討したい。
4 地方公共団体(地方議会を含む)との間の人事交流
 地方議会を含め、地方行政の経験を持つこと、またはその経験者を一時招致することは、1と同様有用なことであると考えられるので、当面、都道府県を対象に実施について検討したい。
5 研究員制度の導入
 すでに行政庁では実施されている行政官長期在外研究員制度(二年間外国の大学院等に派遣される)、行政官短期在外研究員制度(六ケ月諸外国の行政機関等に派遣される)または行政官国内研究員制度(二年間筑波大学または埼玉大学の大学院に派遣される)の導入を検討したい。
6 客員調査員制度の拡充
 特殊な部門の調査に対応するため、当該特殊部門の専門家(大学教授等)を、非常勤職員として招致する客員調査員制度の拡充を検討したい。

三、事務局及び法制局機構の見直しについて

(一) 機構の見直しの基本的方向
 本院においては、新しい時代の要請にこたえ得る参議院をめざして改革論議が真剣に行われ、そこで出された幾多の意見、提言に基づき、今日まで種々の改革が試みられ、成果を収めつつあるところである。その間にあって事務局及び法制局においてもこれに対応して機構を整備し、あるいは業務の改善を進めてきたが、今回参議院改革協議会の決定を受けて機構見直しを行うに当たり、以下の諸点を見直しの基本的方向として検討を行った。
    1 議院活動の補佐機能を充実するとともに、今後の参議院改革の推進に適切に対応できる事務局及び法制局の体制を考える。
    2 行政機構の改革が強く叫ばれているときに当たり、簡素にして効率的な事務局及び法制局機構の整備に努める。
    3 情報化社会の到来等新しい社会の要請にこたえ得る体制を整える。
(二) 当面の機構改革方針
 (一)の基本的方向に沿って検討を進めることとするが、機構改革の大きな柱である調査室機構の基本的見直しが参議院改革協議会小委員会において検討されることとなっており、事務局及び法制局の機構改革もその論議の経過を見ながら取りまとめるべきものと考えられるので、全般的な機構見直しはそれを待って本格的に取り組むこととした。なおその際には、事務局の業務機械化、情報のシステム化に対応する組織作りも念頭において検討を進めることとする。
 従って全般的見直しは今後本格的に進めることとし、当面は次の基本方針の下に、検討を行った。
    1 情報化社会への適応と情報サービスの充実
 情報処理技術及び通信技術の進展に即応し、情報処理のシステム化、OA機器の計画的導入等につき調査研究するための機構の設置について検討するとともに、議員からの各種問合せ、調査依頼に対応する情報サービスの充実のための総合的窓口の設置につき検討する。なお法制局においては、法律関係情報のデータベース構築に努めるとともに、事務局と共同して法律関係の情報サービスの総合的窓口の設置につき検討する。
    2 機構及び業務の簡素合理化
      機構及び業務の簡素合理化並びに職員の適正配置に向けて検討する。
    3 スタッフ制度の充実
 議院活動の多様化に伴い、事務局及び法制局において各部課の業務の総合調整の必要性が増大しつつあるので、ライン部門とは別個にスタッフ制度の充実強化について検討する。なお調査室においては調査員の効率的活用を図るべく、企画部門の強化等を検討する。
(三) 当面の機構改革について
 (二)の基本方針に基づき、当面は以下に述べる機構改革及び業務改善を行うこととし、適当な準備期間を設け、逐次実施したい。その他の機構改革についても引き続き検討する。
1 議員に対する情報サービスの充実のための総合窓口及び業務機械化の調査研究を行わせる等のための組織を設置する。
 (説明) 総合窓口を設置しようとする理由は、現在議員からの各種問合せ、調査依頼については事務局、法制局、調査室の各部課室において対応しているが、照会事項がどの部課室の所管に属するか分かりにくい場合、所管が幾つかの部課室にまたがる場合など適切な問合せ先がみつかりにくい場合には、この総合窓口に連絡を受け、ここが責任をもって関係部課室に連絡する等、適切な措置をとろうとするものである。なお、将来において情報のシステム化が進行した場合には、各種データの端末機等を備え、迅速な情報サービスができるよう逐次充実に努めたい。また、現在外部からの問合せに対して行っているテレフォン・サービスはこの部門に吸収することとする。
 業務機械化の調査研究については、近年コンピュータ等の情報通信機器が行政各部門においても逐次利用されつつあり、議院事務局においても情報化時代に対応し、OA機器や情報処理システムの計画的、効率的導入について、本格的に調査研究すべき時機にきているので、組織的にこの調査研究に取り組むとともに、将来における推進の中核となる部門を設けようとするものである。
 このほか調査室においても調査能力向上の見地から行政情報及び民間情報の受入れ及び分析加工の体制整備を図りたい。また、法制局においても、法制主幹の下にデータベース準備研究班を置き、法律関係情報サービスの整備を図りたい。
    2 機構の簡素合理化
      事務局機構の簡素合理化の見地から見直しを行い、一課削減を実施する。
 (説明) 現下、国、地方を通じ、各機関の機構の簡素合理化を求める声は国民的世論となっており、議院事務局においても可能な限り機構の簡素合理化を図るべきである。
 このため事務局全般の機構の合理化の検討を進め、課の一課削減を実施する。
    3 業務の合理化及び職員配置の適正化
 業務の見直し合理化を行い、これと併せて職員配置の適正化を進める。特に議員会館課職員、委員長室及び会派控室配置職員等について見直しを行い、前記1の総合窓口及び業務機械化の調査研究要員等に充てることとしたい。
 なお、その他の業務についても簡素合理化の見地から見直しを行い、職員の適正配置を積極的に進めることとする。
 (説明) 議員会館課の業務の合理化により同課の職員を減員するほか、委員長室及び各会派控室配置職員についても、その業務量に比し職員数に余裕があるとみられるので、若干の減員を考慮したい。

四、委員会会議録を公共図書館に配置する場合の問題について

(一) 委員会会議録に関する基本問題
 国会は委員会中心主義を採用しており、国政の実質的論議は委員会において行われている。委員会の審議状況は新聞、テレビ等により報道されているのではあるが、一般国民からは、委員会会議録によって更に詳しい論議の内容を知りたいという要請がなされてきており、このため、まず委員会会議録に関する基本問題について検討を行った。
  1. 委員会の制限公開制との関係
     本会議は憲法第五十七条により公開とされ、その会議録の公表、一般頒布が義務づけられている。これに対して委員会については憲法に規定することなく、国会法第五十二条において「委員会は、議員の外傍聴を許さない。但し、報道の任務にあたる者その他の者で委員長の許可を得たものについては、この限りでない。」と定め、いわゆる制限公開制をとっている。しかしながら報道関係者については、議院が交付する記者記章により別段の手続を要しないで自由に傍聴できる取扱いがなされている。また、議員の紹介による傍聴については傍聴席に余裕のある限り許可するのが例となっており、このような状況から判断すれば、委員会は事実上公開されているということができる。
  2. 委員会における発言者の著作権との関係
     委員会における発言者は本来、それぞれその発言につき著作権を有すると考えられるが、委員会が事実上公開されていることから、その発言は、著作権法第四十条第一項の「公開して行なわれた政治上の演説又は陳述」に当たると解することができ、同一発言者のものを編集して利用する場合を除き著作権侵害とはならずこれを自由に利用することができるものとなる。
  3. 委員会会議録の一般頒布について
     委員会会議録については参議院規則第五十八条において、印刷して各議員に配付することとし、一般頒布を予定したものとはなっていないが、委員会会議録を一般頒布することについて法規上特に支障があるとは考えられない。
(二) 本院がこれまでに講じてきた措置とその現状
 本院としては、議会と国民を直結するという議会制民主主義の発展の見地から、前記(一)に述べた考え方に立って、一般国民ができるだけ容易に委員会会議録を入手・閲覧し、審議の経過を知ることができるようにするためこれまでもいくつかの措置を講じてきた。
  1. 昭和四十八年四月十九日の議院運営委員会理事会の決定により、衆議院と歩調をそろえて、都道府県及び政令指定都市の議会図書室に国会図書館を通じて委員会会議録を無償送付し地方議会関係者並びに地域住民の便宜を図ることとした(本院分経費は年間約一、三〇〇万円である。)。
     なお、昭和五十九年度の四四都道府県、二政令指定都市の議会図書室における委員会会議録の利用件数は次のとおりであり、一議会当たり月平均三・九三件となっている。
区分 件数 一議会当たりの月平均件数 利用者別構成比
議員 509 0.92 23.5%
職員等議会関係者 1,421 2.57 65.5%
一般住民 240 0.43 11.1%
2,170 3.93  

(昭和六〇、五、国会図書館調)

  1. 一般国民からの委員会会議録の購入希望については従来から実費で頒布する措置をとってきたところであるが、昭和五十七年に本院の広報活動を強化するため開設したサービスロビーに会議録等を備え付け参観者等の閲覧に供することとし、さらに、昭和五十八年五月二十四日の議院運営委員会理事会における委員会会議録の一般頒布を積極的にPRする旨の決定に基づき、その入手方法をサービスロビー及び傍聴人休憩室に掲示し、また、本院の参観者に配布する「国会案内」に掲載してPRに努めてきた。
     なお、本院文書課における委員会会議録の有償頒布状況は次のとおりである。
区分 件数
官庁等 30
地方公共団体等 11
団体・協会等 53
議員・個人 10
会社等 29
学校等 15
148

(昭和六〇、三、三一現在の継続購入件数)

備考 公共図書館では、現在、山形県立図書館が継続購入しているが、その閲覧利用は年間約二〇件程度である.

(三) 委員会会議録を公共図書館に配置することについての問題点
 前記(二)で述べたように、本院は委員会会議録の入手・閲覧を容易にするためにいくつかの措置を逐次講じてきたところであるが、更に一歩を進めて委員会会議録を公共図書館に配置することとする場合の問題点について検討を行った。
  1. 本会議録との均衡の問題
     委員会が事実上公開されているということに着目し、その会議録を公共図書館に無償で配置するとすれば、現在本会議録については官報販売所で有償として頒布していることとの関係もあり、この間の調整が必要となろう。
  2. 公共図書館に配置する場合の経費及びその負担
     公共図書館の数は、日本図書館協会の昭和五十九年四月一日現在の集計によれば私立を除き一、五三七館(都道府県立七一、市区立一、〇六〇、町村立四〇四、広域市町村圏二)であり、最近の傾向では年間五〇館程度増設されているということである。
     公共図書館全部に配置することとして印刷及び郵送に要する経費は年間約三億五、〇〇〇万円となり、仮に都道府県立図書館七一館に配置すると約一、六〇〇万円、また都道府県各一館に配置すると約一、一〇〇万円が見込まれる。
     右の経費を本院負担とすれば相当高額となるため現在の財政状況下で容易に予算措置をとり得るかという問題がある。
  3. 衆議院側との調整
     本院において、新たに公共図書館に無償で委員会会議録を送付することとする場合は、衆議院においても同様の措置を講じることが望ましいが、この場合、同院においても経費の負担増が見込まれる。また、衆議院は、委員会会議録の実費頒布については、議員の紹介がある場合に限ってこれを行っており、何ら制限なく希望者に実費頒布している参議院とその扱いを異にしている。したがって、これらの点で衆議院との事前の調整が必要であろう。
(四) 今後の課題と当面とるべき措置
 委員会会議録を公共図書館に配置することについての問題点のうち、本会議録との均衡の問題については、本会議録のみでなく委員会会議録についても国会自らが広く一般国民に有償で頒布する道を開くべきであるとの考えもあり、また、委員会会議録を無償で公共図書館に配置するとした場合はその経費負担及び衆議院との調整についてもなお問題が残されており慎重な検討が必要である。しかしながら、開かれた国会のあり方として一般国民が一層国会の審議状況を知り得るようにすることが肝要であり、そのための方策の一つとして、審議経過に関心を有する学者、研究者、関係者等はもとより一般国民が国会の会議録を容易に入手・閲覧することができるような措置を積み重ねていく必要があると考えられる。このような観点に立って、取りあえず、地方議会図書室に対する委員会会議録の無償送付等現在行っている措置に加えて、一般国民との結び付きを更に前進させるため次の措置を講ずることが適当であると考える。
  1. 地方議会図書館は、一般にこれを利用させることができる定めとなっているので(地方自治法百条十五項)、一般住民が手軽に委員会会議録を閲覧できるような措置を講ぜられるよう当該議会図書室に要請する。
     また、送付している委員会会議録を公共図書館と共用するなど、その活用について、特段の配慮が行われるよう要請する。
  2. 現在本院文書課において、委員会会議録の購入希望者に対して実費で会議録を頒布しているが、今後、入手方法について全国の公共図書館並びに官報販売所に提示する等この制度利用を積極的にPRするものとする。
  3. 新たに、都道府県及び政令指定都市の議会図書室並びに都道府県図書館に、現在議員の参考に資するため作成している「参議院審議概要」を送付することとし、これにより一般国民が本会議及び委員会の審議の概要を知り、あわせて、会議録入手の参考とすることができるようにする。

(別添二)

参議院改革協議会報告書(中間報告)略

(「電子式投票装置による投票方式の採用及びそれに用いるコンピューターの多目的利用についての中間報告」参照)